「ツアークオリティのクラブ工房」は、27年間、国内大手メーカーでトッププロ、トップアマ、トップジュニアのクラブをサポートしてきた今井正人氏が、クラブに関するお悩みを解決するコーナーです。他の工房で「それは無理」と断られた。買ったはいいけどまったく合わない。もうちょっと飛ぶようにならないか。この企画はクラブに生じている問題点と解決策を探りながら、ツアークオリティの「最高のクラブ」に仕上げるまでをレポートするものです。

Q.パターシャフトをカーボンの「MCパター」にしたいんですが、好み通りに仕上げてもらえますか?
A.数値に表れない微妙な部分まで対応させていただきます。

GD 今井さん、今日の依頼主はどんなお悩み相談ですか?

今井 パターのリシャフトです。中島啓太プロが2023年マイナビABCで優勝した際に使用していたフジクラのパター専用シャフト『MCパター』に変更したいという依頼です。中島プロは3タイプある『MCパター』の一番硬い「X‐FIRM」を使用していましたが、今回は中間の「FIRM」へのリシャフトになります。
 
依頼主は2本同じパター『トラス TB1』を所有していて、そのうちの1本をリシャフトしたいとのことです。ただ、リシャフトをした際に、顔が変わってしまうことを心配していて、エースの『トラス TB1』に寸分狂わず合わせてほしいとの注文です。

GD 「リシャフトしたら、顔が変わってしまった」では困りますからね。

今井 今回、リシャフトに使用するサブパターはちょっとだけロフトが多いような気がします。これはもう雰囲気のレベルなので、数値には表れない微妙な違いを調整しながらのリシャフト作業になります。同じモデルのヘッドでも個体差がありますので、状態を見ながら調整する必要があります。今回は、見本となるエースパターがあるので、それを見ながら仕上げていきます。

GD 見本があれば同じに仕上がる?

今井 言葉だけとか、数値だけを伝えられるよりは、見本があって「これと同じに」とか、「これよりも……」と言われたほうが間違いなく組み上げることができます。基準があると精度を高めることができます。
 
構えてみてください。ここに名器『初代トライホット』とその「復刻版」があります。構えてみると3本とも違いますよ。ロフトの付き方、シャフトの挿さり方、ソールをした際の据わり具合がそれぞれ異なります。20年以上前のパターということもありますが、同じモデルでも、これだけ違うんです。

GD 本当だ! 3本とも違いますね。これはわかります。

今井 この場合も同じで3本のうち、どの1本に合わせるか。相談をしながら満足のいく1本に仕上げていくのがクラフトマンの腕の見せどころです。
 
今回のサブの『TB1』をエースに近づけるには、シャフトを右下から挿さないと、同じ顔にならないように見えます。

画像: ヒートガンでホーゼル部を温めシャフトを抜きます

ヒートガンでホーゼル部を温めシャフトを抜きます

GD こちらはビミョーすぎて、素人目にはまったくわかりません。

今井 たくさんクラブを見てきましたから、どこをどう修正すればいいかわかります。ホーゼルの左上にスペーサーをかませて調整していきましょう。

画像: シャフトの装着角度を調整するためのスペーサーは、ホーゼルの状態に合わせてワンオフで制作します

シャフトの装着角度を調整するためのスペーサーは、ホーゼルの状態に合わせてワンオフで制作します

GD スペーサーは手作りなんですね? 

今井 そうです。ホーゼルとシャフトの状態を見て合わせるので、スペーサーの大きさや厚さは毎回違ってきます。

画像: 狙い通りにシャフトが装着できているかをチェック。ここがクラフトマンの腕のみせどころ

狙い通りにシャフトが装着できているかをチェック。ここがクラフトマンの腕のみせどころ

GD これは職人の仕事ですね。ところで、スチールをカーボンにすると何がいいんですか?

今井 打感が変わりますね。スチールとカーボンの厚みを見てください。カーボンのほうが厚いでしょ。これだけ厚みが違うので、手に伝わってくる振動が変わります。パターの場合、カーボンにすると打感が硬く感じると一般的には言われていますが、その硬さがしっかり感になるということで、プロの評価が高まっています。

画像: 右がスチール、左が「MCパター」。肉厚がこんなに違います。肉厚が厚いほうが打感は硬く感じますが、インパクトがぼやけず凝縮したフィーリングになります

右がスチール、左が「MCパター」。肉厚がこんなに違います。肉厚が厚いほうが打感は硬く感じますが、インパクトがぼやけず凝縮したフィーリングになります

GD スチールよりも、打感がぼやけない?

今井 打感が「凝縮している」という言い方をするプロがいますね。

GD それは?

今井 「重力」を使って固めていきます。これは他の工房ではやっていないと思います。ちょっとフラットに仕上げたかったのと、アクリルの接着剤はキチキチだと固まらないので少し隙間を作って固めていきます。

画像: ヘッドを挟んで「重力」を使って接着剤が固まるのを待ちます。ホーゼル内の隙間を計算してライ角を少しフラットに仕上げていきます。経験値がものをいう職人技です

ヘッドを挟んで「重力」を使って接着剤が固まるのを待ちます。ホーゼル内の隙間を計算してライ角を少しフラットに仕上げていきます。経験値がものをいう職人技です

【見本の『TB1』】
●長さ33インチ/バランスC8.5/重さ542.6グラム

【MCパター(FIRM115)にリシャフト】
●長さ33インチ/バランスC9.0/重さ541.1グラム

【依頼主のレビュー】
どんなパターに仕上がるか不安でしたが、『MCパター』(FIRM115)に変更してもオリジナルとほぼ同じスペックに仕上がり満足しています。スチールの『トラスTB1』とリシャフト『MCパター』を打ち比べると、もうスチールには戻れないぐらいいい感じです。見た目も高級感が増してリシャフトしてよかったです。

フジクラシャフトの『MCパター』の情報はこちら

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●今回ご紹介した「パター調整」、「フジクラMCパター」のリシャフトをご希望の方は、下記ホームページからお問合せください。

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