JGTOの下部ツアー・ABEMAツアーは今週、第4戦「太平洋クラブチャレンジ」を迎える。開催コースは2015年に国内メジャーである「日本プロ」を開催した太平洋クラブ江南コース。16年から開催コースとなっているが、今年から総ヤーデージ数が171ヤード伸び、パー71からパー72に変更となった。下部ツアーの特別スポンサーを務めるインターネットテレビ局「ABEMA」で数年前から実況を担当している萩原菜乃花が注目選手を紹介。
画像: ABEMAツアーで実況を担当するフリーアナウンサーの萩原菜乃花(撮影/岡沢裕行)

ABEMAツアーで実況を担当するフリーアナウンサーの萩原菜乃花(撮影/岡沢裕行)

はぎわら・なのか。名門日本大学ゴルフ部に所属して腕を磨き、ベストスコアは75。学生時代から週刊ゴルフダイジェストなどに登場。大学卒業後はライムライト所属のフリーアナウンサーとして活動中。

サービス精神旺盛な若手有望男子プロを間近で観られる!

少し前なら石川遼選手、いまだと中島啓太選手といったアマチュア時代からレギュラーツアーで活躍している選手は別ですが、基本的にABEMAツアーは「若手の登竜門」という立ち位置にあります。なので、一昨年なら久常涼選手、昨年なら生源寺龍憲選手といった、レギュラーツアーでも優勝争いをし、海外に活躍の場を広げていく選手をいち早く観られる場なんです。

これは、ほとんどすべての選手や関係者が思っていることですが、ABEMAツアーの上位選手とレギュラーツアーのシード選手には技術的な差はほとんどありません。先に挙げた久常選手や生源寺選手、他には米澤蓮選手、杉原大河選手、鈴木晃佑選手などがいい例です。そのようなプロたちを入場料無料、しかも基本的にはロープで区切られることなく、間近で観られるし、試合によってはクラブハウスで昼食を食べられる場合もあります。それほど選手との距離が近いのは、おそらく世界中みてもABEMAツアーだけだと思います!

そして、私は男子プロのプレーはエンターテインメントだと思っています。間違っても真似しないでください! トレーニングなくあのスウィングをしようとすると絶対にどこか怪我をしますので。やっぱり自分には真似できない飛距離だったり技術だったりを「凄いな~」「カッコいいな~」と思って観るのが男子プロの試合だと思います。なかでもABEMAツアーは先ほど記載したとおり、ロープでの区切りがないので、その分、配慮は必要ですが、レギュラーツアーや女子に比べると選手やボールに近づけて、音だったり飛距離だったりを体感できるんです。

冠名でわかるようにABEMAツアーは、毎試合、リアルタイムでインターネットテレビ局「ABEMA」で無料放送されます。また毎日「リアクショングランプリ」という表彰を視聴者投票で決め、ベストに輝いた選手にはプレゼントを進呈しています。その賞の認知度は出場選手のなかでは高く、バーディを決めたり、いいプレーをしたりすると当然ですが、そういうシーンでなくても、カメラを見つけたらポーズを取ってくれます。そこから学んだというわけではないかもしれませんが、現場に来場いただいたファンに対するサービスやフレンドリーさはレギュラーツアーよりかなり厚いと感じています。

ちなみに、5月29日~31日まで開催の「太平洋チャレンジトーナメント」は昨年は毎日2000人を超えるギャラリーが訪れるABEMAツアー随一の人気大会なんです。今年もこれから紹介する勢いのある若手だったり、ABEMAチャレンジャーという話題の選手(プロアマ問わず)だったりが参戦していますので、是非、お休みを取れるなら現地に、もしご無理な場合でも「ABEMA」で観戦いただければと思います!

いつも笑顔の飛ばし屋・新村駿

画像: 今季レギュラーツアーで優勝争いを経験した新村駿

今季レギュラーツアーで優勝争いを経験した新村駿

まず紹介したいのは日本大学の後輩でもある新村駿選手です! 新村選手は中島啓太選手や蟬川泰果選手などと同じ2000年生まれの大卒2年目。今年のレギュラーツアー第4戦「For The Players By The Players」で4位タイに入り、翌週の「関西オープン」では初日1位タイ(結果は62位タイと良くはありませんでしたが……)で話題になったプロです! 彼の魅力は極真空手で鍛えた体を生かした飛距離。出場試合数が少ないので参考記録になりますが、JGTOのホームページにある「スタッツ」をみると、ドライビングディスタンスは「296.10ヤード」で12位相当。私が見たなかでは、同期の中島選手、蟬川選手、鈴木晃佑選手も飛びますが、新村選手がいちばんだと思います!

ちなみに、彼はその有り余るパワーのせいか、プロテストに合格した22年のQT前に「腰椎分離症」という腰の大怪我を負っています。痛み止めのブロック注射をしながら、だましだましで受けたQTは何とかファイナルまで進んだものの、練習ラウンドで再び激しい痛みに襲われ、2ラウンドで棄権。なんとか23年シーズンには間に合ったものの、腰の怪我の怖さからスウィングが安定せず、実力を発揮できぬまま終了。そして、満を持して挑んだ23年のQTは22年より悪い288位と、レギュラーツアーはおろかABEMAツアーへの出場権も微妙な位置でした。

とはいえ、オフシーズンに腹筋周りのトレーニングを重ね、「怪我前よりも飛距離は伸びた気がします」と自信をつけた24年シーズン。4月下旬に開催された「i Golf Shaper Challenge in 筑紫ヶ丘 2024」に主催者推薦枠で出場し、16位タイ。次いでABEMAチャレンジャーとして出場した「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP CHALLENGE in FUKUI」で3位タイに入り、その資格(ABEMAツアーは15位以内だと次戦に出場できる)でこの「太平洋クラブチャレンジトーナメント」に出場しているという、経歴の持ち主です。

画像: 練習日に大学の後輩・新村に話を聞く萩原(撮影/岡沢裕行)

練習日に大学の後輩・新村に話を聞く萩原(撮影/岡沢裕行)

また、彼の最大の魅力は「前向きで攻めの姿勢を忘れないこと」と「笑顔」! 実況席から見ていて「これは嫌なところに行ってしまったな」と思うところにボールがあっても、いつもニコニコしていて、マイナスな表情を見たことがありません。さらに「『もう少しマネジメントしたほうがいい』と言われたことはありますが、振り切らないと緩んで曲がってしまうので、ティーショットは基本ドライバーでしっかり打ちます」と言うように、「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP CHALLENGE in FUKUI」では10番(356Y・パー4)をほぼワンオンするビッグドライブで攻めの姿勢を崩さない気持ちよさもあります。

今大会の初日は9時49分から10番スタートで後述するABEMAチャレンジャーの松坂大輔さんと同組なので、是非、注目してみてくださいね!

宮里優作を師匠と慕う2年前の覇者・山田大晟

画像: 新しいシャフトで試合に臨む山田大晟(撮影/岡沢裕行)

新しいシャフトで試合に臨む山田大晟(撮影/岡沢裕行)

続いて紹介するのは2022年に今大会を優勝した山田大晟選手です。優勝した大会は、3日間連続で5アンダーの「66」で回り、通算15アンダーで2位以下に3打差をつける危なげない試合展開でした。この試合はラウンドレポーターとして最終日、最終組だった山田選手に18ホールついて回ったのですが、その時の落ち着き払ったプレーぶりがいまでも忘れられません。本人は「専修大学で2学年後輩の櫛山勝弘選手と同組だったことや、宮里優作さんから『雰囲気を楽しんでこい』と言われ、それで楽になりました」と話しているので、外的要因はあったようですが、それでもあのプレーぶりからはメンタルの強さを感じました。ちなみに、宮里優作選手とはツアーの練習ラウンドで一緒になったのをきっかけに目をかけてもらうようになり、オフも一緒に合宿をし、優作選手のトレーナーさんを紹介してもらうほど仲が良く、「勝手に師匠だと思っています」という間柄。

今回、話を聞くと、「先週、(宮里)優作さん、(岩田)寛さんと一緒に練習ラウンドをしたとき、優作さんと『寛さん、飛びますね』って話になって。いままでは『ツアーAD DI ハイモジュラス』の6Xを使用していたのですが、寛さんの『ツアーAD PT』を振らせてもらったら、すごく良くて。僕はドライバーでも、力感を変えて振るタイプで、ハザードがなければ80~90%だったり、ちょっとハザードが嫌だなってときには70%だったり。80~90%のときは『ツアーAD DI ハイモジュラス』は思いどおりの球筋でいいんですが、少し落とすとつかまり具合が弱くなり、右に行くイメージが出てしまって。それで『ツアーAD PT』を試したら、その落とした力感でも右に逃げるイメージがでなくて、やさしさを感じたんです。自分の『DI ハイモジュラス』と同じ6Xをチップカットして、組んでもらいました」とシャフト変更したようです。

画像: 山田とは学生時代からの知り合いという萩原(撮影/岡沢裕行)

山田とは学生時代からの知り合いという萩原(撮影/岡沢裕行)

「ちなみに優勝したときよりも総ヤーデージが伸び、ティーショットが鍵になるんですが、先週シャフトを替えたドライバーがいい感じです。自分の飛距離を考えると、いままで中途半端な距離が残るホールでは刻んでいましたが、ドライバーを振り抜ける。その点でも楽しみにしています!」

優作選手との合宿やトレーニングのおかげで、年々ドライバーの飛距離と正確性が増している印象を受ける山田選手。こちらの質問の意図をしっかりと理解し、的を射た明確な返答で取材中の受け答えは超真面目! 本当にゴルフが好きで、上手くなりたいという気持ちが伝わる選手なんです。初日は8時21分に10番スタート。同組には今季のABEMAツアー第2戦「i Golf Shaper Challenge in 筑紫ヶ丘」で優勝した若手の大嶋港選手がいて、こちらも注目してください!

平成の怪物・松坂大輔さんがABEMAチャレンジャーとして出場

画像: 練習日のハーフターンでアイアン型ユーティリティの感触を確かめる松坂さん(撮影/岡沢裕行)

練習日のハーフターンでアイアン型ユーティリティの感触を確かめる松坂さん(撮影/岡沢裕行)

ABEMAツアーには、ABEMAチャレンジャーという枠があり、プロやアマチュアの選手の大会出場を促しています。今大会では3名のアマチュアがその枠で参戦していて、そのなかの一人が元メジャーリーガーの松坂大輔さん。ちなみに、あとの2人は専修大学4年生の福住修さん、大阪学院大学2年生の古川創大さんで、学生の試合で好成績を残している選手です。

松坂さんは全英オープンの現地レポーターとして活躍したり、2023年にABEMAで「松坂大輔ネクストステージ」と題し、ABEMAツアーへの出場へ向けた挑戦を追うゴルフリアリティ番組に出演するなど、趣味の域を超えた真剣さでゴルフに取り組んでいて、22年レギュラーツアーの「ゴルフパートナー PRO-AM」のアマの部・スクラッチ戦に出場した経験を持ちます。このときは初日、2日目ともに「79」で35位とまずまずの結果で、ホールアウト後の取材では「楽しかったけど、めちゃくちゃ疲れました」と話した笑顔が印象的でした。同組で回った時松隆光選手は、「ティーショットは僕より全然前に行くし、ショートゲームも上手。何度もプレッシャーをかけられました」とたじたじ。

アマの部とはいえ、プロトーナメントでのプレーは経験済みで、今回はどのようなプレーを見せてくれるのか楽しみです! 一緒に練習ラウンドをした木下康平選手がいうには「ドライバーはキャリーで300~310ヤードくらい飛んでいたと思います。その飛距離ももちろんすごいんですが、アプローチとかの小技もめちゃめちゃ上手です!」とのことでした。

練習ラウンド後は、ブリヂストンのツアーバスに直行し、58度のウェッジのソールを微調整するほど真剣さが伝わってきます。また、その微調整が終わると、すぐさまバンカー練習場に向かい、悪天候でプロが帰ったあとも、最後まで黙々とバンカー練習をしていました。これまでに元プロ野球選手がJGTOのトーナメントに出場した記録でいえば、ジャンボさんこと尾崎将司選手を除けば、いずれも予選落ち。松坂さんがこの記録を止めることができるのか注目です! 先にも記載したとおり、初日は9時49分から10番スタートで飛ばし屋の新村駿選手と同組になります!

松坂さんの22年「ゴルフパートナー PRO-AM」の記事はこちら

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