国内女子ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」は、桑木志帆がメジャー初制覇を完全優勝で飾った。みんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が現地からのレポートをお届けします。

今季コーチとしてサポートする桑木志帆選手が、フェードヒッターには難しい宮崎CCで初日から首位を譲らずにメジャー初制覇を成し遂げました。手前味噌にはなりますが、昨年は1日もアンダーパーがなく21位で終えた大会で十分すぎる成長を見せてくれました。

画像: 今季3勝目を最終戦の「JLPGAツアー選手権リコー杯」でメジャー初制覇を飾った桑木志帆

今季3勝目を最終戦の「JLPGAツアー選手権リコー杯」でメジャー初制覇を飾った桑木志帆

特に最終日は、出だしのホールを右のラフからグリーン奥に外しボギースタート。3打差の竹田麗央、5打差の小祝さくら選手らが追いかける展開に暗雲が立ち込めるスタートになりました。2番、3番とアゲンストや左横からのアゲンストとフェードヒッターには難しい風が強く吹く中で、ドローヒッターの小祝選手が連続バーディで差を詰め、あっという間に並ばれる展開になっていました。

風が弱くなった6番パー4から今週好調のパットが冴えわたり3連続バーディを奪い首位に返り咲くと、ティーショットでフェアウェイを外しても、2打目でグリーンを外しても粘り強くアプローチとパットでパーを重ね耐えながらホールを消化していきます。

後半に入ってもチャンスにつけても決めきれず、シビアなパーパットを沈めながら小祝選手の14番のバーディで1打差に詰め寄られます。15番では1m少しにつけたバーディチャンスを生かせず16番でもグリーンを外しパーをセーブすると、17番で小祝選手がまさかのボギーで2打差で最終18番ホールへと向かいます。

画像: 前半に荒れたショットを立て直し6番から3連続バーディで首位に返り咲いた

前半に荒れたショットを立て直し6番から3連続バーディで首位に返り咲いた

竹田麗央選手は左の松林の上からフェードで攻められますが、桑木選手にとっては18番はかなり難しいホール。ティーショットでフェアウェイ右の入れたくないバンカーに入れましたが、2打差があったことで無理せず3オン狙いでレイアップし、3打目をピン奥3mに乗せ、安全に2パットで納め完全優勝でメジャー初優勝を飾ることができました。

画像: 18番のフェアウェイ右サイドのバンカーからレイアップし3オン2パットで逃げ切った

18番のフェアウェイ右サイドのバンカーからレイアップし3オン2パットで逃げ切った

コーチとして今季一番の成長だと思うのは、こういった粘り強いプレーができるようになったこと。優勝会見では「メンタルの成長」と話しました。2勝目は挙げていましたが夏が終わった頃から前半が悪くても後半の9ホールでスコアを伸ばすことが増え、これまではショットメーカーだけにショットが悪ければ成績も悪いことが続いていましたが、ショットが悪くてもスコアを崩さない、スコアメイクができるようになっていました。

そういった流れもあり「日本女子オープン」から4週連続でトップ10フィニッシュが続き、ショット力だけでなくアプローチやパットの技術や最後まで集中力を切らさないメンタルが備わり、少しずつ自信になっていきました。

しかし「三菱電機レディス」、「TOTOジャパンクラシック」と成績が振るわず世界ランクは78位へと落とし、チームで来年の全米女子オープンに出場するためには「TOTOジャパンクラシック」で落とした世界ランクを出場資格となる世界ランク75位以内を死守するために残りの3試合はとても大事になると話しました。

画像: 左から中村優海マネージャー、桑木志帆、小楠和寿トレーナー、筆者(コーチの中村修)

左から中村優海マネージャー、桑木志帆、小楠和寿トレーナー、筆者(コーチの中村修)

そこから「伊藤園レディス」の9位、「エリエールレディス」の7位タイとベスト10フィニッシュを続け再び世界ランク75位で今大会に臨んでいました。このメジャー優勝でどれだけ世界ランクが上がるかはまだわかりませんが、来年の「全米女子オープン」出場に向けて大きな1勝となりました。

まだ「日立スリーツアーズ選手権」が残っていますが、ひとまず良いシーズンの締めくくりとなり、応援してくれたファンの皆様や支えていただいた多くの皆様に優勝カップを掲げる姿を見せることができました。来季の開幕戦に向けてオフの取り組みに邁進したいと思います。

国内女子ツアーはすべてのスケジュールを終え初優勝から8勝を挙げた竹田麗央選手が年間女王に、抜群の安定感を示した山下美夢有選手が2位で終え、5年ぶりの復活優勝を挙げた河本結選手、初優勝の安田祐香、天本ハルカ、阿部未悠、臼井麗香、佐藤心結選手など多くのドラマを見せてくれました。来季はどんなドラマを見せてくれるか、今から楽しみにしています。

写真/岡沢裕行

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