「日本女子オープンゴルフ選手権」で今季7勝目を挙げた竹田麗央。距離が長くラフの深いセッティングでメジャー2大会連続優勝を飾ったスウィングをみんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が解説。

今週は桑木志帆選手のコーチとして会場入りしていましたが、「日本女子オープン」史上最長の6845ヤードに深いラフという難セッティングに練習ラウンドから選手の心・技・体のすべてが試されると思いました。

中継でも青々としたフェアウェイ見てご存じの人もいたと思いますが、マスターズが開催されるオーガスタナショナルGCと同じように、フェアウェイはすべてグリーンからティーグランド方向へと逆目に刈りこまれ、ランで距離を稼ぐことは期待できませんでした。フェアウェイだけでなくティーグランド、さらには練習場も逆目に刈りこまれていたことで抜けの悪い打ちにくさを感じていました。

画像: 「日本女子オープンゴルフ選手権」で今季7勝目を飾った竹田麗央

「日本女子オープンゴルフ選手権」で今季7勝目を飾った竹田麗央

史上最長のコースセッティングは、400ヤードを超えるパー4が6ホールあり、すべてのホールが逆目に刈られ、運の要素も大きかった深いラフは順目ならグリーン方向に打ち出せるものの、逆目や渦を巻くようなライからはレイアップの選択をせざるを得ない状況でした。グリーンはフェアウェイからであれば止められる軟らかさがあり、パットで転がすと速さを感じる仕上がりにフェアウェイキープとパーオンの重要さを改めて気付かされます。

画像: 深いラフからでも短い番手でグリーンを狙った

深いラフからでも短い番手でグリーンを狙った

竹田選手が優勝を手にした要因を考えてみると、竹田選手は56ホール中35回とFWキープ率は悪かった(全体の54位タイ)ものの、72ホール中57回のパーオンと、佐久間朱莉選手の58回に続く2番目に高いパーオン率を誇ったこと。それは深いラフを恐れずに振り抜いたドライバーショットでグリーン近くに飛ばし、短い番手でグリーンを狙うことができたからだと思います。全体的に右ドッグレッグが多かったこともフェードヒッターの竹田選手に有利だったことも挙げられます。

それと深いラフからのアプローチが抜群でした。特に最終日の12番のパー3で右へミスしたあとの深いラフからの2打目のアプローチを寄せてパーでしのぎ、13番パー5の深いラフからのアプローチを寄せてバーディとしていました。優勝会見では「アプローチは今週は良かったのでミスはなかったと思います」といいます。

画像: 深いラフからのロブショットでピンチをチャンスにスコアを伸ばした

深いラフからのロブショットでピンチをチャンスにスコアを伸ばした

ここでは竹田選手の朝の練習始めに必ず行う、ティーアップしてウェッジを使いスローモーションで打つ練習法を取り上げてみましょう。朝の駐車場を軽く走り、練習場ではバットを振って体をほぐすとスローモーション打ちから始めています。スローモーションは素振りでも体やクラブの動き出す順序を整えたり、クラブや体の動きを感じながら振ることで大きな効果が期待できます。

画像: 朝の練習始めに行うウェッジを使いティーアップしてスローモーションで打つ

朝の練習始めに行うウェッジを使いティーアップしてスローモーションで打つ

竹田選手はこのティーアップしたボールをスローモーションで“フルスウィングの大きさで打つ”ので、体の動きだけでなく入射角や打点、リズム感も確認していることでしょう。朝の練習場は時間を気にして、つい焦りがちなるのでゆっくりとしたスローモーション打ちで気持ちを落ち着かせているのかもしれません。

画像: 体やクラブの動きを感じながら5~10球程度フルスウィングの大きさで行っている

体やクラブの動きを感じながら5~10球程度フルスウィングの大きさで行っている

5球から10球程度のスローモーション打ちした後にウェッジで短い距離から打ち始めています。シーズンを通して安定した成績を残す竹田選手のスウィングの基本になっているに違いありません。

初優勝から7勝を挙げメルセデスポイントは3000ポイントを超え、独走態勢に入った竹田選手。2位の山下美夢有選手は約2400ポイント、3位小祝さくら選手と4位の岩井明愛選手は約2000ポイントで続きます。出場選手が限られる「TOTOジャパンクラシック」と「JLPGAツアー選手権リコー杯」まで入れると残すところ8試合。引き続き竹田選手に注目していきましょう。

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