首位から3打差以内に11人がひしめく大混戦
3日目を7アンダーの首位タイでスタートした「全米女子オープン」帰りの小祝さくら、岩井千怜選手は5アンダーまでスコアを落としました。今日イーブンパーの7位タイで終えた山下美夢有選手も含めて、さすがに疲れが出て来る頃だとは思います。
しかし同じ「全米女子オープン」帰りの岩井明愛、神谷そら選手がスコアを伸ばし首位と2打差の4位タイまで上がって来ています。神谷選手は、予選落ちに終わった週末を会場での練習と観戦に時間を費やしたと話しました。憧れの舞台でレベルの高さを目の当たりにし、「いろんな人を見て向こうのツアーに行くと私の飛距離が平均くらいになるので全員が参考になる」といい「頭がパンクしそうなくらい学びました」と大きな経験を積んだようです。
67でプレーした要因は「パットの距離感が合ってきました。先週のグリーンの影響もあって曲がりの幅を読み過ぎていたので、少し浅めに読んでスピードも、そこまで速くないと思えたので、今日はたまたま入りました」とパッティングを挙げました。
スコアを一つ伸ばし5アンダー7位タイで終えた青木瀬令奈選手は、発表されている13フィート、コンパクション24.5の数字よりも速く見えるグリーンへの対応に戸惑ったといいます。傾斜近くに切られたピン位置のせいもあり、上りと下りのスピードの違いがそうさせたのでしょう。
そしてもう一つ全体のスコアが伸びなかった要因に「風が読みにくかったこと」を挙げます。正午の気象データでは気温25.7度、風向きは南、風速5.3m/sの風だったといいます。途中で風向きが変わり、パー3のティーショットや2打目で硬いグリーンに対して距離感を合わせるのが難しかったと続けました。そのため奥に転がってしまったアプローチを寄せ、パットでしのぐ展開になりなかなかスコアを伸ばせなかったと振り返りました。
首位で終えた内田ことこ選手は、ショットが安定していた初日に4アンダー、2日目を1アンダーで終えると、3日目は最終ホールでボギーを打ったものの3アンダーと8アンダーまでスコアを積み重ねました。
「自分で考えたいタイプ」という内田選手は、迷ったときには井上透ツアープロコーチにアドバイスをもらいながら、「昨年まではコースに出てもスウィングのことを考えていた」状態から、考えすぎずリズム良くプレーすることで「今はどう球を打つか。球を打つのに精一杯ではなく、自分のイメージに置けるようになった」と進歩してきた内容をラウンド後の囲み会見で教えてくれました。
そして前半に2つ、後半は16番のパー3をバーディ、17番パー5でイーグルと3つスコアを伸ばし、一気に首位と2打差まで詰め寄ってきた岩井明愛選手。17番はピンまで残り265ヤードの2打目を3Wでピン手前3メートルにつけ見事にイーグルを奪取。ラフが深く、グリーンが小さかった「全米女子オープン」ではティーショットが大事だと感じたといい、「先週からドライバーが右にしか行かなくて、今、少しずつ修正していて、今日は一番良かったと思います」と話しました。
今週の会場である六甲国際GCの硬くなってきたグリーンに対して、2打目をフェアウェイから打つことはチャンスメークの第一条件になっています。その条件を満たし上位に踏みとどまったのは金田久美子選手です。マンデートーナメントを首位で突破し、硬く速くなったグリーンに対応しパット数は27.33と全体の4番目。そして、先週からチェンジしたドライバーのシャフトの効果もあってFWキープ率は全体の5番目に位置しています。
内田選手は、17番のパー5で269ヤードを飛ばし249ヤードの2打目をグリーン右手前のバンカーに入れパーで終え、18番パー4では、打ち下ろしで35ヤードは考慮するものの、315ヤード先の左の池に入れボギーでホールアウトしました。このあたりは、まだまだ伸びしろがある部分だと思いますので、明日のプレーで一つ一つ詰めて行けば初優勝を手にするチャンスは大いにあると思います。
明日は一日中弱い雨で気温も19~21度くらいの予報になっています。グリーンは止まるように変化するでしょうし、スピードも落ちるかもしれません。いち早くそのコンディションに対応した選手がするするっと抜け出していくのではないでしょうか。最終日も現地からのレポートをお届けします。
写真/有原裕晶