およそ7年前から手首に違和感を感じていたスピースが手術に踏み切ったのは尺側手根伸筋腱(手首の小指にある腱)が鞘から飛び出してしまったから。
昨年は自宅で子供とプール遊びをしていたとき手首を脱臼したのだが、それで症状が悪化し8月に手術を受けた。

昨年手首の手術を受けたジョーダン・スピース。AT&Tペブルビーチプロアマからツアー復帰となる(写真は2024年の全米プロゴルフ選手権 撮影/Blue Sky Photos)
「長い間の悪い(スウィングの)クセのツケが手首に出てしまった」という彼は術後「ボールを打てるようになるまで12週間かかりました」とクラブを握らなかった日々を「長かった」と表現した。
しかしここ1カ月痛みのない状態が続いており「深いラフやバンカーの不自然なライから打って痛みを感じなかったときには本当にホッとしました」。
当初はウェストコーストスウィング初戦のアメリカンエキスプレスで復帰しようと考えていたが、契約先のAT&Tがタイトルスポンサーになって40周年を迎えることもありペブルビーチの大会で競技に戻ることを決めた。
10代でツアー優勝を飾り24歳になる前に3つのメジャーを制覇。15年に21歳の若さで世界ランク1位に輝いて以来、人気、実力ともツアー屈指の存在だ。しかしここ数年は浮き沈みがあり昨年はプレーオフ進出を逃した。
「5カ月のブランクがあるのであまり自分にプレッシャーはかけないようにしたいです。ただリズムを取り戻したいとは思っています」
AT&Tから3週連続で試合に出て手首の状態を確認。それからマスターズに向けて本格始動する計画を立てている。
ポストタイガーのひとりとして華々しくキャリアをスタートさせて以来スポットライトの中心にいた彼もすでに31歳。25年は13年目のシーズンとなる。
「いまやツアーの層の厚さはかつてないほど。強い若手がどんどん出ている」。40代でメジャーに勝ったのはここ10年でタイガー・ウッズ、フィル・ミケルソン、ヘンリック・ステンソンの3人だけ。キャリアグランドスラムを達成するには30代のうちに全米プロに勝ちたいところ。
しかしそれ以上に大きな目標があると彼はいう。
「僕にとって最大の目標はティーに立ったとき以前のように自分は世界最高のゴルファーのひとりだ、と思えること。なんの疑いもなくそういう自信に満たされたい」
「その気持ちを実感しながら毎週トップ10、トップ15以内でプレーすることが重要です。世界最高のゴルファーだと思える気持ちを取り戻したい」