惜敗の石川遼はスーパーショット連発で「63」の大爆発
6番パー5でチップインイーグルを奪った石川が最終18番パー4で再びギャラリーを沸かせた。フェアウェイ左サイドのバンカーからの2打目はカップをかすめて、奥10センチのスーパーショット。この日8つ目のバーディで「63」とスコアを伸ばし、この時点で首位と2打差の2位タイでのホールアウトとなった。
今大会は過去10度の出場で5度の予選落ち。ツアーでも一番の苦手コースを攻略した石川は
「今日は4日間で一番堅くプレーしてこのスコア。チップインやロングパットが入ったところがなくても4アンダーぐらいなので収穫があります」。
今季は技術面以上にメンタルや状況判断、ゲーム運びを意識。立ちにくいホールはなぜ立ちにくいと感じるのか、ひとつひとつを分析した結果として出た好スコアとあって手ごたえを口にした。
優勝の岩田寛はメジャータイトルへの思いが強かった
一方、首位を走っていた岩田は18番の大歓声を14番で聞いていた。
「遼がバーディなんだとわかって、負けたらどうしようと思ってました。遼のキャディが来週はボクのキャディなんで気まずいし、遼が勝ってごめんねって言われても腹が立つし(笑)」
歓声を聞いた14番と最難関の17番をボギーとして追いつかれる展開。プレーオフ前には来週の相棒に「恨みっこなしね」と声を掛けた。
メジャーで勝ちたい。今季は初めてそんな思いを持ってシーズンに入った。
「以前は勝った試合がたまたまメジャーだったらいいなというぐらいだったんですけど、正月に谷口(徹)さんから“今年はメジャーに勝てよ”とメッセージをもらって、それで意識が変わりました」
今大会の2日目に再び谷口から「ナイスプレー」とメッセージが来るまで、そのことは忘れていたが、タイトルへの思いが最後の最後で勝利を手繰り寄せる力になった。
もうひとつ、岩田には忘れていたことがある。今大会の優勝者に与えられる海外ツアーの出場権。7月のDPワールドツアー「BMWインビテーショナル」(ドイツ)、例年通りなら秋に日本で開催される米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」の2試合だ。
「知ってはいたんですけど、試合中は頭から抜けていて、表彰式で言われて思い出しました。嬉しいですね。楽しみです」
2016年には米ツアーに挑戦。その後も国内開幕前には毎年、アジアンツアーに出場するなど海外志向が強い選手だけに、挑戦の機会を素直に喜んだ。
そして、敗れた石川は2年連続の出場となる海外メジャー「全米オープン」(13日~)が目前に迫っている。
「自分が何かでねじ伏せようというのではなく、何が必要かを把握して、それに逆らわずにやるってこことですね」
国内メジャーでファンをワクワクさせる戦いを見せた2人が、次は世界の舞台でその力を発揮する。