最終組から4組前にスタートした竹田麗央、河本結、最終組の岩井明愛選手がデッドヒートを繰り広げ、最終18番パー5をバーディとした竹田選手が勝利を手にしました。
「振り切ること」をテーマに飛距離を生かしたプレースタイル
スコアを伸ばさなければ勝てない展開を制した要因は、飛距離を生かしたプレースタイルでした。
初タッグを組んだ河戸映キャディは「グリーンが軟らかくなっていたので、ラフからでもウェッジで打てるので積極的にドライバーを持ちました」とティーからグリーンまでベント芝の札幌国際CC島松コースを攻略しました。
優勝会見で初日からどんな入り方をしたか質問すると「今週は振り切ることをテーマにしていました」と答えてくれました。ということで、振り切るドライバーのスウィングを見てみましょう。
クラブを立てて上げながら早い段階で背中をターゲットに向けてテークバックします。右の股関節に胸を乗せ右足にしっかりと荷重し地面に対する圧力の中心を右へと移動させていきます。
よく見ると、画像A右の左腕が10時の位置までで時計回りに体をねじる動きを終えていて、画像B左のトップの位置では下半身は右から左へと地面に対する圧力の中心を移し始め、ダウンスウィングの切り返しへと入っています。
そうすることによって先行した下半身と上半身の捻転差が作られていきます。そしてテークバックで右に乗り、そこから左に乗せて切り返すと画像Bの真ん中のタイミングで足にかかる力を計測すると右足は後ろ、左足は前に地面を擦るような力が働くと様々な分析からわかっています。
この足の動きこそ切り返しのタイミングで巻き戻す力(トルク)を最大にし、飛距離を出す秘訣だとゴルフスウィングにおける地面反力の第一人者であるクォン教授は教えてくれます。
画像Cでは踏み込んだ左ひざを伸ばしながら左股関節を後ろに引き、骨盤を積極的に回線させる竹田選手の特徴的な動きが見て取れます。
アングルを変えてアイアンショット見てみると、画像Dでは積極的に足を使って骨盤を回転させながら、頭の高さを変えないことで独特のフィニッシュへと大きく振り抜いています。
「エビアン選手権」で多くラフにつかまったことでスウィングが縮こまっていたといいます。そこから持ち前の飛距離を生かしたプレースタイルに戻すために「振り切る」ことをテーマに臨んだという竹田選手。
振り切ろうと意識すると、インパクトで合わせるような動きは少なくなりますしフィニッシュに向けて振り抜くことでヘッドの動く円弧は、大きく緩やかになりインパクトゾーンを長くしミスを減らしてくれます。
私も次のラウンドでは竹田選手のスウィングをイメージして振り抜くことをテーマにプレーしてみたいと思います。
撮影/岡沢裕行