「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけてきたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はパターヘッドの重さについて教えてもらった。
画像: 男子ツアー開幕戦で、ピン「GLE3 ルイーズ」のヘッドを大岩龍一選手は使用した(写真は同型モデル。ピンの公式ホームページより引用)

男子ツアー開幕戦で、ピン「GLE3 ルイーズ」のヘッドを大岩龍一選手は使用した(写真は同型モデル。ピンの公式ホームページより引用)

最近のヘッドは一様に重くなっている

み:男子ツアーの開幕戦で大岩龍一選手が使っていたパターはレディスモデルでした。大岩選手が言うには軽いヘッドのほうが自分のストロークに合うのだそうです。ふつうのアマチュアには軽いヘッドと重いヘッドのどちらがおすすめですか。ちなみに大岩選手のパターはPINGのレディスモデル「GLE3 ルイーズ」で33インチの純正シャフトをメンズモデルの34インチにリシャフトしているそうです。

宮城:パターは単にヘッドが軽いからいいとか、重いからいいとかいうことはありません。大岩選手の場合も軽いヘッドを選んだ理由はたぶん34インチで組みたかったからでしょう。もし33インチなら重いヘッドでもよくて、34インチにしたときにヘッドが効きすぎるのを嫌がったのだと思います。

み:ちょっと調べてみたら「GLE3 ルイーズ」のヘッド重量は350グラム、同じPINGでメンズモデルのショートスラントネックのマレットは360から370グラムくらいあります。

宮城:ぼくが最近作ったパターのヘッドは338グラムです。軽くしている理由は34.5か35インチで販売しているからです。

み:ずいぶん軽いですね。重いほうがストロークは安定するような気がしますが。

宮城:重いヘッドは前に出るから転がりがいいとよくいわれますが、それは勘違いです。むしろ、ヘッドが重すぎるとバックスイングで揺れてしまうので予期せぬ方向にヘッドが動いてしまうとプロはよくいっています。

み:重くて慣性モーメントの大きいヘッドだからオートマチックというわけではない?

宮城:慣性モーメントは動きにくさを表す数値です。動いているヘッドは一定の速度と方向で動こうとしますが、止まっているヘッドを動かすときには余計な力が必要になります。

み:それにしても最近のヘッドは一様に重くなっています。

宮城:格好よく見せようとしてウエイトをつけたりするとどうしても重量は増えてしまいますね。

み:実はいま使っているパターもヘッド重量が370グラムあります。ストロークが安定しないのはそのせいですか?

宮城:形状とかを気に入って買ったヘッドなら、重いグリップを入れる手がありますよ。ふつうのパドルグリップでも70から80グラムくらいあるし、小鯛竜也選手のように手元を重くするためだけにロンググリップを入れているプロもいます。手元に60グラムくらいの真鍮が入っているオデッセイのストロークラボシャフトも理に適っています。

み:いままではちょっと転がして感覚だけでパター選んでいましたがかなり奥が深いのですね。次回もこの続きをお願いします。

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