こんにちは。SPORTSBOX AI・3Dスタッフコーチの北野達郎です。今回はパリオリンピックで、見事メダリストに輝いたスコッティ・シェフラー、トミー・フリートウッド、そして松山英樹の3選手に共通するスウィングのポイントをご紹介します。なお、この3名はいずれも過去にスウィング分析をさせて頂きましたので、個々の特徴に関しては是非そちらの記事も合わせてご覧頂けたら幸いです。
それでは、早速メダリスト3人に共通する特徴をご紹介します。その特徴とは、「ダウンスウィングで手首とクラブの角度がキープされている」点です。
この特徴はメダリスト3人はもちろんですが、「プロとアマの最大の違いのひとつ」と言っても過言ではありません。それでは早速見てみましょう!
ダウンスウィングで左腕が30度のポジションで、手首のキャスティングをチェック
まず今回チェックするデータの定義についてご紹介します。スポーツボックスのデータ項目「LEAD WRISTANGLE」は、左手首の縦コックの角度を表しますが、正面からスウィングを撮影した際に左腕が地面と垂直より30度右にある位置を「ARM 30°(アーム30度)」のポジションとして、スポーツボックスではチェックすることができます。(プロ・コーチ版の3D PROアプリのみ)
この「アーム30度」のポジションは、P6(クラブが地面と平行)の位置に比べて手首とクラブの角度に個人差が出やすく、より正確なキャスティング(インパクト前に手首の角度がほどける現象)のチェックが可能です。ポジションの目安としては、右足太ももの右横に両手が下りてきた位置と解釈すると良いでしょう。
「アーム30度」のポジションで、クラブの角度は90度以上後方がチェックの目安
続いて3人の「アーム30度」でのクラブの角度をチェックしましょう。データ項目「SHAFTANGLE FACE ON」は、プレーヤー正面からのカメラアングルで、クラブが地面と垂直の位置から左右にどれだけ角度が動いたか? を表しますが、シェフラーが102度(後方)、フリートウッドが104度(後方)、松山選手が89度(後方)で、3人とも90度に近いデータです。
この「アーム30度」の位置で、クラブが90度より0度に近くなると、「キャスティング」と呼ばれる手首の角度がほどけた状態になります。こうなるとインパクト前でクラブをリリースしてしまうので、インパクトではヘッドスピードが減速して飛距離をロスしたり、ヘッドの最下点(ローポイント)がボールの手前に来るので、ダブりやトップといったミスにも繋がってしまいます。それでは、キャスティングを防ぐ為のドリルを1つご紹介します。
キャスティング防止にアライメントスティックを活用しよう
そのドリルは、「グリップにアライメントスティックを付けて振るドリル」です。まずグリップとアライメントスティックの先端を両手で包むように握ります。この時にスティックは左脇腹横に抜ける状態にします。クラブにスティックを付けたままスウィングして、ダウンスウィングのアーム30度の位置でもスティックが左脇腹に当たらないように振りましょう。スティックが左脇腹に当たるのはフォロースルーです。
もし、インパクトまで左脇腹にスティックが当たらないように振れた時は、手首とクラブの角度がキープされるので、ダブリやトップのミスが減り、ハンドファーストのインパクトが身につきます。このドリルはハーフスウィングやスリークォーターの振り幅で、左脇腹にスティックが当たっても痛くない速さでゆっくり振るのがお勧めです。インパクト前に左脇腹にスティックが当たると「キャスティング」で手首の角度がほどけている可能性大です。是非練習してみて下さい。
今回は、オリンピック・メダリストの共通点について解説させて頂きました。今週は女子ゴルフのオリンピックが行われてます。日本からは笹生優花選手と山下美優夢選手が出場します。前回の稲見選手、今回の松山選手に続くメダル獲得なるか!? みんなで応援しましょう!
PHOTO/Getty Images