こんにちは。SPORTSBOX AI 日本アンバサダーの北野達郎です。今回はPGAツアーのシグネチャーイベント「ジェネシス招待」で優勝したラドビッグ・アバーグの後方アングル(ダウン・ザ・ライン)からのスウィングを解説させていただきます。
後方から見たアバーグのスウィングの特徴は、下記の2点です。
①アドレスとインパクトで骨盤の位置と胸の前傾角度が変わらない
②バックスウィングとダウンスウィングの手の軌道が重なる
それでは早速チェックしてみましょう!
アドレスとインパクトで骨盤の位置と胸の前傾角度が変わらない
まずは骨盤の位置に注目しましょう。「PELVIS THRUST」は、骨盤がアドレスの位置から前後にどれだけ移動したか?(プラスの前はボール側、マイナスの後方は背中側)を表しますが、アドレスとインパクトでの誤差は、わずかマイナス0.7cm(後方)です。

画像①インパクトとフォローの比較/左足を後方に蹴る動きがあり、骨盤が前に出ない
アバーグはインパクトからフォローにかけて、左足を後方に蹴る動きがありますが、この左足を後方に蹴ることで、骨盤の位置が前に出にくくなりますので、胸の起き上がりを防ぐことができます。

画像②インパクトとフォローの比較/左足を後方に蹴る動きがあり、骨盤が前に出ない
胸の前屈、伸展の角度を表す「CHEST BEND」のデータを見ても、アドレスとインパクトで胸の前屈角度が26度で全く同じです。この左足を蹴る動作のポイントは、「上」ではなく、「後方」に蹴っていることです。上に向かって左足を蹴ると胸も起き上がってしまいますが、後方の背中側に向かって左足を蹴ることで、骨盤が前に出ないので、胸も前傾を保つことができます。
バックスウィングとダウンスウィングの手の軌道が重なる
アバーグの2 つ目の特徴は、「バックスウィングとダウンスウィングの手の軌道(ハンドパス)が重なる」点です。「HAND THRUST」は、両手がアドレスの位置から前後にどれだけ移動したか? を表しますが、バックスウィング(P3・左腕が地面と平行の位置)とダウンスウィング(P5・左腕が地面と平行の位置)の手の位置は、マイナス30.9cmで全く一緒です。

画像③P3 とP5 の比較/どちらも手の位置が全く同じであることに注目
この手の軌道がバックスウィングとダウンスウィングで誤差が少ないと、クラブの軌道も同じプレーン上を通りやすくなります。クラブが同じプレーンから下ろせると、それだけインパクトの再現性が高まります。4年前の動画になりますが、PGAツアーのオフィシャルYouTubeにジャスティン・ローズが紹介していた練習があります。「ダウンスウィングで右足の横に手とクラブを下ろす」ドリルなのですが、これと同じ方法で手とクラブを下ろすドリルを行うと効果的です。

画像④ジャスティン・ローズの練習動画より/右足の横に手とクラブを下ろす感覚で振ると、実際には適正なプレーンからクラブが下りてくる
なぜ、「右足の横に手とクラブを下ろす」感覚で適正なプレーンからクラブが下りるのか? それは、切り返しのキネマティック・シークエンス(運動連鎖・動きの順番)が適正な順番になりやすいからです。例えば、トップから切り返しにかけて上半身や手が下半身よりも先に戻り始めると、手の軌道はバックスウィングより前をなぞりやすいですが、アバーグやローズのように下半身から先に戻り始めて、手とクラブが後から戻るように練習していくと、手が前に出ることなくバックスウィングの軌道と同じラインから戻りやすくなります。

画像⑤アマチュア(左)とアバーグ(右)のアバター比較/切り返しの骨盤の位置と手の軌道がかなり異なるのが分かる
最初はスウィング軌道がインサイドアウトになりやすいので、ダフリなどのミスがあるかもしれませんが、ダウンスウィングの手の軌道を修正する事で、クラブの軌道も良くなりますので、是非試してみてください。
今回はラドビッグ・アバーグのスウィングを解説させて頂きました。「ジェネシス招待」の優勝で、昨年2位に入ったマスターズでの優勝候補にも浮上してきたアバーグ。今週の「アーノルド・パーマー招待」では世界ランク1位であるスコッティ・シェフラーと同組で初日を迎えます。今後のプレーに注目です!
▶ジャスティン・ローズのドリルをYouTubeで観る(英語)