最終日の終盤17番でその瞬間は訪れた。157ヤードのパー3で藤田が放ったティーショットはピン手前にワンバウンドして転がりあっという間にカップに吸い込まれた。
起死回生のエースにテレビの放送席も大興奮。「17番でフジータがやった! 大会12個目のホールインワンです」とアナウンサーが絶叫。発音が難しいらしく“フジータ“、“フジーラ“などさまざまな呼ばれ方をされたが一躍注目の的になった。

米シニアツアー「コロガードクラシック」でホールインワンを達成した藤田寛之(写真/Getty Images)
当の藤田は同伴プレーヤーと次々にハイタッチしたあと両腕を突き上げ歓喜の瞬間を満喫。
さらに最終18番でもロングパットを沈め上がり2ホールで3つスコアを伸ばす鮮やかなフィニッシュ。67の好スコアで今季最高の12位タイに入り手応えを掴んだ。
3年前のオフィシャルサイトには「僕はホールインワンは多いほうで、アマチュア時代やプライベートも含めて20回前後やっていると思います」と綴り「15回まではちゃんと数えていたんですけれど…」とその後はカウントしていないことを打ち明けていた。
試合でのホールインワンの数は定かではないが米チャンピオンズツアーでは初。
レギュラーツアー時代から海外志向が強く40代でマスターズ出場権を獲得したときは前のりして今週のザ・プレーヤーズ選手権の舞台となるTPCソーグラスで練習を行った。
取材に訪れると広大な施設にさまざまな趣向が凝らされた練習場に「ここはまるでゴルフの遊園地みたいです」と楽しそうに語っていた。今年はさらにさまざまなコース、さまざまな芝に触れプロ魂を大いに刺激されているに違いない。
今季の目標は「楽しむこと」。楽しみながら結果が伴えばそれほど良いことはない。シーズンはまだ始まったばかりだが今年は藤田の笑顔が度々見られそうだ。
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※2025年3月11日11時0分、一部加筆修正しました。