桑木志帆のコーチを務めるみんゴル特派記者
桑木志帆選手がついに初優勝を飾りました。オフからコーチとしてサポートし、様々なことに取り組んで来た成果が、昨年プレーオフで敗れた「資生堂レディス」の初優勝という形で実りました。この場を借りて桑木志帆を応援してくれたすべての皆様に感謝します。ありがとうございました。
女子ツアーで優勝した選手のスウィング解説をする【勝者のスウィング】で桑木志帆選手の解説をすることが今季の目標の一つでもありました。早速、取り組んで来たこととスウィングを見てみましょう。
右足のかかとを浮かさないベタ足スウィング
桑木選手のスウィングは、いわゆる右足のかかとを地面から浮かさない”ベタ足”ですが、元々ゴルフをプロやインストラクターから習ったことのない桑木選手が自分で身につけた特徴の一つでもあります。
テークバックでは腕を伸ばしたワイドなバックスウィングから手元を高く上げ、アップライトなトップを作ります。
この画像は「ニチレイレディス」の際に撮ったものですが、先週はもう少し低いレイドオフ(トップでシャフトがターゲットよりも左を向く)に少し改良していました。
切り返しからはクラブが体に巻き付くように手首を柔らかく使い、ティーアップされたボールをアッパー軌道で打ちたいため右に軸を残しながらインパクトを迎えています。
欲を言えばもう少しボールを左に置き、クラブヘッドの最下点を過ぎアッパー軌道になった位置でボールを捉えたいので、今後も改善に取り組むことにしています。
右足をベタ足にすることで、インパクト前からフォローにかけて地面をしっかりと踏み込んで行きます。その力を使ってクラブを加速させ大きなフォローへとつなげ、トレーニングの効果も手伝って現在のヘッドスピードはトラックマンで計測すると44.5m/sまで上がってきています。
ベタ足の利点は、腰が前に出ることで体が起き上がることを防ぎ、手元の通り道を確保できる点ですか、昨年ドローからフェードへと持ち球をチェンジしてもベタ足の特徴は残しています。
アイアンがピンを刺すショットメーカー
桑木選手はショットの調子が良くなるとアイアンの距離感と方向性が抜群のショットメーカーとしてのパフォーマンスを発揮します。
練習する際にはトラックマンを使ってクラブ軌道、フェース向きをチェックしながら重心の位置や体の動き、クラブの動きを調整しながら調子を上げていきます。
先週は練習日からショットの感覚が良く、昨年は優勝したプロアマ大会でも2位となり、コースとの相性も再確認していました。初日は風が強くなった午後スタートでしたが、7バーディノーボギーの65とショットとパットが噛み合った今季のベストラウンドで終え、手応えを感じていました。
パットに不安がなかった
これまではショットでバーディを取ることが桑木選手のプレースタイルでしたが、昨年からずっと取り組んで来ているパッティングに少しずつ成果が出て来ていました。
4月末にピンタイプのパターを投入し「ラインが作れる」と使い続け、「ニチレイレディス」でピン「PLDアンサー2」の削り出しのパターに変えると、打感の良さからしっかり打つ感覚や距離感を感じ取れるようになり、パットのフィーリングも日に日に良くなってきていました。
初日に続いて、最終日もロングパットを幾つも決め、堀琴音選手とのデッドヒートで大会を盛り上げてくれました。終わってから聞いてみるとロングパットでもショートパットでも「パットに不安がなかった」とショットメーカーが入るパッティングを手に入れたことで初優勝を手繰り寄せました。
最終日は強い風が吹きましたが、今年のテーマでもある1年間ケガなく戦える体作りを小楠和寿トレーナーがしっかりと見てくれていることで、最後のパットまで集中力を切らさずにプレーできました。
ポイントランク上位進出や海外メジャー出場へと夢は膨らみますが、まだまだ取り組むべきことも多く残っています。2勝目、3勝目と重ねられるようこれからもサポートして行きます。
THANKS/ニチレイレディス