※なお、動画で確認いただけるが、当日はかなりのアゲンストのなかで試打を実施しており、トラックマン4のデータは“風あり”のデータになっている
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「G440 LST」はいわゆる低スピン系のドライバー。クラウンの余剰重量をヘッド下部に再配置したことや、新設計のフリーホーゼルデザインによりピン史上最も低い重心を達成し、高打ち出し低スピンを実現できるということだ。キャッチコピーは“『飛び重心』ヘッドでさらなる強弾道&低スピン”。

G440 LST ドライバー(10.5度)。前モデル比でフェース中心部で約4%、周辺部で約7%薄く設計され、飛距離性能が向上。スピンシステンシー・テクノロジーで上下のミスヒットでも最適なスピン量と弾道で最大キャリーを実現
今回は、クラブスピード45m/s、42m/s、39m/s前後で打ってみて、最適スピード帯を探っていく試打となる。
試打クラブのスペックは、『G440 LST』でロフト10.5度、450cc。シャフトは『AITAJ CB BLUE(FlexS・46インチ)』。使用ボールはいつもどおり、タイトリスト『プロV1』。
構えてみた癸生川プロは「長さは46インチで前作の『430 LST』より0.25インチ長くなっているんだけど、シャフトが2色のカラーリングのせいか長さは感じない。ヘッドは『G440 MAX』と比べたらちょっと小さい」との印象。
HS45m/s前後から試打開始!
高弾道で1.6度左に出てから1.7度左に傾き、13.2ヤード左に着弾したドローボール。

HS45m/s前後でスウィングしたときのトラックマンデータ(上)とGCクワッドデータ(下)
【トラックマン4のデータ】
クラブスピード●45.7m/s
ボール初速●66.9m/s
打ち出し角●13.8度
スピン量●2347rpm
降下角●40.0度
キャリー●231.1Y
飛距離●251.0Y
打ち出し方向●1.6度左
スピンアクシス●1.7度左
SIDE●13.2Y左
【GCクワッドのデータ】
Hインパクト●4ミリトウ
Vインパクト●6ミリ高
試打した癸生川プロは「球は上がるね。でもこのスピード帯で打ったら、シャフトはちょっと緩いと思う。構えた時は46インチの長さを感じなかったけど、実際に振ると長いから、けっこう“シャフトが動く”ね」とコメント。
試打結果を見た小島プロは「トップでちょっと、クラブが戻るのを待った感じがありましたね」とズバリ指摘した。
注目ポイントはスピン量だ。数値を見るとドライバーの最適スピン量の2000~3000rpm内の2347rpmだが、これは小島プロが指摘したトップで待つという操作をしたからで、実は45m/sで打った場合のスピン量は3000rpmを超える可能性があるというのだ。
小島プロは続けて「クラブスピード45m/sで46インチのこのドライバーを振るとしなりが強くなり、しなり戻りがない状態でインパクトを迎え、球が右に行きやすくなります。その場合はスピン量は3000rpmを超えてきます(弾道はスライスになることが多い)。でも癸生川さんはプロゴルファーの感覚でこれを察知して、切り返しのタイミングを遅らせることで、インパクトで右ではなく13.2ヤード左につかまった球を打ちました。つかまった球はスピン量が少なくなりますし、打点が6ミリ上というのも加わってスピン量が最適内の2347rpmになったと思います。
ただ、癸生川プロはプロだからトップで待てて、ボールをつかまえにいく打ち方ができたけど、一般のゴルファーの場合は、この46インチは45m/sは適正のスピード帯ではなく、もう少し下だと思います」と分析した。
HS42m/sで打ってみた
中弾道で1.2度左に出てから4.5度左に傾き、11.8ヤード左に着弾したストレートドロー。

HS42m/s前後でスウィングしたときのトラックマンデータ(上)とGCクワッドデータ(下)
【トラックマン4のデータ】
クラブスピード●42.1m/s
ボール初速●62.6m/s
打ち出し角●12.8度
スピン量●2378rpm
降下角●38.1度
キャリー●209.5Y
飛距離●230.6Y
打ち出し方向●1.2度左
スピンアクシス●4.5度左
SIDE●11.8Y左
【GCクワッドのデータ】
Hインパクト●2ミリトウ
Vインパクト●6ミリ高
試打した癸生川は「これくらいのクラブスピードだと弾道のフィーリングはいいけど、でもまだ動く感じがするんだよね。このシャフトを使うんだったら、最適スピードは42m/sより下じゃないかと思う。もちろん、僕が振った感覚ではインパクトでヘッドは戻っています。でもちょっとコントロールしにくいスピード帯かなと思う」とのコメント。
試打結果を見た小島プロは「データの数値で見ると、これだけ動くシャフトで42m/sで打って打ち出しが12.8度、スピンが2378rpmという最適数値ですから、確かにLST=ロースピンモデルなんです。ただこれも45m/sで打った時と同じように、癸生川プロがつかまえに行っている要素が入っていると思うんですよね。
実は、癸生川プロがこの試打シリーズで左に11ヤードを超えて着弾する球を打ったケースはほとんどないんですよ。それが11.8ヤード左に着弾したというのは、やっぱりタイミングを合わせている部分があるのかなと思います。さらに低いスピード帯で打ってみて、それを検証してみましょう」。
HS39m/s前後で検証してみた
中弾道で1.1度左に出てから3.2度右に傾き、1.9ヤード右に着弾したフェードボール。

HS39m/s前後でスウィングしたときのトラックマン4データ(上)とGCクワッドデータ(下)
【トラックマン4のデータ】
クラブスピード●38.4m/s
ボール初速●56.9m/s
打ち出し角●13.0度
スピン量●2320rpm
降下角●31.9度
キャリー●190.6Y
飛距離●217.9Y
打ち出し方向●1.1度左
スピンアクシス●3.2度右
SIDE●1.9Y右
【GCクワッドのデータ】
Hインパクト●5ミリトウ
Vインパクト●4ミリ高
試打した癸生川プロは「39m/s前後だったらシャフトのしなり方も合う感じはするけど、でもこのスピード帯だと、球の高さが足りなくてキャリーが出ない感じがする」という印象。
小島プロの分析は「注目すべきは、スピンアクシス(弾道の傾斜)が3.2度右に傾いている点です。45m/s、42m/sで打った時は、打ち出しも傾きも着弾点も、全て左方向でした。癸生川プロは、球が右に出ると察知して無意識に球をつかまえに行っていたから左に行ったわけです。でも、39m/s前後で打った時に初めて、左に出てから右に傾く自分の持ち球であるフェードボールが打てたわけです」。
癸生川プロのようにHS45m/s以上の人がこの46インチの『G440 LST』を打つ場合は、40m/s前後まで下げて打った時に良いパフォーマンスが出せるということ。つまり、この『G440 LST』の46インチの最適クラブスピード帯は40m/s前後という結果になったようだ。
試打後の感想

46インチの「G440 LST」は、40m/s前後で打った時に良いパフォーマンスが出せるという
最後に、ピン「G440 LST ドライバー」をお勧めしたいゴルファーは?
癸生川:この『G440 LST』というロースピンのヘッドに46インチのシャフトの組み合わせが合うのはヘッドスピード40m/s前後のゴルファーだと思います。ただ、ピンではこのほかに、純正シャフトは『クローム』と『ブラック』という、45.25インチのシャフトがあるので、40m/s以上のクラブスピードの人は、そのバリエーション中から自分に合ったものが選べると思いますので、試してみて欲しいですね。
小島:癸生川さんが言ったようにピンは純正のシャフトが数種類あるので、それぞれのシャフトの長さと特長の違いによって自分に合ったものが選べるようになっています。ぜひご自分でも試打をしてみることをオススメします。
みんなのゴルフダイジェストYouTube「みんゴル試打班ガチギアトラック」では、このPING「G440 LST」10.5度でミスヒットした時の寛容性の試打検証もしているので、そちらもぜひご視聴を。
THANKS/アコーディア・ゴルフ 技術研究所