「入れ!」の声が快晴のパリの空にこだました。ギャラリーの思いを乗せて放った最終18番のイーグルパット。渾身の1打がカップの右をすり抜けた瞬間、届きそうだったメダルは両手の間をすり抜けた。
バーディパットはしっかり決めたが最終日5バーディ、2ボギー、2ダブルボギーの内容で1オーバー73。通算6アンダーは3位のリン・シユ(中国)に1打及ばず4位タイ。山下の初めてのオリンピックはメダルなしで幕を閉じた。
「今日は9番と16番でもったいないダボを打ってしまって。特に16番のショットは悔やまれました」と連続バーディで迎えたパー3のティーショットを池に入れたこの日2つ目のダボを悔しがった。
18番でイーグルなら銅メダルをかけたプレーオフもあり得たが、2オンに成功したものの渾身のパットがカップをすり抜け万事休す。
ラウンド後のインタビューでは「緊張感があって楽しくプレーできました。悔しい結果に終わってしまったんですけど、これを次に活かせるよう頑張りたいと思います」と気丈に語った山下。しかし緊張が溶けると思わず涙がこぼれた。
チームジャパンは前週、松山英樹が念願の銅メダルを獲得し歓喜に湧いた。その興奮を現地で味わい必勝を誓った山下だったが、2番のバーディでトップに並びながら肝心な場面でスコアを落とし表情台に上ることはできなかった。
しかし豪快かつ正確なショットで最後まで上位争いを賑わせた彼女の勇姿は世界のゴルフファンの胸に刻まれたはず。まだ23歳。もし出場が叶えば4年後のロス五輪で雪辱を果たしてもらいたい。
もうひとりのチームジャパン、笹生優花は最終日ダブルボギーを3つ叩くなど乱れ10オーバー82
。通算17オーバー、54位に終わった。
「楽しんでゴルフができればと思っていました。結果は良くなかったですけど、1週間楽しかったので良かったです」と全米女子オープンチャンピオンは4日間の戦いを総括した。
※2024年8月11日11時34分、一部加筆修正しました。