「パーでもよかったんだって考えると本当に悔しくて」(政田)
悔やんでも悔やみ切れない1打だった。
単独首位に立って迎えた最終18番、ルーキー優勝を目前にした政田はティーショットをしっかりとフェアウェイのほぼ真ん中に置いた。第2打はピンまで残り150ヤード。手に持った7番アイアイでグリーンをとらえれば、夢は大きく近づく、、、はずだった。
ところが、少し引っ掛け気味に舞い上がったボールはピン左に着弾後、左傾斜で勢いを増し、左サイドの飛び込んだ。1罰打を加えて池の縁から打った第4打のアプローチも、第2打のショックからか、シャンク気味でグリーンに乗せられず、5オン1パットで痛恨のダブルボギー。つかみかけた初優勝がその手の中からスルリと逃げた。
結果は優勝した河本に1打差の2位。
「悔しいという思いが時間が経つにつれてどんどん大きくなっていって、パーでもよかったんだって考えると本当に悔しくて…。経験不足でしたし、やっぱり最終ホールは右に乗せてしっかりパーを取るべきだったと、今考えるとそういう気持ちです」
18番は前日の第2日も第1打を林に打ち込んでダブルボギーをたたいた鬼門のホールでもあった。
「昨日も左に曲げてダブルボギーを打ってて(今日は)ドライバーを真ん中に置けてたのでとりあえず安心したんですけど、グリーンセンターからつかまえて、ピン方向に飛んでくれたらいいなという気持ちで打ったのが、やっぱり気持ちがピンにいってしまった」
そう言って整ったマスクを曇らせた。
「最終ホールもバーディを取れたらいいな……」と攻めた結果が……
17番までは優勝争いに加わり、ルーキーらしからぬ堂々としたプレーで試合を引っ張った。
首位に6打差でスタートしながらも攻める気持ちを前に出し、2番で左奥から3メートルを決めバーディ先行。7番からは3連続バーディを奪って首位に並んだ。後半も11、17番でスコアを伸ばしたが、最後の最後に落とし穴が待っていた。
ゴルフで池がらみのホールはプロでも簡単ではない。パリ五輪日本代表の山下美夢有も勝負どころの最終日16番で"池ポチャ"のダブルボギーをたたいて、メダル逃しの4位にとどまった。
「もう少しマネジメントをしっかりして最終ホールに挑みたかったなっていう感じです。流れがすごくよかったし、最終ホールもバーディを取れたらいいなという気持ちではありました」
今大会の最多バーディ賞に輝いたルーキー
古江彩佳、西村優菜と同じプラチナ世代に属する2000年7月28日、北海道札幌市生まれ。3歳でゴルフを始め、北海学園札幌高時代の2017年に全国高等学校ゴルフ選手権、2018年北海道ジュニア選手権で優勝。昨年プロテストに5度目のチャレンジで合格を果たした。今季はQTランキング147位からのスタートだったが、リランキングを30位でクリア。レギュラーツアー出場は今大会が8試合目だった。
ルーキーイヤー優勝の夢は今後に先送りになったが、2位は自己最高成績で、おまけに今大会の最多バーディ賞(17個、賞金100万円=提供 明治安田生命)にも輝いた。
「今週は距離がすご長かったんですけど、私はそんなに飛ぶタイプじゃないのに、それでもたくさんバーディが取れるんだなっていうのも思いましたし、2位で悔しいんですけど、今後につながるプレーができたかなって思います」
24歳のルーキーが笑顔で前を向いた。