磐石のゲーム運びで最終日にスコアを4つ伸ばし、逆転で今季3勝目を飾った竹田麗央選手。初優勝を挙げるまでは「無理に攻めてボギーを打つゴルフ」から「チャンスは必ず後で来る」というゴルフへと進化したことが勝利の方程式になっています。
フェードヒッターの竹田選手にとって無理に攻めないホールとは左ドッグレッグや左サイドに切られたピンのホール。後半に難しいホールが続く袖ヶ浦CC袖ヶ浦Cは耐えるホールとバーディを取りに行きたいホールのゲームプランが重要になりました。
そのゲームプランは特にパー5のバーディ数にも表れており、4日間で1イーグル10バーディと取れるホールでしっかりとバーディを奪いスコアを稼ぎました。
難しいホールはアプローチやパットのショートゲームでパーを重ね、パー5でバーディを奪う戦略を終始落ち着いたプレーで遂行できたのも、これまでの勝利で自信をつけてきたからに違いありません。
スタッツを見ると4日間のドライビングディスタンスの平均は284.625ヤードで2位以下を14ヤード以上引き離し1位。FWキープ率は50%でしたがパーオン率は69.4%で6位と飛距離を生かしてパーオン率を稼いでいました。
優勝会見で4日間で活躍したクラブを「ドライバー」と答えていたので、ここではそのスウィングを深堀してみましょう。
166センチの身長を生かした高く構えたアドレスのままテークバックは始動していきます。クラブを立てに上げながらアップライトなトップを作りますが、その直前から下半身は沈み込んでいきます。頭のラインに赤線を引いた画像Aでは、切り返しで腰を落とすことで頭の位置が下がっていることが見て取れます。
フィギュアスケートのジャンプして回転する技のように、切り返す直前から沈み込むことで足首、ひざ、股関節を伸ばすトリプルアクションを使って回転力を得ようとする動きが見て取れます。箱の上に跳び乗るボックスジャンプやジャンプして回転する動きは多くの選手がトレーニングに取り入れています。
その際に上半身の力を抜くことで下半身で作った回転を下から上へと伝えるので、上半身と下半身の捻転差が作られ左肩が開かずに上体で打ちに行く動きが入っていません。
さらに頭の高さは上がることなく、むしろ下がる方向に動いていますが、これはクラブをリリースする手首の動きと体が起き上がることとは連動しているから。インパクトで右ひじと右手首は曲がったままで体をターンさせながらヒットすることで浅い入射角で高弾道のフェードを生み出しています。
前週の予選落ちの後の練習場では、悔しさの中で母でプロゴルファーの平瀬哲子さんと取り組む姿を見ていました。その翌週に予選落ちからの優勝という大きなバウンスバックを果たしましたことは、月末からの全米女子オープンでもきっと良い方向に進むことでしょう。