スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎にレジェンドゴルファー、ゲーリー・プレーヤーのスウィングを解説してもらった。
 
アーノルド・パーマーのスウィングをAI分析した記事はこちら

こんにちは。SPORTSBOX AI 3Dスタッフコーチの北野達郎です。今回は年末年始のレジェンド特別編の第2弾として、「南アフリカの黒豹」ことゲーリー・プレーヤーのドライバースウィングをスポーツボックスのデータと共に解説させて頂きます。

プレーヤーは身長170cmと小柄な体格ながら、ハードなトレーニングでグランドスラムを達成し、アーノルド・パーマー、ジャック・ニクラスと共に「BIG3」の1人として知られています。そんなプレーヤーのスウィングは、以下の3点がポイントです。

①左手首の角度が大きいトップと切り返し
②右ひざのフォワードプレスで、右にスウェイしない準備
③右足が一歩前に出る独特のフィニッシュ

それでは早速チェックしてみましょう!

左手首の角度が大きいトップと切り返し

まずは「左手首の角度」(LEAD WRIST ANGLE)に注目しましょう。左手首の角度はトップで69度、切り返し(P5。左腕が地面と平行のポジション)で78度と、いずれも左手首が90度以上曲がっていることがわかります。その結果、トップでクラブは地面と平行の位置以上に大きく動いています。

画像: 画像①トップ(TOP)と切り返し(DAH)/左手首の角度に注目。クラブのタメが大きいスウィングだ。※DAHはダウンスウィング・アーム・ホリゾンタル(左腕が地面と平行)の略

画像①トップ(TOP)と切り返し(DAH)/左手首の角度に注目。クラブのタメが大きいスウィングだ。※DAHはダウンスウィング・アーム・ホリゾンタル(左腕が地面と平行)の略

スポーツボックスAIが独自で調査した、左手首の角度の海外男子ツアーレンジは、トップで70度~92度、切り返しで73度~89度ですので、プレーヤーは現代のツアープロと比較すると左手首の角度が大きく、クラブのタメが大きい選手だったことがわかります。プレーヤーが全盛期の60~70年代は、まだパーシモンヘッドにスチールシャフトが使用されており、小さなヘッドで重く硬いクラブで飛ばすには、「クラブのタメが大きいスウィングが必要」とされていた時代でした。プレーヤーの左手首は、それが忠実に表れているデータと言えますね。

右ひざのフォワードプレスで、右にスウェイしない準備

続いてアドレス〜トップをご覧下さい。胸の左右移動を表す「CHEST SWAY」はトップでマイナス0.4cm(右)、骨盤の左右移動を表す「PELVIS SWAY」もトップでマイナス1.2cm(右)と、アドレスからほぼ左右にズレていません。一方で、胸と骨盤の左右差を表す「SWAY GAP」のデータを見ると、アドレスでマイナス8.4cm(胸が骨盤より右)、トップでマイナス7.5cm(胸が骨盤より右)にありますので、アドレスで作ったビハインド・ザ・ボールのポジションを保ってトップに入っていることがわかります。

画像: 画像②アドレスとトップの比較/胸と骨盤がアドレスの位置とほとんど変わらない

画像②アドレスとトップの比較/胸と骨盤がアドレスの位置とほとんど変わらない

プレーヤーと言えば、アドレスからテークバックに入る際の始動で「右ひざを左に寄せるフォワードプレス」が特徴の1つですが、この右ひざのフォワードプレスが入ることで骨盤や右ひざが右にスウェイしないための準備を整えていると言えます。もし「骨盤や右ひざの右スウェイ」にお悩みの方には、プレーヤーの「右ひざのフォワードプレス」は参考になるでしょう。

一歩前に出るフィニッシュは、右足にプレッシャーが残るアマチュアの良いお手本

最後にフィニッシュをアマチュアの例とプレーヤーで比較してみましょう。アマチュアに多いエラーの1つが「スピンアウト」(骨盤が右足方向に引けて戻ってしまうエラー)ですが、写真左のアマチュアは骨盤がマイナス2.8 cm(右)と、骨盤が右足方向に引けて戻っているのに対して、プレーヤーはプラス19.2 cm(左)で、しっかり左足にプレッシャーが乗っていることがわかります。

画像: 画像③アマチュアの例(左)とプレーヤー(右)のアバター比較/骨盤と右ひざの左への移動距離が全く異なっている

画像③アマチュアの例(左)とプレーヤー(右)のアバター比較/骨盤と右ひざの左への移動距離が全く異なっている

先ほどの右ひざのキックインと同じくプレーヤーの特徴的な動きに、「フィニッシュで右足が一歩前に出る」動きがありますが、このドリルを実際にやってみるとわかりますが、左足にプレッシャーがうまく乗ってこないと右に上体がよろけてバランスを崩します。プレーヤーの右足が一歩前に出るフィニッシュは、近年ではメジャー3勝のパドレイグ・ハリントンが練習ドリルに取り入れるなど、今でも非常に効果的な練習ドリルです。この記事をご覧頂いている方で、左足にプレッシャーがうまく乗らずに骨盤が右に引けてしまってダフリやトップにお悩みの方には、是非ゲーリー・プレーヤーの「右足が一歩前に出るフィニッシュ」を練習して頂くと良いでしょう。

今回はゲーリー・プレーヤーのスウィングを解説させて頂きました。年末のPNC選手権でも元気な姿でプレーしていたプレーヤーですが、今なお継続している徹底した自己管理とトレーニングは、全てのゴルファーの良きお手本ですね!

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https://www.golfdigest-minna.jp/_ct/17741090

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