1983年の創業以来「Fun To Golf」をブランドコンセプトにしているプロギア。多くの人にゴルフの“楽しさ・嬉しさ”を体験して笑顔になってもらいたいと、モノづくりに対するこだわりはどこにも負けない。その集大成ともいえる7代目「RS」シリーズの「RS X」が登場した。

「できないの?」と言われ技術者魂に火が付いた

「プロギアってモノ作りに対するこだわりがハンパじゃないんですよ」とは、2000年以降、プロギアのすべてのドライバー開発に携わってきた中原紀彦氏。

「2009年に他社から可変スリーブが登場すると、各社追随しましたが、我々はしなかった。なぜならホーゼルがフェースにくっついてしまい、ヒール側のフェース面がたわまなくなるというデメリットがあったからです。しかし、『プロギアはやらないんじゃなくて、できないんじゃないの?』と言われ、技術者魂に火が付きました。我々が作る可変スリーブにはデメリットがないことを見せてやろうじゃないか、と」

そうして生まれたのが2014年の初代である『iDナブラRS』から採用されている「新軸(新ズレ)構造」。スリーブの軸とホーゼルのネジの軸をずらしたことでフェースとホーゼルに距離ができるので、たわみに影響が出ない。つまり、どこに当たっても飛ぶ。実際に契約プロが勝利を挙げただけでなく、月刊ゴルフダイジェストのドライバー飛距離ナンバー1を決める『D1グランプリ2015』でも優勝した。

画像: “軸ズレ”構造の試作品。これまでの2穴タイプから4穴タイプの「X(クロス)カートリッジ」になってもフェースとスリーブが干渉しないので、フェースのたわみに影響がなく、ヒール寄りに当たってもしっかりとたわむ

“軸ズレ”構造の試作品。これまでの2穴タイプから4穴タイプの「X(クロス)カートリッジ」になってもフェースとスリーブが干渉しないので、フェースのたわみに影響がなく、ヒール寄りに当たってもしっかりとたわむ

2016年〝ギリギリ〞登場

順調なスタートを切った初代「RS」。だが開発チームはさらに上を目指した。

「ヘッドは工業製品ですから、どうしても多少のバラつきが出ます。そこで独自の『フェース周波数検査』で全数検査をして、その公差をルール上限に近づけ、オーバーしたヘッドは除外、一定のレベル以下のヘッドは再研磨することにしたんです。その結果、すべてのヘッドの反発係数が上限ギリギリに近づきました。手間はかかり、利益も少なくなりますが、すべては『Fun To Golf』のためでした」

そうして2016年に登場したのが2代目「RS」だった。キャッチコピーは〝ギリギリ〞。契約外の池田勇太が「RS-F」を使い、この年の賞金王に輝いたことも追い風となった。だが「『RS-F』にルールの上限値を上回るモノが市場に混在している可能性がある」とR&Aから手紙が届いた。社員はすぐに近くのゴルフショップに「RS-F」を買いに行き、ペンデュラムテストで測定するとフェースセンターから離れたある部分で上限値を超えるヘッドが見つかった。

「超えていたのは事実なので、言い訳のしようがありません。ただ、この年から反発係数の測定ルールが変わっていて我々の周波数検査では見つけられない部分があったんです」

適合リストから削除され新しい測定器を開発

「RS-F」は年末にR&Aドライバー適合リストから削除された。対応に追われる全社員。

「当時の社長以下、営業全員で全国の販売店へ謝罪に回ったところ、『本当にギリギリだったんですね』と怒られるどころか、応援してくれる人もいて。それを聞いてみんなで泣きましたね。このとき、この失敗を生かして最高のドライバーを作ろうと心に決めました。そして、まず着手したのが新しい簡易CT測定器の開発でした」

わずか数カ月という信じられない早さで測定器を作り上げ、適合ヘッドとの無償交換を行っている間も、新しいヘッド作りに没頭した。

「他社のヘッドもすべて測定しました。そして次こそは絶対に文句を言わせない。本当にギリギリへの挑戦です。自分にも意地がありますから」

設計段階でフェース面を2.5ミリピッチ、410打点で計測し、絶対にルールを守りつつ、上限ギリギリの反発性能を両立させる。そして適合リストから削除されたわずか半年後の2017年6月に〝もっとギリギリ〞の3代目『RS』シリーズが発売された。その後も2018年、2020年と〝ギリギリ〞は進化を続け、2022年にはフェースをCNCミルド加工にすることで、さらにバラつきを抑えた。そして今年、新たに『RS X』として生まれ変わった。

画像: 適合リストから削除され新しい測定器を開発

反発係数はもちろん新スリーブも〝ギリギリ〞

「フルチタンになった7代目は、さらにフェース面の測定を細かくし、1ミリピッチで1785カ所にしたので、これ以上、反発係数は上げられないというくらい高めてあります。そして最大の変化は可変スリーブ。初代から前モデルまで2穴だったものを4穴の『X(クロス)カートリッジ』にしました。もちろんフェースとスリーブがくっつかない〝軸ズレ〞設計です。しかし、2穴を4穴にするため設計段階で肉厚0.5ミリの箇所もあり、許される公差は±0.025ミリ。本当に量産できるのか試行錯誤の繰り返しでした。今度はスリーブさえも〝ギリギリ〞になったんです。そこでヘッドだけでなくスリーブも全数検査をしています。ここまで手間をかけてるのはプロギアだけでしょう」

〝ギリギリ〞は〝ピッタリ〞に限りなく近づいたようだが……。

「現時点ではギリギリの最高峰に到達したのが『RS X』ですが、いまは将来に向けて、これまでやったことのないことにも挑戦しています。常に前作を超えることが自分たち開発チームの使命であり、ゴルファーに『Fun To Golf』を提供するのがプロギアの使命なので」

画像: 株式会社プロギア 技術開発部 主幹 技術士(金属部門) 中原紀彦氏 1989年横浜ゴム入社。 2000年からクラブの先行開発を担当。 「DUO」、「T3」から「RS」シリーズまで、すべてのドライバー開発に携わる。 2011年技術士取得

株式会社プロギア
技術開発部 主幹 技術士(金属部門)
中原紀彦氏

1989年横浜ゴム入社。
2000年からクラブの先行開発を担当。
「DUO」、「T3」から「RS」シリーズまで、すべてのドライバー開発に携わる。
2011年技術士取得

This article is a sponsored article by
''.