正午発表の気象データでは天候は晴れ、気温26度、風速4.7メートルと絶好のゴルフ日和となったこともあり、4千人を越えるギャラリーの声援が選手たちの好プレーを引き出しました。岩井明愛選手は後半に4つのバーディで後続を振り切り今季初優勝を飾り、首位と6打差の11位タイから出た竹田麗央選手は6バーディノーボギーでプレーし単独2位で終えました。
前半、岩井明愛選手は、いきなりボギースタートでしたが、3、6、7番とバーディを奪い独走態勢に入る勢いでした。しかし、そう一筋縄ではいかないのがゴルフです。8、9番でボギーとしスタートと同じ11アンダーで折り返します。2つのバーディで10アンダーまで伸ばし追い上げたい桑木志帆選手も9番でボギーとし流れをつかみきれません。
「1番のアプローチは怖かったです。少しゆるんでしまって。(下りの)ボギーパットが入ってくれたので大丈夫だと思えました」と優勝会見で話しました。怖かったと語ったアプローチについて、「世界で通用する選手になるには、もっと強い気持ちで打てるようになりたい」と反省の弁で、来週の全米女子オープン出場に目線を向けていました。
後半に入ると明愛選手のショット、パットが息を吹き返し12番から2連続、15番では9メートル、17番ではピンに絡めバーディを奪い勝負を決めました。
今季は最終日を首位で出た「KKT杯バンテリンレディスオープン」の後半で崩れ、それ以来なかなか優勝争いに加わっていませんでした。序盤の成績を振り返り、「焦りはありました。千怜も2勝していますし、次々に良い選手が出てきていて自分も頑張らないと」と話しました。
先週の「ブリヂストンレディス」を5位タイで終え、今週の優勝へとつながった要因は、コースやグリーンの状況判断が的確だったからだと分析します。今週の関西ゴルフ俱楽部は、フェアウェイは広いもののラフからでは止まらないグリーンが待ち受けているため、ティーショットはドライバーだけでなく3Wや5Wで刻むホールもありました。そしてグリーンに向かって打つ2打目では、大きな傾斜で面に分かれているグリーンに対してアイアンの距離感がスコアに大きく作用するセッティングになっていました。
今週の明愛選手は、風のあるなかで距離感を合わせながら、ときにはピンを攻め、ときにはセーフティにグリーンに乗せ、最終日こそボギーを3つ叩きましたが、初日、2日目はボギーを1つずつ、3日目はノーボギーのラウンドでスコアを作りました。
グリーン上は11フィートを超えるスピードがあり、下りの傾斜がかかると13フィートくらいのスピードになっていましたので、パットの距離感も神経を使う状況になっていました。傾斜のあるグリーンでパットのタッチを合わせようと練習グリーンではロングパットを練習する選手が多く見られていました。
コースの状況判断に持てる技術を駆使しながら、プレッシャーのかかる最終組で自分のプレーに集中する姿は、3週前の「RKB×三井松島レディス」で今季2勝目を挙げた妹・千怜選手の姿と重なります。まずは1勝を挙げ、「ホッとした気持ちもあります」と自信を胸に渡米することでしょう。
来週は姉妹揃って「全米女子オープン」に出場しますので、世界の舞台でどんなプレーを見せてくれるか注目していきましょう。
来週の「全米女子オープン」には日本勢は21名の選手が参戦します。米女子ツアーで戦う選手からは、畑岡奈紗、笹生優花、古江彩佳、吉田優利、渋野日向子、西郷真央、稲見萌寧、西村優菜、日本からの参戦は、鈴木愛、山下美夢有、小祝さくら、岩井明愛、千怜、櫻井心那、神谷そら、竹田麗央、尾関彩美悠、河本結、木村彩子、藤田さいき、仁井優花となっています。
日本では「ヨネックスレディス」が開催されるので、寝不足必至の週末になりそうです。
写真/大澤進二