太平洋クラブ御殿場コースで開催された第15回アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権は昨年プレーオフに敗れ、2位に終わった中国のウェニー・ディンがリベンジを果たし優勝を飾った。アリゾナ州立大学2年を終えたばかりの19歳は「アマチュア最後の試合で優勝できました。とても気分がいいです」と感無量。ん? アマチュア最後ってどういう意味?
画像: アジアパシフィックアマチュア選手権を優勝したウェニー・ディン(撮影/小林司)

アジアパシフィックアマチュア選手権を優勝したウェニー・ディン(撮影/小林司)

4ラウンド連続67をマークし通算12アンダーで2位に1打差、3位の中野麟太朗に2打差をつけ先頭でゴールを駆け抜けたディンは現在世界アマチュアランキング5位の強豪。190センチの長身から繰り出すショットは迫力満点だ。

「18番はすごく緊張しました。バーディチャンスは難しいラインじゃなかったのになぜか1メートル
もオーバーしてしまったのですから」

画像: 最終18番のサードショットはピン奥に着弾。2パットのパーで優勝した(撮影/小林司)

最終18番のサードショットはピン奥に着弾。2パットのパーで優勝した(撮影/小林司)

終始冷静なプレーで首位の座を譲らずホールアウトしたときも平常心を保っているように見えた。しかし表彰式では堪えきれず涙が溢れた。

大会前から「これを最後にプロに転向する」と宣言していたディン。優勝者には来年のマスターズと全英オープンの出場権が与えられるが、あくまでもアマチュアであることが条件。だから誰もがマスターズまたは全英オープンをプレーしたあとでプロ宣言する。

ところがディンは「多分来週プロ転向します」ときっぱり。「大会前自分が優勝するとは思っていませんでした。気持ちはもうプロ。アマチュアで出られなくても将来マスターズも全英オープンも必ず出ます」

後悔しない? と問われると「人間は誰でも後悔するものです。14歳のときに中国のアマチュア競技に3年連続勝って、本来なら(中国ツアーの)ボルボ中国オープンに出られるはずだったのに結局(大会から)声がかからなかった」。

その経験から「自分の道は自分で切り拓く」と決めた彼は今年何度もDPワールドツアーの試合に出てプロゴルファーになるための勉強を積んできた。9月にはPGAツアーのフェデックスカップフォールの初戦(予選落ち)にも出場している。

画像: キャディは父親が担当。グリーン上で3パットをほぼしない完璧な内容はグリーンを読んでくれた父親のおかげか!?(撮影/小林司)

キャディは父親が担当。グリーン上で3パットをほぼしない完璧な内容はグリーンを読んでくれた父親のおかげか!?(撮影/小林司)

もちろんアジア太平洋アマは彼にとって大きな意味がある大会。「3年前上海大会に出たときは緊張のあまり9ホールで7オーバーを叩きました。2年前のタイでは自分をコントロールできなかった前回を反省し上位争いしました。そして昨年メルボルンで2位。最後と決めた御殿場で優勝できて良かった。上達していると感じたし自信もつきました」

プロ転向ならマスターズには出られない。それをわかっていてもプロ転向を優先するというディン。もしかすると将来とてつもない選手になるかもしれない。

なお今大会の優勝者に与えられるメジャー出場権を2位の選手が繰り上がりで獲得することは現時点ではないようだ。

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