昨年の「TOTOジャパンクラシック」以来の姿を見せてくれた畑岡奈紗選手。その大会では首位タイで出た最終日にスコアを伸ばせず8位タイで終えていましたが、約1年後の今大会では強風の最終日にスコアを3つスコアを伸ばし1打差の2位タイでの惜敗となりました。
初日の22位タイからショット、パットともに調子を上げ、最終日のバックナインで一時首位並ぶ追い上げをみせてくれました。序盤の3番パー4で右ラフからグリーン手前のバンカーにつかまり奥の左ピンに対して寄せきれずに3パットを喫し、ダブルボギーと苦しいスタートでしたが、そこから次の4番でロングパットを決めバウンスバックに成功すると後半に3つのバーディを奪い一気にリーダーボードを駆け上がっていくさまに世界ランカーの底力を見ました。
その原動力となったのは初日からまずまずの調子だったショットに、今一つだったパッティングを修正できたこと。4日間大会の戦い方を熟知している畑岡選手らしい追い上げに、世界で戦うタフさを感じました。
最終日のラウンド後の囲み会見では「中国から帰ってきてからなかなかショットが思うようにいかなくて、結構調整してたんですけど、それがちょっとしたことで変わるんだなってことと、それをしっかり試合中もできたっていうのはよかったので、徐々に順位を上げて終われたのもよかったと思いますし、残りの試合に繋がるいい試合だったかなと思います」と話しました。調整のポイントはアドレスやクラブの握り方など「ちょっとしたこと」ことのようです。
元々フェースを開いて閉じるオーソドックスなスウィングが畑岡選手の特徴ですが「ドローを打つときに体が止まってエネルギーをロスしている。フェードの体の使い方でドローが打てたら」と練習場では話していました。切り返しで先行した下半身を止めて上半身、腕、クラブへと伝達する際にフェースの開閉が強いと方向性が安定しないことにつながるというのでしょう。
練習日の畑岡選手の練習から試合での姿まで見て来ましたが、現在のチェックポイントはテークバックのフェースの向きを開きすぎないようにすること、肩のラインをフラットに回さず左肩を下げダウンスウィングでは右肩と入れ替えるようなシャドースウィングをしていました。
握り方でフェースの開閉を少なくするために、スクエアグリップに比べて前腕を時計回りに回した状態で握るストロンググリップにすることは、ほんの少しだけ握り方を変えるだけでも有効な改善策になります。
ドライバーだけでなく、右に切られたピンにはフェードで、左に切られたピンにはドローとピン位置によって球筋を操るのも畑岡選手のプレースタイル。そのためにもニュートラルな軌道やフェースの開閉は不可欠なもの。
取り組むスウィングに磨きをかけて、米ツアーの残るシーズンでも活躍する姿を見せてくれることでしょう。