
左・ゴルル/水谷花那子
大学のゴルフサークルでゴルフを始める。平均スコア100、ドライバーの平均飛距離160Y。気象予報士の資格を持ち、テレビ、ラジオなどの仕事もこなす。
右・解説/服部公翼プロ
1983年生まれ。USGTF公認ティーチングプロ。ゴルフの専門学校を卒業後、オーストラリアにゴルフ留学。独自の飛距離アップ法をベースに飛ばしの理論を展開。飛距離に特化したレッスンで人気を集める。自身も300Yを超えるショットを放つ。
ゴルル水谷が飛ばない理由はダウンブロー軌道とフェースオープンが原因!
水谷 私、飛ばしたいんです! 今日はよろしくお願いします。
服部 わかりました。では、さっそく打ってみてください。
水谷 どうでしょうか?
服部 8球打ってもらいましたが、平均で165Yくらいですね。スウィングはとてもきれいですし、プラス20Yまでは飛距離を伸ばせると思います。

「オーバースウィングのため、腕を使いすぎています。そこに体重移動が加わり、軸が左に流れる。アウトサイドイン軌道の傾向もあり、クラブが上から入っています」
水谷 本当ですか。ということは185Y……。200Yは難しいでしょうか?
服部 200Yを飛ばす女性のアマチュアはかなり少数です。
水谷 そうなんですか。なぜ飛ばないんでしょうか?
服部 2つ原因があります。ひとつは、左右への体重移動が大きいことです。その結果、クラブが上から入っています(ダウンブロー軌道)。ティーアップして打つドライバーは、アッパー軌道が必須条件です。もうひとつは肩の開きが早いことです。いわゆる振り遅れ状態で、フェースが開いたままインパクトしています。これではスライスになりますし、ボールがつかまらず、飛距離も伸びません。

水谷のスウィングドライバーの平均飛距離160Y
水谷 なるほど。その2つの原因は女性特有のものですか?
服部 いいえ。多くのアマチュアが悩む典型的な例です。とくにゴルフ歴が長いほど、その傾向は強いかもしれません。
水谷 私もゴルフ歴は長いほうですが、どういうことですか?
服部 クラブの進化が大きく影響しているんです。
飛ばない原因①
体重移動が大きい
↓
クラブが上から入る
↓
ダウンブロー軌道
「左右の体重移動が大きいです。テークバックで右、フォローで左というスウィングですが、そうすると軸がブレます。これが飛距離ロスの主な原因です」(服部プロ・以下同)
飛ばない原因➁
上半身の開きが早い
↓
フェースが開く
↓
ボールがつかまらない
「打ち急ぐタイプに多いのが肩の開きが早いこと。上半身の開きが早いとフェースは開きます。大型ヘッドのドライバーでは、ボールがつかまらず、飛距離を大幅にロスします」
飛ばしレッスン①まずはスウィング軌道を整える
水谷 原因はわかりました。飛ばしレッスン、お願いします。
服部 まずはスウィング軌道を見直していきましょう。クラブの最下点はわかりますか?
水谷 クラブヘッドが最も低くなる場所ですよね。
服部 その通りです。この最下点は、おおむね頭の下になります。つまり頭のある位置にヘッドは落ちるということです。ドライバーの場合、左にボールがあり、さらにティーアップしていますから普通に振ればアッパー軌道になります。それが水谷さんは、左への体重移動が大きく、ヘッドが上から入るダウンブローになっているんです。

水谷 頭が左に動いているわけですね。実はボールが上がらないってずっと感じていました。
服部 スウィングにおいて体重移動は必要ですが、大きすぎる移動はかえって軸がブレてしまい、インパクトが安定しないというデメリットになります。
水谷 でも、体重移動したほうが飛ぶんじゃないですか?
服部 確かにそうです。自分の体重が加えられれば、ボール初速も上がります。水谷さんもぶっ飛んだ経験はありますよね?
水谷 200Y近くまで、激飛びしたことがあります。
服部 今のクラブはヘッドが大型化し、シャフトも長くなっています。当然、飛距離性能が高いわけですが、芯で打つのが難しい側面もあります。ですので、クラブの性能を引き出すには体重移動より、その場でクルッと回る、軸回転のほうが相性はいいんです。
今季ツアー7勝のネリー・コルダは頭がほとんど動かない
今のクラブは軸移動より軸回転
「大型ヘッド&長いシャフトのドライバーを最大限生かすには芯で打つことが大切です。そのためには体重移動より、その場で回る軸回転のほうが合います」

大型ヘッドは回転スウィングが合う
水谷 どう回るのですか?
服部 脚を使います。足踏みするようにひざを使えば、骨盤は簡単に回せます。この脚使いを身に付ければ、軸が安定し、アッパーでボールが打てますよ。
服部プロの分析と改善
ここを治したい【分析】
→体重移動が強いと頭が左に動く
「水谷さんは左への体重移動が大きい(体の突っ込み)。頭が左に動くと最下点も左になるのでダウンブロー軌道に。これでは球が上がらない、キャリーが出ない、飛距離も伸びません」
→最下点が左にズレ、ダウンブロー軌道に
・打ち出しが低い
・球の高さが出ない
・キャリーが伸びない
実行ポイント【改善】
→脚を動かすと軸はブレない
「腕を振ると上半身は暴れます。軸をブラさないためには脚を使いましょう。アドレスの位置に頭が残っていれば、軌道は自然にアッパーになり、球の高さが出てキャリーが伸びます」
→頭が残ったアッパー軌道になる
・打ち出しが高い
・球の高さが出る
・キャリーが伸びる

左は体重移動が強い、右は軸はブレていない
どうやって脚を使うの?
「イメージは足踏みです。テークバックでは右ひざを伸ばし、インパクトに向かって左ひざを伸ばします。多少ヒールアップしても問題ナシ。脚を積極的に使っても軸は安定します。歩くのと同じです」

左/足踏みするようにひざを使うと体が軸回転する。右/インパクトは右ひざを曲げて左ひざを伸ばす
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まずはスウィング軌道をと整えることから始めました。次回の後編では「フェース面の管理」をお伝えします。明日12時半公開予定。
PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos
THANKS/広尾ゴルフインパクト
※週刊ゴルフダイジェスト12月31日号「脚&肩甲骨を使えば飛距離は伸びる!」より一部抜粋