全国には数多くのレッスンプロがいる。さらにレッスンプロを目指すゴルファーのための教科書もある。そこで今回から始まる連載は、レッスンプロを指導するレッスンプロの先生に、レッスンプロになるための教科書からゴルフの基本を教えてもらうというもの。悩み多きゴルファーが遠回りをせずに上達の階段を登ることができるはずだ。【レッスンプロの先生とレッスンプロの教科書から学ぶゴルフの基本①】
画像: レッスンプロの教科書は、ゴルフの基本やスウィング理論が書かれた数枚のプリントがファイルに収められた形になっている

レッスンプロの教科書は、ゴルフの基本やスウィング理論が書かれた数枚のプリントがファイルに収められた形になっている

まずはレッスンプロの先生を紹介しよう。

一般社団法人全日本ゴルフ指導者連盟を主宰する原田伝一理事長だ。

レッスンプロを育成する指導者の中の指導者で、1983年から2500人を超えるレッスンプロを輩出してきた。

昔も今もゴルフ界では多くのプロやプロコーチが雑誌やSNSなどで多種多様な理論を紹介しているが、アマチュアゴルファーにとっては、残念なことに、迷いの原因になることのほうが多い。練習すればするほど迷いの淵に追い込まれてしまう。この皮肉な状態を打破するために、原田さんが40年の指導歴のなかで培ってきた指導者育成メソッドがある。

ゴルフの目的のひとつがボールを真っすぐ目標に運ぶことだ。しかしドライバーで飛距離が出なかったり、アイアンでダフったりとショットやスウィングに悩むゴルファーは多い。そんなゴルファーのために原田さんが未来のティーチングプロに教えるのは、そのための理論、体の使い方、クラブの扱い方。それを学んでいこう。

画像: 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長の原田伝一プロ

全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長の原田伝一プロ

GD 原田さんの指導の根幹を成すものは何ですか?

原田 いいインパクトを作ることです。私たちの指導カリキュラムでは、それを『法則』(註1)と言います。法則は5つあるのですが、それに従ってボールをより遠くに真っすぐに良い弾道で飛ばすためのインパクトを作る。そのためのスウィング、体の動きですよね。

GD その中で「体を使うスウィング」というものが、指導の中心になるものなんですね?

原田 そうです。体の質量全体を考えると、8割が「体」なんですよね。で、残りの2割が「手や腕」です。「体」と「手と腕」の質量は8対2。やっぱり体を使ったスウィングをしないとボールは遠くへ飛ばないし、曲がってしまうわけです。

GD その体を使ったスウィングを身につけるために、何が必要ですか?

画像: レッスンプロを目指すレベルの上級者でもすぐに上手くできない「ハーフスウィング」。この形がゴルフの基本。上達への近道だ

レッスンプロを目指すレベルの上級者でもすぐに上手くできない「ハーフスウィング」。この形がゴルフの基本。上達への近道だ

原田 ハーフスウィングでの基礎作りです。

GD ハーフスウィングの重要性はどんなところありますか?

原田 フルスウィングを100%としたら、ハーフスウィングというのは80%。全体の8割を占めているわけです。その完成度を上げることが指導者を目指すゴルファーに教えることで、一般のゴルファーにも教えたいことです。それと、初心者の人はいきなり大きな動きをさせたらメチャメチャになっちゃうんです。そうすると、あ、ゴルフは自分には向いてないなとなってくるので、やっぱり、初心者にはボールに当たったという喜びを与えたいんですよね。だからまずは距離を求めずに短い距離を真っすぐに飛ばす練習から始めていく。イコール、ハーフスウィングですね。

GD ある程度ゴルフを知っている経験者も上達のためにはハーフスウィングからやり直したほうがよさそうですね?

原田 経験者の方こそやってほしいですね。大きなスウィングでは、悪いところを矯正できないんです。まず、ハーフスウィングの完成度を上げることです。経験者の人はどうしても大きく振るでしょう。だから逆にハーフスウィングだとうまくできないんですよ。

GD 野球の大谷翔平選手が「究極はバントでホームラン。そのくらい動きを小さくしたい」というようなことを話されていますが、小さな動きにこそ基本が詰まっているということですね。

原田 そうです。大きなスウィングはハーフスウィングの延長線上です。ある程度ゴルフの経験がある人で、上達が止まっているなと悩んでいる人は、ハーフスウィングからやり直すことが大事です。私が教えたい”ハーフスウィング”は経験者こそ難しいかもしれませんが。

GD では、原田さんが教えているその”ハーフスウィング”の動きを教えてください。

次回「レッスンプロとゴルファーが目指す本当のハースウィング」

◆プロフィール◆
原田伝一(はらだ・でんいち) 1955年、横浜市出身。80〜82年、US・NGFインストラクターセミナー参加。ゴルフ指導者について研究を積む。83年、NGF日本ゴルフ財団チーフインストラクター就任。2010年、一般社団法人全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長に就任。数多くのレッスンプロを世に送り出している。

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