
打点ズレのミスに強い、安定したショットが打ちやすい大型ヘッドのドライバーだが……(写真はイメージ)
狙った方向に打ち出せない症状が出る理由とは?
クラブフィッター小倉です。2025年も年明け早々に新製品発表ラッシュがあり、多くの新作ドライバーが発売となります。こういったお仕事をさせていただいていることもあり、一足お先にほとんどのドライバーを打たせてもらいましたが、どれもしっかりと進化を感じられましたね。
近年のドライバーは、慣性モーメントの大きさが最も大きなトレンドになっています。2024年にいわゆる10Kを達成したドライバーに注目が集まり、今年もその流れを引き継いでいます。慣性モーメントの大きいドライバーは、投影面積の大きなヘッドのモデルに多く、打点ズレのミスに強い、安定したショットが期待できます。
しかしそんな安定したショットが期待できる投影面積の大きな大型ヘッドのドライバーでも、良い方向に働かないゴルファーも一定数いらっしゃいます。そういったゴルファーには、大型ヘッドを使用すると右へのミスが多く、それを嫌がると左に引っ掛けるといった感じで、狙った方向に打ち出せないといった症状が多くみられます。
こういった症状が出る理由はいくつかありますが、大きな要因の一つとして「他のクラブとの重心位置の差が大きい」という点が挙げられます。大型ヘッドのドライバーは、FWやUT、アイアンといった他のクラブと比べて、ヘッドの重心位置がシャフト軸線から大きく離れていて、振り心地に大きな差が生まれます。この違いが、インパクト付近のフェースの向きの管理を難しくしているのです。
ゴルフは複数のクラブを使い分けるスポーツです。こういったクラブの特性や違いを理解し、それぞれのクラブに合わせたスウィングを身につければ問題ないことですが、そういった知識を持つには相当勉強が必要になります。であれば、使い分けるクラブの振り心地を近づけ、ひとつのスウィングでプレーできるようにしたほうが私はゴルフがシンプルになると考えています。
ヘッドの性能もそうですが、クラブの長さも考えるべきポイントですね。クラブ長も長くすると飛距離のポテンシャルが高まる可能性はありますが、他のクラブとの振り心地との差が出てきますので、打ちこなす専用のテクニックや知識が必要になります。現在、ミニドライバーと呼ばれる、通常のドライバーより、ヘッドが小さく、クラブ長の短いクラブが一定数支持されています。
もともとミニドライバーは、ティーショットを一定のエリアに置きに行くモデルとして生まれたジャンルのクラブです。ですが、実際に購入しているゴルファーはドライバーを苦手としている方に多いと聞きます。これはそういった大型ヘッドやクラブ長の長いドライバーがうまく打てないゴルファーにマッチするクラブだからだと私は分析しています。
大型ヘッドはミスに強く、安定したショットが期待できます。それは間違いありません。しかしその性能も狙った方向に打ち出せなければ生かすことができません。打ち出す方向は、使用するゴルファー自身、スウィングやアドレスの向きなどによって決まります。狙った方向に打ち出せないクラブは、どんなクラブでも良い結果にはつながりません。
他のクラブは普通に打てるのにドライバーに苦手意識があるという方は、ほぼクラブに原因があるといってよいでしょう。どんなにやさしいと言われるドライバーを使っていても他のクラブとの差が大きければ、それは難しいクラブになり得るのです。