日々、YouTubeなどから発信されるスウィング理論やゴルフレッスン。「PGAツアーでの流行りはこう」「絶対の基本はこれ」など、観て聴いてはそれらを試し、しかしモノにできず悩みを深めるゴルファーが増えている。しかし、「マスターできないのは、そもそも自分の身体に合っていない可能性が高い」、と言うのは「プリズムゴルフ」代表の高田洋平氏。そして身体を診ることで目指すべきスウィングの最適解がわかるとも。今まさにスウィング迷子中の「ギア王チャンネル」(YouTube)編集長の菊地が突撃レポート!

畑岡奈紗プロも身体とスウィングのギャップで身体に負荷がかかっていた

シングル級の腕前と言ってはいますが、ここ数カ月、ゴルフは極めて不調です。その理由はわかっています。巷にあふれるゴルフ理論に目をつけては練習場で試す。「お、なんかいい感じ!」と思いコースで実践、あえなく撃沈。すると、「これって自分に合ったスウィングなのだろうか」と疑心暗鬼になる。かと言って40年のゴルフ歴で培った(こびりついた)「昭和のスウィング」に戻りたくもなく、また違う理論にフラフラと……。いや~まずい流れです。

そんな中、「身体からゴルフを診る」というメソッドがある、という情報が飛び込んできました。「身体からゴルフを診る」、つまり個々人の身体の特徴やクセを診断したうえで、必要であればリハビリ的なトレーニングをしつつ、自分に合った目指すべきスウィングに到達する、ということらしいのです。自分の身体に最適なスウィング、これがわかれば迷いなく突き進める! さっそく今回お世話になる「プリズムゴルフ(PRIISM Golf)」の高田洋平代表に会いに行きました。

画像1: スウィングの迷子必見! 身体に合った“最適スウィング”が見つかる、まったく新しいゴルフメソッドを体験した

PRIISM Golf代表 高田洋平

2002年、ゴルフをはじめとするスポーツ医療・リハビリを学ぶために米国留学し、シェナンドー大学で生物学・物理学学士課程を3年間で首席卒業。その後米国の理学療法学で最も歴史のあるニューヨークコロンビア大学で理学療法博士過程卒業。同ニューヨークのトロ大学にて整形、手技療法の臨床研修プログラムを修了。現在は理学療法クリニック「ファンクフィジオ」をニューヨーク、ダラス、東京で開院するとともに、身体から診るゴルフ「PRIISM Golf」を立ち上げ、プロ・アマ問わず指導にあたる。またゴルフもアメリカのコースでクラブチャンピオンになるほどの腕前。ベストスコアは68。

高田さんは、アメリカの名門大学で理学療法博士号を取得し、アメリカ、日本で理学療法クリニックを展開している身体のスペシャリスト。最先端の知見をゴルフスウィングに落とし込み、ゴルフのレベルアップをサポートする活動も行い、現在、畑岡奈紗プロのフィジカルを診るだけでなく、身体に合ったスウィングについてもアドバイスしているそうです。

「ゴルフって、あるスウィングに対して、そこに“自分を合わせる”ということが常識化していますよね。しかし人間の身体は、10人いれば10人それぞれ違う。1つのスウィングに当てはめていくこと自体に無理があります。例えば過去に捻挫をして、そもそも動かしたい方向に動かないとか、“できない”要素がある人も少なくありません。ゴルフスウィングは、ダイナミックに回旋を使っていくスポーツなので、身体の癖でバランスに問題が生じるだけでも求めるスウィングは成立しません。そこで無理をするとケガにもつながりますし、ケガをしないまでも代償動作が入って、スウィングに問題を抱えます。ですから、その人の身体的な特徴を見定め、そこにリハビリを施したうえでスウィングを構築していくのが一番正しいアプローチだと考えています。私は医療従事者でありゴルフの経験も長い。その2つを合わせた方向性でゴルフをすれば、ケガをしないし、身体にとって最も効率的で、一番やさしいスウィングが身につくんです」

高田さん曰く、「なんでこのスウィングができないの?」「 なんでトレーニングしてるのによくならないんだ?」と思っている人のほとんどが、身体そのものに原因があるとのこと。それはプロでも同じことのようです。

画像: 2024年シーズンはポイントランキング30位と実力を発揮できなかった畑岡奈紗。合わないスウィングからくる身体の痛みにもその原因があった

2024年シーズンはポイントランキング30位と実力を発揮できなかった畑岡奈紗。合わないスウィングからくる身体の痛みにもその原因があった

「畑岡奈紗プロのフィジカルを診ていますが、やっぱりプロでも流行りのスウィングとかを試してみたくなるんです。彼女はフィジカルがとても強いですし、球をとらえる技術も非常に高いので、形を真似してなんとなく打ててしまう。スウィングを牛耳れてしまうんですね。でもその“打ててしまう”が代償となって身体に出てくる。昨シーズンは、試合の3日目ぐらいから身体の左サイドが痛くなって満足いくゴルフができていませんでした。それで、『そのスウィングはスウィング中に負荷をかける要素が多いよね』と確認し合い、今は自分に合わせたスウィングをする中で、身体の微調整に取り組んでいる最中。今は彼女の身体にとって一番効率のいい方向に向かっています」

クラブを効率よく動かすことは前提として、そこにその人ができる身体の動きを合わせていく、ということがとても大切だということです。

股関節の動きが悪い! 流行りのスウィングの追求に「?」が灯る

では、不肖・菊地にはどんなスウィングが合うのでしょうか。
それを知るために、まずは身体のアセスメント(評価)を行います。

立ち姿勢を診ることから始まり、片足立ち、肩の回旋、地面のものを片足で拾う動作、また横になっての脚の動きや肩の動きなど、チェック項目は多岐にわたります。「53歳にしてはいい身体してますよ」と、うれしい言葉もいただきつつ進んでいきます。

アセスメントの中には、呼吸の仕方のチェックも。それもスウィングと関係が?

画像: 「吸ってー、吐いてー」呼吸をチェック。身体やスウィングの癖が見えてくるという

「吸ってー、吐いてー」呼吸をチェック。身体やスウィングの癖が見えてくるという

「呼吸は人間にとって一番大切な動作です。どんな代償を払ってでも肺に空気を入れるという呼吸運動を我々は無意識下で行います。呼吸の仕方も一人一人異なり、呼吸動作を診るとその方の運動パターンの癖の大部分がわかると言っても過言ではありません。言い換えるとどのような呼吸かによって、ある程度のスウィングの癖なども予測がつきます」(高田氏)

アセスメントは15分ほどで終了。しかし、その中で動きの悪い箇所が見つかりました。それは「股関節」。

これが判明したのが横向きに横たわってのチェック。「骨盤を後ろに倒さないようにして、骨盤を天井に上げるように、下のひざを浮かせてください」と言われたのですが、ひざがまったく上がりません! 無理をするとつりそうになります。

画像: 身体がまったく言うことを聞かない感じでした

身体がまったく言うことを聞かない感じでした

「左の股関節の動きに問題があるようですね。結果的にお尻の筋肉も使えていません。筋肉の使い方は個々人によって違うのですが、ここを見極めていかないと同じトレーニングやメソッドを学んでも効果に差が出ます」(高田氏)

自分でもダウンスウィングからインパクトにかけて、骨盤が起きて上体が伸び上がる癖に長年悩んできました。でもどうしても直らないんです。

「これは左サイドにきちんと乗れるかのチェックでしたが、横になった状態でできないものが、立って動きの中でやることはほぼ不可能。ただ、これが悪いというわけではなく、身体的要素ということです。でも今の状態でダウンスウィングで左に乗って、左股関節を中心に素早く体を回旋させるような、いわゆる今どきのスウィングを習得することは難しいし、身体を傷めかねません」

ここでゴルファーの進むべき道は2つあると高田さん。

「1つは、骨盤の癖をエクササイズで直して左股関節に乗れるようにする。これももちろんできます。もう1つは、そもそも左軸に乗らなくていい、という判断もある。右サイドでクラブをさばく、これでも同じエネルギーをかけられるのでまったく問題ありません」

その選択悩みます……。もちろん今どきのスウィングを追求したい気持ちはあるので、一応エクササイズを教えてもらって、それから決めてもいいですか?

画像: 股関節のエクササイズ。ひざを90度に曲げ、足裏を壁などに固定。左ももをお尻側に引いて、次に太ももを合わせるように下に押していく(言葉で説明するのが難しいです…)。これを10回ワンセット。左股関節、内ももに意識が入る

股関節のエクササイズ。ひざを90度に曲げ、足裏を壁などに固定。左ももをお尻側に引いて、次に太ももを合わせるように下に押していく(言葉で説明するのが難しいです…)。これを10回ワンセット。左股関節、内ももに意識が入る

「では、右向きで横になってタオルをひざに挟みます。息を吸いながら左ひざを軽く下に押しながら左太ももをお尻側に引いてきます。次に息を吐きながら太ももを合わせるように床側にグーっと押します。こうすると、左股関節に乗りつつ左足の内側に“左の壁”のあるスウィングができるようになっていきます」

ちょっとすみません、脚がつりそうです。

「ですよね。現時点でこの動きをスウィング中に意識するのは無理だと思います。これは筋肉が弱いとかではなく、身体の動きを脳がプログラミングできていない状態です。実はここが大事なところで、脳がどのように身体を認識し、動かしているかというところを私は一番重視しています。その上で特に肩首(胸郭)と骨盤股関節周りがカギになります。では起き上がって、ちょっと素振りしてみてください」

あ、なんだか左股関節に意識が入って、左に乗れる気がします。

「そう。確かに効果はありますが、このエクササイズは繰り返しやる必要があるということを忘れないでください。その人の生活パターンもあるし、日々継続できるか。やらずにスウィングばかり変えようとするとケガをしますよ」

そうですよね、その継続が難しい。

「先ほども言いましたが、左に乗れなくても問題はないんです。現状では、右のふところを保って、手が胸の正面にある状態でクラブをリリースしていくほうが合っていますから。例えばジョーダン・スピースは、菊地さんよりも左の股関節の動きが悪いように見えますし、左の回旋ができていません。結果インパクトで左が詰まるので、左足や左ひざを逃がして打っている。それでもメジャーを獲れるし、それが彼の身体に合っているスウィングなんです」

スピースも左股関節の動きが悪い!? 今の身体の癖のままでも上手くなれる希望が湧いてきました!

クラブの振り子のエネルギーを身体の動きで増幅させる

では、自分の振りやすい打ち方が自分に合っているスウィングということでしょうか。

「そうですね。ただし“ゴルフスウィングとして成立していれば”、ということが条件です。つまりクラブエネルギーがしっかり使えているか、打ちたいボールが打てているかということ。ゴルフスウィングはどこまで行っても“振り子運動”が基本です。まずはクラブってこんなに動くんだ、働くんだ、ということを理解する。そこに身体の動きをつけていってパワーを増幅させる。これがゴルフスウィング。例えば身体の特性上、カット打ちしかできない人もいます。そういう方にインから入れろ、と言っても、代償動作が生まれて安定感を失うだけです。だったらカット打ちで最大限クラブエネルギーを使える方法を求めるべき。結果スライス回転は直らないかもしれませんが、効率がアップしてパワーの伝わったフェードボールは打てるようになります」

トッププロのなかでも、高田さんが自分の身体を理解して無理なく使っていると思うのがダスティン・ジョンソン。

「一見するととても特徴的なスウィングですが、自分の身体に忠実にスウィングしているな、というふうに映ります。飛距離は出るし、今のスウィングであれば身体を傷めることもないでしょう。フレッド・カプルスやフィル・ミケルソンもいかにも身体に負荷のかからないスウィングをしていますよね。クラブに最大限の仕事をさせるけど身体は最小限、みたいなスウィングの突き詰め方です。ケガがなく息が長く活躍できるのもそこが大きなポイントになっています」

高田さんが考える自身の役割とは、個々人の身体がどう違うか、そこにはどういう要素が必要で、それに一番合うアプローチは何なのかを示すことだという。

「個々人をアセスメントすれば、個々人のスウィングセオリーは絶対にあります。一番の変数は人間の身体。その変数に対してスウィングは1つ、みたいなことになるから上手くいかなかったり、身体を傷めたりするんです。スウィングを変えない、今のスウィングをブラッシュアップしていく、ということも大切なチョイスと言えます」

身体にやさしいスウィングで、一生健康、一生プレーが大前提、と言う高田さん。またプロ・アマ問わず、スランプにあえいでいる人を復活させることへの熱意は並々ならぬものがあり、実際、名だたるツアープロも彼のメソッドに共感し、集まり始めています。

スウィングは十人十色。このことを改めて認識させられる体験取材でした。ゴルフスウィングに迷っている人には、この体験は悩みを払拭できる絶好の機会になるかもしれません!

PHOTO/Yasuo Masuda

【PRIISM Golf 体験できます!】

ゴルフに特化したウェルネス施設「PRIISM Golf Lab Tokyo」が3月10日(月)に東京・大崎にオープン予定! 2月14日(金)にはプレオープンを予定しています。
今回、当記事をご覧になった方限定で、通常75分1万8000円のゴルフ身体評価(アセスメント)を、特別価格1万3000円で受けられます。期間は3月末日まで。
希望される方は、オフィシャルLINE、もしくはInstagramのDMにて予約が可能です。

画像: line.me
line.me

This article is a sponsored article by
''.