あえて“リッグス“とファーストネームで呼ぶことにしよう。その理由は彼の名前の由来がユニークだから。父が映画『リーサルウェポン』でメル・ギブソン演じた主人公マーティン・“リッグス“に傾倒し命名したという逸話の持ち主。

ISPS HANDA オーストラリアオープンを制したリッグス・ジョンストン(写真/Getty Images)
歴史あるストーンヘブンカップを掲げたリッグスは「まだ実感が湧きません。でも最高の気分です」と本音を明かした。この大会は豪州とDPワールドツアーの共催であるとともに女子の全豪オープンとの混合形式で行われたユニークなイベント。賞金も男女同額だ。
女子の部は大会2連覇中だったアシュリー・ブハイを下し元世界ナンバー1の申ジエが優勝した。彼女にとってこれが大会2勝目で08年にはカリー・ウェブとのプレーオフに敗れた経験も。
悪天候のため練習ラウンドができなかったリッグスはぶっつけ本番で試合に挑み初日65をマークし2位タイの好スタート。第2ラウンドから3日連続68を連ね通算18アンダーで優勝。プレッシャーがかかる最終日は出だしの1番パー5のイーグルでペースを掴むと後続に影を踏ませぬ快調なゴルフで栄冠を掴み取った。
鍵になったのは14番パー5。前日ダブルボギーを叩いたホールで1.5メートルのバーディパットを沈めた瞬間「この試合に勝てる、と確信しました」(リッグス)。
DPワールドツアーのQスクールを受験中の世界ランク954位の伏兵はこの勝利で向こう2年の出場権と来年ロイヤルポートラッシュ(北アイルランド)で開催される25年全英オープンの出場権も獲得。世界ランクも600ランク以上上がりの316位にジャンプアップした。
アメリカ勢がここで最後に優勝したのはジョーダン・スピース(14年&16年)。スピースに肩を並べましたのね? といわれると「5月にプロになったばかりで僕のキャリアはスピースに遠く及ばないほど浅い。これから先が長いです」とアリゾナ州立大学を卒業したばかりの24歳は実感を込めた。
歴代チャンピオンにはスピースの他、アダム・スコット、ローリー・マキロイ、トム・ワトソン、ジャック・ニクラスらのレジェンドが含まれている。
「そのグループと一緒に僕の名が刻まれるなんてゾクゾクします。この瞬間を永遠に大切にしたいです」
ちなみに初日リッグスと同じ2位タイの好発進を切ったアマチュアの中野麟太朗は最終日まさかの90を叩いて最下位(65位)に終わった。