天候は晴れで25度超える陽気でしたが、風速8m/sを超える風が選手たちを苦しめました。例年よりも硬いグリーンに速さがプラスされ、グリーン奥へとこぼすシーンが散見されました。博多湾に面した高台にある福岡カンツリー和白Cはアップダウンとドッグレッグの多い丘陵コース。風の読みが難しくスコアは前日の首位5アンダーのスコアから2ストローク伸びただけとなりました。
首位から2打差までに19名がひしめく混戦から抜け出したのは前年優勝の岩井千怜、山下美夢有、佐久間朱莉の3名でした。まずは最終組から5組前の3アンダーでスタートした岩井千怜選手からついて歩くと、出だしの1番パー5の3打目をスピンをかけたアプローチでピタリと寄せバーディ発進しますが、その後が続きません。
4アンダーで折り返すと10、11番でバーディ、16番のパー3でもピタリと寄せ後半に3つのバーディを奪い、最終18番パー5でバーディを取りにいくため、2打目は直ドラをチョイス。砲台グリーンの横からアプローチしましたがパーとして4バーディノーボギーで終えました。
「自分で自分を追い詰めていたというか。でもトップで上がれたことは、今日も伸ばせたので良かったですね。明日の天候でわからないので、1打でもリードしておいたほうがいいかなと思いました」(岩井千怜)
続いて最終組から3組前で3アンダーでスタートした佐久間朱莉選手は、出だしの1番パー5をバーディとすると3番から3連続バーディで7アンダーまでスコアを伸ばします。このまま抜け出すかとついて歩きましたが、コースで一番高い位置にある風の読みにくい7番パー3で右のバンカーに入れボギーとすると、パーで耐えるホールが続きます。
最終18番パー5では「やっと入りました!」という値千金のバーディを奪い7アンダー首位タイで終えました。
「勝てなかったときはどっちも18番はいらなかったので、絶対入れたい! という気持ちだけで打っていました」(佐久間朱莉)
2位で終えた「富士フイルム・スタジオアリス」と「ワールドレディスサロンパスカップ」はどちらも最終18番ホールでバーディを奪えずに負けていたので、悪天候の予報の最終日に向けて首位タイで終えることは初優勝への絶対条件になっていました。明日のプレーを見届けましょう。
最後に最終組の2組前から4アンダーでスタートした山下選手は、風に翻弄され昨日よりも距離感を合わせることに苦労していました。それでも4番パー5、5番パー4を連続バーディとし折り返すと、打ち上げの13番パー4でバーディを奪います。最終18番もバーディを狙いますがパーで終え3名が同スコアで並び最終日を迎えます。
大混戦の展開でしたが、強い風が吹く中での硬く速いグリーンへの対応が上位進出のカギになったように思います。2打目が打ち上げの左足上がりや、打ち下ろしで左足下がりになるケースが多いホールロケーションでは、距離感と方向性を合わせることが難しくなるだけでなく、硬く速いグリーンでバーディチャンスにつけるには相応の技術が求められていました。
その中で首位タイで終えた3名の内、山下、岩井千怜の2名はノーボギー、佐久間選手は1ボギーと、ショット力だけでなく厳しいパーパットを耐えしのぎながら集中力を切らさずにスコアを伸ばしていた姿が印象的でした。
悪天候が予想される最終日は6時30分から第1組はスタートし、最終組は8時スタートとなりました。予報では朝の内は弱い雨から15時に向けて強くなるようです。コースコンディション次第でスタートが遅れるとプレーオフだけになる可能性もあるでしょう。一体どんな結末が待っているのか、明日も現地からレポートをお届けします。
写真/岡沢裕行