▶【3話中1話目/ドライバー・オブ・ザ・イヤー「タイトリスト GTシリーズ」の誕生秘話】
▶【3話中2話目/特別賞「藤倉コンポジット VENTUSシリーズ」の誕生秘話】
プレーヤーのポテンシャルを最大限に引き出す
振ってもヘッドが暴れない!
スコッティ・シェフラー、ローリー・マキロイら世界のトッププレーヤーが使用し数々の勝利を収めたシャフト、フジクラ『VENTUS』シリーズ。2024シーズンのPGAツアーで全試合、使用率ナンバー1に輝くなど、世界中のツアーで絶大な支持を得ている。

フジクラ『VENTUS ブルー』、『VENTUS ブラック』、『VENTUS レッド』
アメリカ開発の逆輸入シャフト
「一人ひとりのプレーヤーにベストフィットのシャフトを」を掲げ、1973年にカーボンシャフトの開発を始めた藤倉コンポジット。
これまで『SPEEDER』、『ROMBAX』など革新的なシャフトを生み出し、プロのみならず多くのゴルファーに支持されてきた。2021年に登場した『SPEEDER NX』シリーズは国内女子ツアーでの使用率1位となっている。だが『VENTUS』はこれらのシャフトと生い立ちが違うというのは藤倉コンポジットで長年、ツアー担当を務めてきた飯田浩治氏。
「日本では2020年に発売された『VENTUS』ですが、アメリカでは2019年にデビューしました。実は『VENTSU』はアメリカで開発、設計された逆輸入モデルなんです」
藤倉コンポジットは1990年代半ばにアメリカのサンディエゴに進出。そこのメンバーが「PGAツア
ーで使用率No.1を獲得する」という目標を掲げて研究を重ね、その都度プロからの要望をフィードバックして開発。2019年からツアーでプロモーションをスタートさせたのだ。
「開発にはフジクラ独自の3次元モーションキャプチャシステム『enso(エンソ)』の分析が取り入れられました。PGAツアーのトッププロがシャフトに求めたのは、ティーショットでのフェアウェイキープ率アップ、つまり振ってもヘッドが暴れないこと。ヘッドスピードが速いと先が暴れて挙動が安定しません。そこで、先が硬いのはもちろんのこと、変なねじれを抑えることで挙動を安定させ、強く速くインパクトしても、ヘッドのブレを少なくすることができました」
それを実現させたのが「VeloCoreテクノロジー」と呼ばれるマルチバイアス構造。フルレングスに使用された超高弾性70tカーボンと高弾性カーボンから構成され、オフセンター時のヘッドのねじれを抑制し、優れたボールコントロール性能を発揮。さらに、シャフト先端の高い曲げ剛性がボール初速の最大化を生み出すという。
世界中のトップ選手が絶大な信頼を置く

「24VENTUS」シリーズでは、複数の高弾性素材をバイアス層に積層することで、オフセンター時のヘッドのねじれを抑制し、優れたボールコントロール性能を実現する「VeloCoreテクノロジー」の高弾性素材をアップグレードした「VeloCore Plus テクノロジー」により安定性とボールスピードがさらに向上
「日本の開発陣が驚くくらい、アメリカ発とは思えないほど細かく丁寧に作られていたんです。シャフト開発の難しさは、何をもって良しとするか。シャフトは十数枚のパーツを巻き付けて補強して作りますが、どういうシャフトにするのか答えは無限大。そのなかでPGAツアーのトップが納得できる、ミスヒットしたときのボールのバラつきの少なさ、飛距離性能、フィーリングを実現しています。
今は弾道測定器があるので結果がすべてデータに表れるので、ごまかしが利きません。それでも選手が選んでくれているということは『VENTUS』に優位性があるということです。ありがたいことに2024シーズンのPGAツアーとJGTOで使用率No.1シャフトになれました。使用者が多ければ多いほどフィードバックも増えていきます。それが次モデルに反映されていくのです。今年発売になった『24VENTUS』シリーズは、フィーリングは前作とほぼ同じまま、高弾性素材をさらにアップグレードした『VeloCore Plus テクノロジー』により、より剛性を高め、さらなる安定性とボールスピードの向上を実現しました。
『VENTUS』というとハードなイメージがあるかもしれません。でも今は初代、TRシリーズ、そして24シリーズ合わせて8モデルラインナップしています。『SPEEDER NX』シリーズはシャフトが仕事をしてくれますが、『VENTUS』シリーズはプレーヤーのポテンシャルを引き出してくれるシャフトです。まだ打ったことがない人にも、一度打ってみてほしいですね。曲がらなければどんどん振れるはずです」
藤倉コンポジット株式会社
ACP事業部 営業部
プロモーションチーム リーダー
飯田浩治 氏
「ブルーは先端剛性が高く、中間から手元の剛性を抑えた中元調子、ブラックは元調子寄り、レッドはつかまりがよくなっています」
PHOTO/Takanori Miki、Tomoy Nomura、Akira Kato