「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はクラブ契約をフリーにするプロが増えている理由とそのメリットについて考察してみた。
画像: ピンのクラブを使っていた渋野日向子も今年からクラブ契約フリーに(Photo/Tadashi Anezaki)

ピンのクラブを使っていた渋野日向子も今年からクラブ契約フリーに(Photo/Tadashi Anezaki)

今後もフリーのプロが増える?

みんゴル取材班(以下、み):渋野日向子プロもそうですが、ここ何年かでクラブ契約フリーのプロが増えているように感じます。ツアーでのサポートの経験も多い宮城さんにお聞きしたいのですが、やはりプロも自分で好きなクラブを選んだほうがメリットは大きいものですか?

宮城:プロならどんなクラブでも打てますが、スウィング面など長い目で見ると自分の振りやすいクラブを使ったほうがいいのは確かです。自分でもメーカーでも対処しきれない場合にフリーの道を選ぶことになります。

み:駄洒落ではありませんがフリーは不利ではないですか? サポート面や金銭面なんかで。

宮城:シード選手クラスなら契約外のメーカーでもサポートをしてくれます。自分でクラブを買う必要もないし、頼めばどんなシャフトでも組んでくれるので、契約プロ優先とはいえ、そんなに不自由はありません。メーカーからの契約金は入ってこなくなりますが、他のスポンサーからの収入で補うこともできます。自ら進んでフリーになりたいわけではないけれど、フリーでもやっていけるというのが実情です。

み:それでは今後もフリーのプロが増える?

宮城:可能性はあります。なぜなら合わないクラブがどんどん出てくる。これまではドライバーが合わなくてフリーになる選手が多かったけれど、これからはドライバーがよくてもアイアンが合わないとか。最近のクラブの流行を見ているとアイアンやウェッジの”難民”が出てきそうです。メーカーと契約している選手は、それをどううまくこなしていくかですね。現にいままでクラブが合わなくて成績が落ちた選手は何人もいますから。

み:試合に出られなくなればいろいろなスポンサードも受けられなくなります。それなら納得できるクラブを使って成績を上げたほうが得策ですね。

宮城:シニアツアーがいい例です。契約がなくなり自分の好きなドライバーやアイアンを買ってきていいゴルフをしている選手が大勢います。最近だと増田伸洋プロなんか一番の成功例です。そもそもクラブ契約を結ぶのはメーカー側の都合です。選手に自由にクラブを選ばせたら、自分のところのクラブを使ってもらう自信がないから、縛りをかけるという考えもあるように思えます。

み:アイアン・ウェッジ難民の話も気になりますが、それはまたの機会にお願いすることにして、最後にもうひとつお聞きします。契約フリーになってクラブが変わることで今まで使ってきたボールとの相性がどうなのか心配なのですが。渋野プロのタイトリストGT2とスリクソンZスターXVの組み合わせとか。

宮城:ボールを替えた場合は影響がありますが、いまのボールは誰でもどんなクラブでも上手く打てるようにできています。クラブを替えるときにボールを気にする必要はまったくありません。

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