「ミネベアミツミレディス」で2季ぶりの復活優勝を遂げ、オープンウィークを挟んで「大東建託・いい部屋ネットレディス」で2試合連続優勝をツアー最多アンダーパーの28アンダーで飾った川﨑春花選手。現地は初日から湿度の高い暑さで選手やキャディ、ボランティアだけでなく冬に強いベントグリーンにも大きな負担になっていました。そのためグリーンは軟らかく、スピードも9フィート前後と皆さんがプレーする一般営業のコンディションでの戦いになりました。
ラフも昨年よりは短かったことも手伝ってラフからでもグリーンは止まり、選手たちに求められたのはピンを積極的に攻めるゴルフとグリーンスピードに対応するパッティングでした。山下美夢有選手とコーチとしてサポートする桑木志帆選手は予選ラウンドを共にしましたが、山下選手はバーディチャンスを量産するものの、タッチとライン取りのわずかなズレからスコアを伸ばしきれてはいませんでした。3日目、4日目と徐々に合わせ、最終的には24アンダーまでスコアを伸ばしましたが川﨑選手に対して4打差の2位で終えました。同じく桑木選手もグリーンへの対応に苦しみスコアを伸ばせずに終えました。
川﨑選手の4日間のスコアを見ると、68・65・63・64と3日間ビッグスコアを出し続けています。伸ばし合いの展開になったやさしいセッティングとはいえ、ビッグスコアを並べるのは難しいもの。前試合の「ミネベアミツミレディス」と同様に「自分との勝負」と自分のプレーに集中し、周りのスコアや緊張感からかけ離れた場所でプレーした姿が印象的でした。
前回の【勝者のスウィング】では川﨑選手の下半身の使い方について解説しましたが、ここではフェースの使い方(手の使い方)に注目していきます。
画像の通りフェースのターンが少ないことが見て取れます。以前聞いたところ「右手が下にしたまま振り抜いています」との答えでした。アドレスで左手よりも下にある右手がフォローで上になるとフェースは大きくターンします。この動きを使ってボールをつかまえたりヘッドを加速させることはごく当たり前のことではありますが、川﨑選手の場合はその動きを極力使わないことで方向性と距離感を確保しています。
その代わり飛距離を出すためには、下半身をしっかり使うことや左サイドの回転、体の動きの流れを乱さない整ったシークエンスなどは必要になってきます。
テークバックで左腕が地面と平行、フォローで右腕が地面と平行の位置でおさまるハーフスウィングで試してみると、川崎選手のフェース面や手の使い方が感じ取れるので、自分に合っていると感じたら取り入れてみる価値は十分にあります。
技術や体力のある選手が、スコアや周りのプレーに左右されず「自分に集中」したプレーができたら持てるパフォーマンスを存分に発揮できるはずです。後半戦も川﨑選手の快進撃が続くのは間違いでしょう。