大山志保を襲った原因不明の病
当初は「種子骨障害」と診断されていた大山。「最初は母指球の痛みで公傷制度をいただいて、休みに入ったんですけど、そのときに状態があまりよくないといわれ、早めに治療したほうがいいといわれて、治療していたら全身に痛みが出るようになったという感じです」と原因不明の病に苦しまされている状況を話してくれた。
また、「原因がずっとわからなくて、いろんなところを検査してもわからず、もしかしたらこれじゃないかと判明したのが、昨年12月で、その治療が始まったのが今年の1月です。それからずっと治療、投薬してきましたが、それでもよくならず、9月まで薬を飲んでいましたが、やはりよくならず、副作用もあったので薬を止めて、今は痛みに耐えている感じです」と様々な方法を試しながらも痛みと共に生活していることを明かした。
ゴルフ復帰への兆し
今年の5月までは眠れないほどの痛みに襲われることもあり、「朝起きて、ハイハイしてお手洗いや洗面台にまで行ったりとか、そういう状況でなかなか原因もわからないから、自分でも辛かったし、そういう状況でした」と当時の生活を振り返った。
今年の1月にストレッチをはじめ、最近になって18ホールを歩いて回るようになったという大山。まだ痛みは取れず、特に下半身の痛みが強いことから大きめのシューズを履いたり、スウィングしては休んだりという状況のなか、伊藤園レディス出場へ踏み切った。
11月7日木曜日に行われたプロアマ戦を終えて大山は「飛距離が2番手落ちて、ドライバーも落ちました。自分は下半身でスウィングするタイプですが、それが難しい状況です。でも、2年と5カ月。この舞台に立ちたいという思いで1日1日を過ごしてきたので、明日それができるかと思うとすごく嬉しいです」と想いを馳せていた。
伊藤園レディス初日を終えて
初日を終えた大山は「幸せな気分で、ゴルフの調子はひどかったんですけど、ギャラリーの皆さんに温かい声援を頂いて、ほんと幸せだなと思いました。ここまでいろんなことがあったんですけど、たくさんの方に支えていただいて、戻ってこられただけで100点なんですけど、私、欲深い性格なので、まだゴルフが全然というところが悔しいので、伸びしろしかないなと思ってました。あそこのティーグラウンドに立つのを目標に頑張ってきたので、拍手で迎えられてすごく嬉しかったです」と、ゴルフができる喜びを噛みしめていた。
2日目、予選落ちとなってしまった大山志保。現在の心境を語った
「ショットは0点でした。やるからには結果を求めたいなっていう欲がやっぱり出てしまいますが、欲があってこそプロだと思うのでまだまだ上を目指したいです。今回の収穫は、色々できない中でも怖がらずに、恐れずにチャレンジできたことは良かったです。ギャラリーの皆さんの後押しがなければだめだったと思います」と、応援してくれたギャラリーに感謝する気持ち、そして元賞金女王のプライドが垣間見える大山志保らしさが滲み出ていた。
プレーについて大山は「足を使ってボールを潰して打つような打ち方で20年ちょっとやってきたのですが、それが一番自分の足に負担がかかるので、できなくなりました。正直アイアンが私の武器みたいなものだったんですけど、距離も2番手ほど落ちましたし、しっかりと当たってなくて。そこの部分が0点に近いのでしっかり修正したいなと思います。YouTubeとかいろいろな人の意見を聞いて自分なりに取り入れていきたいなと思います」。下半身が以前のように使えないもどかしさと同時に、今の状態に合わせてスウィング修正に取り組む姿勢を話した。
今後の展望
「このままエリエールに向けて準備しますが、その間にはQTへの準備やまだ合う治療法が見つかっていないので、良い治療法があればいいなと思っています。今もまだ痛くて『誰か助けて』って感じではありますけど、これはしょうがないので……。いい薬と出合えればいいなーって思っています。すぐ良くなりたいと思って飛びついてしまうと、かえって悪くなってしまいそうなので、すぐ治らないものだと思って時間をかけて治療していきたいです」と語った。
公傷制度により来季のシード権獲得は厳しいが、今後の大山志保の活躍を待つ。
トーナメント特別保障制度とは?
JLPGAツアーの競技(予選会を含む)及びJLPGAが承認した全競技の競技場内での負傷及び競技出場のための往復途中での負傷、その他競技の出場に起因することの明らかな負傷又は疾病でJLPGAトーナメントに出場できなくなり、トーナメント特別保障制度専門委員会が承認したシード選手、または前年度ツアー競技優勝者を対象とした制度のこと。
※2024年11月11日19時00分、一部加筆修正しました。