朝方に雨が降りグリーンは軟らかくなり止まるコンディション。一つでも上位を狙う選手たちには攻めるゴルフが強いられました。最終日の上位陣は、竹田麗央、河本結、高橋彩華、岩井明愛選手らが前半からスコアを伸ばし、一時10アンダーに4人が並びます。後半12、13番のバーディで12アンダーまで伸ばした竹田選手でしたが、16番のボギーで一歩後退。17番のパー3でバーディを奪った河本結選手が11アンダーで並び最終ホールへと向かいます。
昨日までとは逆のアゲインストとなった18番パー5では、3打目でピンを狙う状況の中で河本選手は左のラフからピン左手前に約5メートル、竹田選手はフェアウェイからピン右横1メートル強という3打目の差が勝利を分けました。竹田選手は落ち着いてそのバーディパットを決め、最終組の岩井明愛選手を練習グリーンで待ちます。
最終組の岩井明愛選手は、最後まで攻め続けたものの差を詰められずに10アンダー3位タイで終え、竹田選手の今季4勝目が決まりました。
初タッグを組んだ河戸映キャディに話しを聞くと「ラフに行っても飛距離が出るのでウェッジで打てますしボールも止まりやすかったので、ほとんどのホールでドライバーを使いました。ウェッジではピンをデッドに狙い好調なショットに、今日はパットがよく決まりた」と飛距離を生かしたゴルフができていたと振り返ります。
優勝会見で初日からのプレーを聞くと「今週のテーマは振り切ること」だったとの答え。アムンディ・エビアン選手権でラフに入り、振り切れなくなっていたことから、ドライバーでしっかり振り切ることを心掛けていたと教えてくれました。飛距離を生かしたゴルフの裏には、失敗から学び検証と実践する力、ビジネス用語でいうPDCAサイクルを上手く活用していることがわかります。
初タッグの河戸キャディは、ウェッジの上手さに改めて驚かされたといいます。「飛んで(アプローチも含めて)ウェッジが上手いので、パットが入ったら本当に強い選手だな、と思いました」とウェッジの技術にも太鼓判を押します。
「(ウェッジの距離感が)昨日はショートしがちだったので、今日はしっかりとインパクトするようにしていました」とウェッジでチャンスメークをできた理由も、検証と改善する力の高さを見せていました。常にテーマを持って改善する姿勢こそ今季4勝の原動力になっていることが見えてきます。
今季の初優勝から早くも4勝目を挙げ、メルセデスポイントランクも首位に返り咲きました。絶対女王・山下美夢有選手に挑む竹田選手の後半戦にも注目していきましょう。
写真/岡沢裕行