
ホンダLPGAタイランドでトップに立っている岩井明愛(撮影/姉崎正)
岩井明愛選手がタイの地で大活躍しています。開催中のホンダLPGAタイランドで初日10アンダーとロケットスタートを切ると、2日目もトータル15アンダーまでスコアを伸ばすナイスプレー。首位を堅守して、週末のプレーへと向かっています。
「岩井姉妹は修正能力が非常に高い。先週ミスした点を修正し、次の週に活かすのがとても上手いんです」(中村プロ)
岩井姉妹の今シーズンは、初戦の「ファウンダーズ・カップ」は揃って予選落ち。そしてその翌週、サウジアラビアで開催されたPIF サウジレディス・インターナショナルでは妹の千怜選手が4位と上位フィニッシュ。明愛選手は47位で終えていました。
そして迎えた今週、明愛選手が初日からビッグスコアを出すと、千怜選手も2日目7アンダーでリーダーボードを一気に駆け上がっています。
このように出る試合ごとに調子を上げているのが“修正能力の高さによるもの”だと中村プロは分析。悪い結果が出たときに、そのまま負のスパイラルに突入するのではなく、どこが悪かったかを分析し、翌週に活かす能力が高いというのです。
さらにもうひとつ、爆発的なスコアを生む背景には、「ゾーンに入るのが上手い」という特徴があると言います。
「明愛選手も千怜選手も、ラウンド後の囲み取材でその日のバーディ数に気が付くということが何度もありました。周りのスコアや順位、いくつバーディを獲ったかも、アテストで初めて気が付くくらいなんです」
つまり、それくらいプレー中は目の前の一打に集中できているということでしょう。ゴルフをする方ならわかる通り、これは簡単そうで非常に難しいことです。ついつい現在のスコア、残りのホール数、許されるボギーの数などを計算してしまうのがゴルファーの常であり、レベルは大幅に異なれど、そこが気になるのはプロもアマも変わらないと中村プロは言います。
「入れたい、飛ばしたい、という気持ちはプロもアマも同じですし、そう思えば思うほどミスしやすくなるのも同じで、その欲とどう向き合うか、その欲と“どう戦わないか”が大事なんです。以前読んだ本に、ゾーンに入るゴルファーは、目の前のスコアではなく、つねにゴルフが上手くなりたいという『熟達思考』があると書いてありましたが、岩井姉妹の場合はまさにそれだと思います」
つねに成長したい、上手くなりたいと思うからこそ、上手くいかなかったラウンドからでも学びを得ることができる。そしてそれが翌週のトーナメントにつながり、プレー時の集中力にもつながっていく。その結果として、ときに爆発的なスコアが生まれる……。
もちろん週末の結果は誰にもわかりませんが、米女子ツアー参戦という環境の変化を受けて、岩井姉妹の“進化”は、さらに加速していくのかもしれませんね!