
体調不良で3オーバーの61位タイで初日を終えた渋野日向子
現地時間7時50分、10番からトップスタートした渋野。ティーショットは曲がり幅の少ない綺麗なドローボール。フェアウェイセンターから2打目でピンまで約80Yのところへ運ぶ。言ってみれば静かなスタート。サイアムCCオールドCはグリーンが大きくアンジュレーションが厄介だ。10番のピン位置は「手前から35Y・左から5Y」と、かなり奥に切られていた。上げて奥まで突っ込むか、マウンドを利用してある程度のランを使うか。渋野の選択は後者でピンまで2メートルにつけバーディを奪った。幸先のいいスタートかと思った。しかし、そこから3連続ボギーを喫してしまう。
11番は2打目が乗らなかっただけでなく、スタンスがバンカー内になるラフに止まる不運もあり、寄せきれずボギー。まぁまぁ、ここのボギーはある意味仕方がないようにも思えたが、続く12番のパー3、13番でも“乗らず寄らず”のボギー。ロープ外からでもわかるほど流れが悪い……。この時は体調が悪いということはもちろん知らないため、「なんかおかしいな……」くらいにしか思っていなかった。

11番の3打目。バンカー内にスタンスして打つしかない不運も
14番、スタートホール以来のバーディパット。目測で5〜6メートルを惜しくも外しパーとるが、なんかちょっとだけ落ち着いたようにも見えた。15番もバーディ外しのパーで迎えた16番。184Yのパー3で、ピン位置は左奥。この日の渋野は、2打目のショット、特にアイアンがちょっと引っかかり気味で、多くを左に外していただけに、このピン位置に対してどう打つのか? クラブはUT。この日、初めて持った(と思う)UTで放った打球はピンに対して飛んでいったが、ややドローしてグリーンの左に外れてしまった。アプローチで寄せてなんとかパーで凌いでほしいと半ば祈りながら見ていたが、ついていない日はそんなもの、キックが悪く約5メートルのパーパットが残る。今日はこの距離は入っていない。こういう距離のパットが一つ入れば流れが変わることもあるが、今日の渋野は入らない……。17、18番はパーで凌ぎ、前半を3オーバーで折り返す。
悪いなりに見せた意地の2バーディ
渋野の様子があまり良くないように見えた。足を気にしたり、プレーを待っている間、椅子に座ったりと、あまり見かけない姿。体もちょっとだるそうな感じ。それでも同伴競技者の良いプレーには「ナイス!」と声をかけ、ギャラリーからの声には帽子のつばを触り応える。そこにはいつもと同じ渋野の姿はあるのだが……。
後半は静かな時間が続いた。前半を見て思ったのだが、ドライバーショットの精度はめちゃくちゃ高いし、飛距離も出ていた。ほぼフェアウェイを外さなかったし、外したとしても“少しだけ右”とか、その程度のレベル。“勝手に”もう少しドライバーが荒れているのかと想像していただけに、この精度と250Y前後の飛距離は圧巻だった。しかし、その精度にズレが生じたのが6番。391Yと長いパー4でこの日初めてミスとわかるくらいの打球が右に。2打目はグリーン手前に運ぶに止まり、後半初めてのボギーを喫してしまう。この時点で4オーバー。
見ている側にも「今日はダメかな」感が漂うなか、迎えた7番。初日はティーが前に設定され2オンも可能なパー5だ。ここで渋野はティーショットを修正し、フェアウェイセンターに置くと、2打目をUTで放ち、見事2オンに成功。イーグルパットは惜しくも外すがスタートホール以来のバーディを奪った。思い通りにいかない中でのバーディ。嬉しかった。みんな嬉しかったはず。渋野だって嬉しかったはずだ。
8番のパー3はバーディのいい流れのままに、ピン奥約6〜7メートル。今日は入っていない距離だが、前のホールの流れがある。ゴルフとは不思議なもので、こういう時は本当に入る。ナイスバーディ。土壇場で2オーバーまで戻した。
最終9番はボギーでトータル3オーバー。ラウンド後、囲み取材エリアで渋野を待っていたが、その時にマネジャーから渋野が体調不良だったことを伝えられ、囲み取材なしで帰っていった。

手を放すようなミスショットは多くはなかったが……
時折見せた辛そうな姿や、険しい表情は体調によるものだったと思うと納得。それでも、そんな状況でも、18ホール回り切った。明日はどうなるかまだわからないが、少しでも元気な“シブコ”を見たいと願っているのは私だけではないはず。とにかく今日はゆっくり休んで、明日、いつもの“スマイル多いシブコ”に期待したい。
撮影/姉崎正