悪天候の予報からセカンドカット(1アンダーまでが最終日をプレー)が実施され、36名の選手が朝6時30分からスタートしました。7時20分スタートの最終組も雨と風が強いなかでのプレーになりましたが岩井千怜選手は、2、4、5、9番と前半で4つスコアを伸ばします。特に打ち上げでグリーン面が見えない9番では、グリーン奥からの下りのラインをチップインバーディで決め、折り返します。
後半は11番のパー5でティーショットが右のバンカーにつかまりボギーとしますが13番パー4で3メートル強のパットを決めてバーディと流れを取り戻します。14番パー4では左のラフからの2打目をミスするとグリーン左手前のラフに外し、打ち上げの左足上がりのアプローチが残ります。それを球を上げてピン手前から転がすとピンそばにピタリと難なく寄せ、パーでホールアウト。最終18番パー5も3打目を寄せてバーディとすると6バーディ1ボギーと山下選手に付け入るスキを与えずに連覇を達成しました。
雨で止まるようになったグリーンへの距離感とパットのアジャスト、濡れたラフからの距離感に打ち上げ打ち下ろしの距離感と風の読み、どのショットも攻め過ぎず守り過ぎずのベテランのようなプレーぶりでした。雨や風のなかでも集中力を保ち、グリーンを外した際のアプローチや1、2メートルのパーパットもミスなく決め、ボギーを打たない安定感がありました。
会見では「ドライバーも左に曲がることが多かったが、ショートゲームでパーを取ることができました」とショートゲームの成長が優勝につながったと話しました。ボギーを打たずにスコアメイクするためにはやはりショートゲームの重要さを改めて感じさせる千怜選手の今季2勝目でした。
この優勝でメルセデス・ランキングも1位になり、現在の世界ランキングも49位から上がることになります。世界ランキング50位以内で出場できる海外メジャーの「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」(6月)、「アムンディ・エビアン選手権」(7月)、「AIG女子オープン」(8月)の権利もしっかりと確保したことになるでしょう。
海外メジャーでの経験を積みながら、まだまだ成長する千怜選手の姿が見られることでしょう。
写真/岡沢裕行