グリップはプレーヤーとクラブの唯一の接点で、「グリップを見ればゴルフの腕前はわかる」と言われるほど重要な要素でもある。しかし「いいグリップ」とはどんなグリップなのか……。2024年6月号の「月刊ゴルフダイジェスト」では改めてグリップについて考察しているので「みんゴル」でもその一部を紹介しよう。

解説者プロフィール

画像: 中井学プロ。

中井学プロ。

中井学プロ。1972年生まれ。
アメリカの大学に留学してゴルフの腕を磨き、以後コーチとして活躍。登録者数27万人の人気You Tuberでもある。

見るからに「いいグリップ」とはどんなグリップなのか。それは、ゴルフがこんな特殊な握り方をする理由を考えれば自ずと見えてくるという。

「いいグリップ」とは手が何もしないグリップだ!

人間とクラブの唯一の接点であるグリップの握り方はゴルフのすべての基本と考えられる一方で、プロでも千差万別、個人差が大きいため「基本ではない」という考え方もある。しかし、形は違えどもプロや上級者に共通する要素は確実に存在し、それを満たしたグリップは「いいグリップ」だと認識される。プロに「いいグリップだね」と褒められるのは、「ゴルフが上手そうだね」と言われているに等しく、アマチュアにとって最上級の誉め言葉のひとつだろう。

実際にさまざまなグリップを見比べると、アマチュアでも「いいグリップ」というのはなんとなくわかる。しかしその正体は何なのか? いいグリップと悪いグリップの違いはどこにあるのか? プロ、アマ問わず幅広いゴルファーに指導してきた中井学プロに聞いてみた。

「見た目の印象を挙げるなら、腕に力みがないことと、手が密着していて隙間がないこと、この2つでしょうか。形もあるにはありますが、あまり極端に崩れていなければ個性の範疇と言っていいので、どうしても表現が抽象的になります。だからこそ、『いいグリップ』というのがわかりにくいのかもしれません」

画像: いいグリップの条件は2つ!

いいグリップの条件は2つ!

いいグリップの条件①

腕に力みがないこと

いいグリップの条件②

密着していて隙間がないこと

しかしその2つの条件にはもちろん理由がある。中井プロによれば、それは「スウィング中に手が余計なことを“しなさそう”なグリップ」という点に集約される。

「ゴルフにおいては、スウィング中にグリップの形や力感が変わることが、スウィングを乱す大きな要因です。握りの形が変わればフェースの向きや体に対するクラブの位置が変わってしまいますし、力感が変わると軌道もタイミングも乱れる。プレッシャーがかかる場面ではこれが顕著に表れるため、そういった力感や形状の変化が起こらないことがいいグリップの条件なんです。そのため『いいグリップ』に見えるのは、見るからにそれが“起こらなそう”な握りということになります」

画像: 「いいグリップ」の要素①:形が不変

「いいグリップ」の要素①:形が不変

「いいグリップ」の要素①:形が不変

握りの形が変わってしまうと、フェースの向きやクラブのポジションが変化しミスの原因となるので、スウィング中に握りの形が変わらないことが重要。

画像: 「いいグリップ」の要素②:力感が不変

「いいグリップ」の要素②:力感が不変

「いいグリップ」の要素②:力感が不変

スウィング中にグリップの力感が変わると、軌道やタイミングが乱れる。とくに切り返しで変化しやすいので、握りの強さが変わらないことも大事。

最初から力んでいる握りは、スウィング中でも力むか、反対にどこかでゆるみやすい。形に隙間がある握りは、それによって手の中でクラブが動きやすいし、その隙間をスウィング中に埋めようとして力むことにもつながるというわけだ。

手先の器用さを抑制するための握り

スウィング中に「手が何もしない」握りこそがいいグリップだというのが中井プロの考え。これはそもそもゴルフのグリップの形を考えれば自明だという。

「ゴルフのグリップは、明らかに異様な握り方をします。最初に教わったときに違和感のなかった人はいないのではないでしょうか。これはなぜかと言えば、手が余計なことをしにくいように意図的に変な形にしているからです。手のひらに直角ではなく斜めに握るのはクラブのライ角を保つためですし、オーバーラップにせよインターロックにせよ、右手の小指を浮かせる形は右手に力が入りにくくするため。親指や人さし指の形も、手先を器用に使いにくくするための工夫です。その意味では、その意図である『手が不器用そう』なグリップこそ、いいグリップと言っていいかもしれません」

画像: ゴルフのグリップは意図的に変な形になっている。例えばラッピング。

ゴルフのグリップは意図的に変な形になっている。例えばラッピング。

「ラッピング」の意図は「右手を抑える」こと

右手の小指を左人さし指に絡めたり乗せたりするとともに、右手親指と人さし指のポジションも不自然なのは、右手を強 く握りすぎないため。器用で強い右手の動きを抑えるためだ。

画像: 特殊な握り方をするのはライ角を維持するためでもある。

特殊な握り方をするのはライ角を維持するためでもある。

「斜め握り」の意図は「ライ角を維持する」こと

ゴルフクラブはシャフト軸からズレた位置にヘッドがある偏重心で、ライ角がついている。腕とクラブを直角にせずグリップが手のひらを斜めに横切るように握るのは、ライ角維持のため。

ではアマチュアはなぜ「いいグリップ」で握れないのか。それには2つの側面がある。1つは、この違和感に負けて最初からいいグリップを習得できなかったケース。もう1つはスウィング自体に問題があるのを、手先を器用に使ってごまかしながらスウィングしているケース。いずれの場合も、上手くないことの証明になってしまっているのだ。

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では具体的にどのように握ればいいのか。その答えは2024年6月号の「月刊ゴルフダイジェスト」とMyゴルフダイジェストに掲載中!

TEXT/Kousuke Suzuki
PHOTO/Hiroaki Arihara
THANKS/こだまゴルフクラブ

※月刊ゴルフダイジェスト2024年6月号「これぞ上級者の証! 「いいグリップだね!」と言われたい」より一部抜粋
※2024年5月3日9時55分、タイトル一部加筆修正しました。

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