フォーティーンから「TB-5 FORGED」の新製品が11月8日に発売された。現行「TB-5 FORGED」は“令和の名器”として初代が2020年に発売され、いまもなお高い人気を誇っている。「現『TB-5 FORGED』も、非常に完成度の高いアイアンなのに、この上、どこをいじってリリースしようというのか」とは試打をする前の堀越良和プロ。さてニュー『TB-5 FORGED』は、どこがどう新しくなったのか、2人に打ち比べてもらった。
画像: 新しくなったTB-5 FORGED。シアターブレードのトウ側、ヒール側に切り込みが入っている

新しくなったTB-5 FORGED。シアターブレードのトウ側、ヒール側に切り込みが入っている

テスターは堀越良和プロと、アマチュア代表として高橋健二さん。

画像: 高橋健二さんが持っているのが新「TB-5 FORGED」、堀越良和プロが持っているのが旧「TB-5 FORGED」

高橋健二さんが持っているのが新「TB-5 FORGED」、堀越良和プロが持っているのが旧「TB-5 FORGED」

堀越プロは、「みんなのゴルフダイジェスト」のカスタムクラブの試打レポートで、これまでも歯に衣を着せぬ的確なクラブ評価でお馴染みだが、高橋さんはHS40m/sで、最近ハンデ6になった76歳のエージシューター。キャディバッグにはいまも4番アイアンから入れているアイアン大好きゴルファーだ。「重心位置はほとんど変えていない」(フォーティーン担当者)という新「TB-5 FORGED」を、試打した2人はどんな感想を述べるだろうか?

ラプソード MLM2PROで計測したデータは別表をご覧いただきたいが、データの数字を見る限り、新「TB-5 FORGED」は、旧モデルとほとんど変わっていない。高橋さんの場合は、キャリーがわずかに伸びたことと、9Iの降下角が大きくなっていることが見て取れるが、堀越プロのほうは、ほぼ同じ数字が並ぶ。

キャリートータル降下角スピン量高さ
9I(新TB-5 FORGED)119.5Y128.3Y46.0度6175rpm22ft
9I(旧TB-5 FORGED)114.0Y122.9Y40.3度6551rpm17ft
7I(新TB-5 FORGED)133.1Y143.2Y41.9度5480rpm20ft
7I(旧TB-5 FORGED)127.5Y138.4Y41.1度6011rpm19ft
5I(新TB-5 FORGED)153.4Y167.9Y39.8度4639rpm20ft
5I(旧TB-5 FORGED)148.5Y161.9Y37.9度5112rpm19ft
高橋さんの3球の試打結果の平均
画像: ドライバーのヘッドスピードが40m/sの高橋さんはHC6のエージシューター

ドライバーのヘッドスピードが40m/sの高橋さんはHC6のエージシューター

キャリートータル降下角スピン量高さ
9I(新TB-5 FORGED)126.1Y133.1Y50.5度7353rpm27ft
9I(旧TB-5 FORGED)128.0Y134.8Y50.0度7500rpm27ft
7I(新TB-5 FORGED)148.1Y157.3Y48.9度5826rpm27ft
7I(旧TB-5 FORGED)150.9Y160.4Y47.2度6046rpm29ft
5I(新TB-5 FORGED)172.3Y185.9Y44.7度4799rpm27ft
5I(旧TB-5 FORGED)171.7Y184.9Y44.2度4965rpm26ft
堀越プロの3球の試打結果の平均
画像: 堀越プロはドライバーのヘッドスピードが44m/sほどで試打

堀越プロはドライバーのヘッドスピードが44m/sほどで試打

ただ、両者ともスピン量はやや減っていて、いわゆる“フケ上り”を抑えた球筋になっていることがわかるだろう。そうしたデータを踏まえた上で、試打の感想を聞いた。

ーー新旧モデルを打ち比べて見た感想は?

堀越プロ:打つ前も話したけれど、旧モデル自体、すごく完成度の高いアイアンで、いま打っても相変わらず打ちやすくて、高さはちゃんとした高さが安定して出るし、着弾角が大きくてグリーンでもよく止まる。いわば高く上がって真上から落ちる球筋だからランがなく、ピンポイントで狙い撃ちできるアイアンだよね。

で、ニューモデルは旧モデルとどこが変わったか、と言ったら、データ上はどこも変わっていない、と思えるほど変わっていない。

ただ、打ってみて感じるのは、インパクトの「抜け」の良さ。旧モデルも、他のモデルと比べれば「抜け」はよかったけど、打ち比べると、ニューモデルは一段とよくなった。とくにボールが芝に沈んでいる深いラフから打つと、明らかにニューモデルのほうが「抜け」がよくて打ちやすい。

高橋さん:旧モデルも相変わらず打ちやすいですねえ。打ちやすいし、「抜け」がいいし、球はよく上がるし、前進力というか、前に飛ぶ勢いもあり、飛距離も出る。それとミート率がいい。芯を食う確率が高いから、弾道が安定している。

もう1つ、私はニューモデルはインパクト時の打感が、ちょっと重くなった気がします。当たりが厚くなって、フェースにボールがくっついている時間が長くなった感じがする。そのぶん、スイートエリアが広くなってミスヒットに強くなった気がしますね。

画像: 「食いつく打感が強くなっている」と高橋さん

「食いつく打感が強くなっている」と高橋さん

ーーメーカーは「抜け」のよさがアップしたといっているが?

堀越プロ:それは感じました。「抜け」がよいと、ボールが引っかからないので、左へ行かない。それはボールが沈んだラフなど、タイトなライのときにとくに感じる。左へ行く不安がないと、安心して振り切れ、そのぶん、打球は強く、正確にコントロールできる。曲がらないし、直進性が非常に高い。

もう1つは、データにも表れていますが、スピン量が減っている。これは、スコアラインの少し上に当たっているからで、そこにボールが当たるということは、インパクト時にヘッドが少し沈み込んで当たっている。ヘッド軌道が旧モデルより、沈んで当たっているけど、でも刺さらずに振り切れる。それこそが、まさに「抜け」がいいことの証明になりますね。

画像: 「タイトなライでも抜けが良いので、左に行く心配がない」(堀越プロ)

「タイトなライでも抜けが良いので、左に行く心配がない」(堀越プロ)

高橋さん:私は、フェアウェイの残り120ヤード前後で、ベタピンにつけたい絶好のポジションから9IやPWで打って、ダフリチョロすることが時々あった。それはたぶん、ダウンブローに打とうという意識が強すぎて、ヘッドが刺さっていたんだと思うんです。でも、ニューモデルはそれがない。少し芝に噛んでもちゃんと抜けて思い通りの高さで、狙った距離を飛んでくれます。

堀越プロ::おっしゃる通り、アマチュアの中上級者には、つかまえるのが上手くて、つかまりすぎて左に引っかけたり、ダフってショートしたりするケースが意外に多い。そういうミスは、ニューモデルでは激減するでしょうね。

高橋さん:逆に、プロとして気になるところは?

堀越プロ:あえて、抑えた球を打とうとしてみたんだけど、けっこう球は高く上がる。ニューモデルはそういう小細工をしなくて、真っ直ぐ曲がらない球を簡単に打っていきたい人向けに開発されているんだと思うよ。低く打ちたいなら、1クラブ上げて打てばいいだけだし。

高橋さん:どこをどう細工してあるんですか?

堀越プロ:ニューモデルはソールのリーディングエッジ側を少し削って丸みをつけてある。プレウォーンというんですが、いわゆる小さなバウンスをつけてあるんですね。バウンスは、スキー板の先端を丸くして新雪に潜り込まないようにしたのと同じ原理なんだけど、このプレウォーンによってヘッドが地面に刺さらないようになっている。それが「抜け」のよさになっているんだと思います。また、プレウォーンだけでなく、バックフェース側のソールも少し削ってある。この小さな丸みが、絶妙な「抜け」のよさを演出しているんじゃないかな。「抜け」がよいと芝の抵抗を受けず、インパクトでヘッドが回りすぎない。そのぶん、飛距離や方向性の正確さがアップするよね。

画像: 「旧モデルはリーディングエッジの丸みが抑えていて、新モデルは削ってある。それが抜けの良さにつながる」と堀越プロ

「旧モデルはリーディングエッジの丸みが抑えていて、新モデルは削ってある。それが抜けの良さにつながる」と堀越プロ

高橋さん:デザインは旧モデルとほとんど変わらないのに、じつはかなりすごいことをやっているんですね。

堀越プロ:旧『TB-5 FORGED』はブレードの長さがヘッド軌道の安定性、ひいては打ちやすさや弾道の安定性に繋がっていたんだけど、ブレードが長いと、タイトなライにきたときに操作性に多少問題が出てくる。そこをニュー『TB-5 FORGED』は、ソールの削りを工夫することによって解消しようとしたんじゃないか。もう1つ、バックフェースのソール寄りに厚みをもたせた部分のネック寄りとトウ寄りに切れ込みをいれてある。コレは単なるデザインじゃなくて、重心の厚さに繋がっているんじゃないかと。これで重心位置を左右にズラすことなく、スイートエリアを広げてミスへの許容性を強めてあるような気がします。

画像: 「バックフェースの切り込みによって重心位置を左右にズレることなく、深くできているのでは?」と堀越プロ

「バックフェースの切り込みによって重心位置を左右にズレることなく、深くできているのでは?」と堀越プロ

高橋さん:アベレージゴルファーなら気にしないようなミスもクラブがちゃんと修正してくれるアイアンですね(笑)。

堀越プロ:そうね。たとえば、アベレージゴルファーは、左に引っかけてグリーンを外した時に「ミスした」っていうでしょう。このクラブは、右にあるピンを狙って、グリーンには乗ったけれども、狙いよりも左に乗ってバーディチャンスにつけられなかった、そういうショットを「ミスった」と思うゴルファー向けに仕上げたんだと思いますね。

高橋さん:ミスの中身が違うんだ。単にグリーンオンすればOKのレベルと、狙いたいところでしっかりバーディチャンスにつけたいレベルの違いですね。聞いた話ですけど、昔、プロを目指していた人が、フォーティーンの営業に入ってゴルフから遠ざかっていた。それが最近、もう1度、ゴルフを再開しようとなったときに、使うクラブがない。じゃあウチで作ろう、となって、「カッコ悪いのはイヤ。でも難しいのもイヤ」ってんで、アスリート向きでやさしく打ちたいモデルとして開発したらしいんです。

堀越プロ:まさにソレだね。グースじゃないけど出っ歯でもない。重心距離は長いけど、長すぎない。重心高は高すぎず、低すぎず。削りによって「抜け」をよくして、スコアラインの少し上で当たるようにしてスピン量を減らしている。ピンポイントを狙ったクラブだよね。

●どんなゴルファーにお勧め?

高橋さん:私は76歳で、もうマッスルバックは卒業したと思っていたんですけど、TB-5 FORGEDなら使ってみたいですね。いま使っているロフト角の立ったアイアンと比較しても、距離はまったく遜色ないし、高さが出るので、グリーンで止まりやすいし。

堀越プロ:対象ゴルファーはかなり広いと思うよ。メインターゲットは、スコアで言えば80台で回る人、ハンデなら12~13のゴルファーだと思うけど、向上心のある人ならハンデ20前後でも使って欲しいし、ハンデ7~8で片手シングル入りを目指しながら、壁に突き当たっている人はクラブに原因があるかもしれないので、そういう人も1度試してみるといいよ。

PHOTO/三木崇徳
THANKS/大宮ゴルフコース、クレアゴルフフィールド

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