レッスンプロを育成(指導)するレッスンプロの先生が教える「ゴルフの教科書(基本)」。今回は「両手逆クラブドリル」を解説する。【レッスンプロの先生とレッスンプロの教科書から学ぶゴルフの基本㊵】
画像: クラブを逆にしてシャフトとネックの付け根付近を左手で持ち、右手で左手首を内側から握る「両手逆クラブドリル」

クラブを逆にしてシャフトとネックの付け根付近を左手で持ち、右手で左手首を内側から握る「両手逆クラブドリル」

左腕とクラブを90度に構える「両手逆クラブドリル」

原田 前回まで体のバランスを崩さずに腕の振り方を感覚的に覚える 足組ドリルに取り組んできました。今回は両手逆クラブドリルを説明します。

GD 「両手逆クラブドリル」ってなんですか?

原田 クラブを逆にしてシャフトとネックの付け根付近を左手で持ち、右手で左手首を内側から握るドリルです。

GD ああ、ネック部分を持つとクラブが軽くなるから、ブンブン振れるドリルですね。クラブを逆に持って振るドリルは知ってますよ。

原田 たしかに、逆にクラブを持つとクラブの先が軽くなるので、軽いと力を入れなくても速く振れるという感覚もつかめます。それがこのドリルの本質ではありません。「両手逆クラブドリル」に取り組む大きな理由は、トップを上げるときの両腕の形と感覚、 体幹ターン(体の回転と体重移動)をしながらの両腕の振り方、フィニッシュの形が感覚的に分かります。実際のスウィングはこう振ればいいんだというものをつかめるようになります。

GD なるほど、ちょっと知ってるドリルとは違いそうですね。

原田 まず、構えたときの形が違いますからね。逆さに握ったクラブを真っすぐに伸ばして持つわけではなく、クラブのシャフトは地面と平行にして、左腕とクラブを90度にして構えるわけですから。左手と右手のクラブの握り方も違います。

画像: 「両手逆クラブドリル」はクラブのシャフトは地面と平行にして、左腕とクラブを90度に構える

「両手逆クラブドリル」はクラブのシャフトは地面と平行にして、左腕とクラブを90度に構える

GD そうか、片手じゃないですね、ドリルの名が“両手逆クラブ”。

トップの形が良くなるドリル

原田 先ほど話しましたよ、「右手で左手首を内側から握るドリル」だと。

GD そうでした。

原田 クラブを逆にして左手でネックとシャフトのつなぎ目あたりを握ったら、親指は人差し指と親指の付け根を締めてシャフトの上に置きます。左手の甲は正面(ボール側)に向けて、手首の甲は平らにし、手は左足の内側に置いて、右手で左手の手首を内側から握るんです。この手の形でクラブのシャフトは地面と平行にして、左腕とクラブを90度にするんです。

画像: クラブを逆にして左手でネックとシャフトのつなぎ目あたりを握ったら、親指は人差し指と親指の付け根を締めてシャフトの上に置く

クラブを逆にして左手でネックとシャフトのつなぎ目あたりを握ったら、親指は人差し指と親指の付け根を締めてシャフトの上に置く

GD 想像したものと全然違います。この90度の形に、トップとフィニッシュの形がよくなるポイントがありそうですね。90度に構える理由があるんですか?

原田 そうここが大事。腕とクラブを90度にする手……、左手甲側を正面に向けるってことは左手甲を平らにしているわけです。理想的なトップというのは左腕に張りがあって左手とクラブがほぼ90度ですよ。そして左手首は平らです。だからトップの先取りをしているんです。

GD 先取り……。

トップの形を構えたときに「先取り」する

画像: 「両手逆クラブドリル」は構えた段階で、バックスウィングからトップまでの4つのポイントのうちの3つのポイントを先取りしている

「両手逆クラブドリル」は構えた段階で、バックスウィングからトップまでの4つのポイントのうちの3つのポイントを先取りしている

原田 トップは、まず①左腕を伸ばしましょう、②腕とクラブを90度にしましょう、③左手首を平らにしましょうなんです。それから④肩を回しましょうというね。バックスウィングからトップまでに4つのポイントがあるんだけど、最初から左腕が伸びている、左手とクラブが90度にでき上がっている、手首は平らになっている。あとは肩を回すだけ。だから「両手逆クラブドリル」は構えた段階で、4つのポイントのうちの①~③の3つを先取りしているわけですね。

GD このドリルでは、「肩を回す」以外の形や感覚を、構えたときに作ってしまうということですね。なるほど、構えた形を教えていただいただけで、トップの形をマスターできそうです。

原田 そうですね。これまで右腕、左腕を振るときの両ひじのたたみ方を左右個別に覚えるためのドリルを教えてきましたが、今度は両手で行ってスウィングの感覚をつかみながら、トップの形がわかるようになります。

GD 90度の形はわかりました。構え方の確認をします。細かいところですいません。構えたときに左腕を肩から下に伸ばすというのは、左腕を重力で真下に垂らす感覚でいいですか?

原田 それでいいです。

左腕に張りをもたせて、右わきを締める

画像: 左腕に張りをもたせて、右わきを締める

左腕に張りをもたせて、右わきを締める

GD 構えたときのグリップの位置や前傾姿勢については、いままで教わったポイントでいいですか? 

原田 そうですね。左耳の下で目線の内側(体寄り)ですし、前傾姿勢は、肩の前から下ろした線が足の(親)指先あたりにくるようにして、両ひざ頭を親指の付け根まで曲げればいいです。右手で左手首を握るときは軽く握ってください。実際のスウィングでは右手は左手首を握らないですからね。

GD なるほど。実際のスウィングでは、右手は添えるだけですもんね。

原田 クラブと左腕を90度に構えたら、少し右肩を下げます。右肩を下げることによって左腕が伸びて右ひじが曲がって右わきが締まります。

GD 右わきは締めても、左わきは空いた状態で構えればいいですか?

原田 左わきを締める必要はありません。左腕の張りがあれば、左わきはそれほど意識しなくていいです。

GD ドリルのスタートはわかりました。

原田 では、次回、始動からトップの形、フィニッシュまでの振り方を説明しましょう。

●原田伝一( 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長)

はらだ・でんいち。1955年、横浜市出身。80〜82年、US・NGFインストラクターセミナー参加。ゴルフ指導者について研究を積む。83年、NGF日本ゴルフ財団チーフインストラクター就任。2010年、一般社団法人 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長に就任。数多くのレッスンプロを世に送り出している。

撮影協力/梅里カントリークラブ

足組ドリルと体幹ターン

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