4ラウンド連続67をマークし通算12アンダーで2位に1打差、3位の中野麟太朗に2打差をつけ先頭でゴールを駆け抜けたディンは現在世界アマチュアランキング5位の強豪。190センチの長身から繰り出すショットは迫力満点だ。
「18番はすごく緊張しました。バーディチャンスは難しいラインじゃなかったのになぜか1メートル
もオーバーしてしまったのですから」
終始冷静なプレーで首位の座を譲らずホールアウトしたときも平常心を保っているように見えた。しかし表彰式では堪えきれず涙が溢れた。
大会前から「これを最後にプロに転向する」と宣言していたディン。優勝者には来年のマスターズと全英オープンの出場権が与えられるが、あくまでもアマチュアであることが条件。だから誰もがマスターズまたは全英オープンをプレーしたあとでプロ宣言する。
ところがディンは「多分来週プロ転向します」ときっぱり。「大会前自分が優勝するとは思っていませんでした。気持ちはもうプロ。アマチュアで出られなくても将来マスターズも全英オープンも必ず出ます」
後悔しない? と問われると「人間は誰でも後悔するものです。14歳のときに中国のアマチュア競技に3年連続勝って、本来なら(中国ツアーの)ボルボ中国オープンに出られるはずだったのに結局(大会から)声がかからなかった」。
その経験から「自分の道は自分で切り拓く」と決めた彼は今年何度もDPワールドツアーの試合に出てプロゴルファーになるための勉強を積んできた。9月にはPGAツアーのフェデックスカップフォールの初戦(予選落ち)にも出場している。
もちろんアジア太平洋アマは彼にとって大きな意味がある大会。「3年前上海大会に出たときは緊張のあまり9ホールで7オーバーを叩きました。2年前のタイでは自分をコントロールできなかった前回を反省し上位争いしました。そして昨年メルボルンで2位。最後と決めた御殿場で優勝できて良かった。上達していると感じたし自信もつきました」
プロ転向ならマスターズには出られない。それをわかっていてもプロ転向を優先するというディン。もしかすると将来とてつもない選手になるかもしれない。
なお今大会の優勝者に与えられるメジャー出場権を2位の選手が繰り上がりで獲得することは現時点ではないようだ。