前回の記事では2024年9月に発売された「RYOMA MAXIMAⅢドライバー」に採用されているオリジナルシャフト「BEYOND POWER Ⅲ」シリーズについて紹介していきましたが、今回はRYOMA GOLF のもう一つの純正シャフト「TOUR AD MX-3 」についてお話ししていきたいと思います。TOUR ADという名を明記してある通りグラファイトデザイン社との共同開発モデルで初代モデルから存在しています。

RYOMA GOLF のもう一つの純正シャフト「TOUR AD MX-3 」
「TOUR AD MX-3」には以下、6種類用意されています。特殊構造のヘッド機能を最大限に発揮できるように試作と改良を繰り返して開発された自信作です。
フレックス | 長さ | ヘッド重量 | 総重量 | シャフト重量 | 振動数 |
6S | 45.75インチ | 198.5グラム | 315グラム | 63グラム | 255CPM |
5S | 45.75インチ | 198.5グラム | 304グラム | 53グラム | 238CPM |
SR | 45.75インチ | 197.5グラム | 294グラム | 48グラム | 229CPM |
R | 45.75インチ | 197.5グラム | 289グラム | 46グラム | 215CPM |
A | 44.25インチ | 194.5グラム | 274グラム | 40グラム | 198CPM |
L | 44.25インチ | 194.5グラム | 268グラム | 35グラム | 185CPM |
RYOMA GOLFのオリジナルシャフトの中で最も重量のあるシャフト「6S」は振動数も255CPMと数値的にもSフレックスらしい数値ですが、決してハードなシャフトではありません。アマチュアゴルファーの切り返しのタイミングを分析しているシャフト設計は多くのゴルファーに切り返しのタイミングが取りやすさを感じられるでしょう。
シャフトトルクも4.0と一般的な6Sよりもやや大きめに設計されていますので、アマチュアゴルファーのスウィングで扱いやすく、打点ブレに対しても寛容性があるように設計されています。ボールのホールド性能が高く右へのミスが出にくいシャフト設計はヘッドの機能を最大限発揮できるマッチングです。ややヘッドスピードが速いアマチュアゴルファーの多くをカバーできるフレックスだと思います。
「5S」は「6S」より10グラム軽量になっていてシャフト振動数は17CPM低くなり、6Sだとやや重く感じる方に扱いやすさがアップします。滑らかでスムーズな振り心地の良いフィーリングが印象的です。中調子のシャフトですが、スウィング中はシャフト中間部から先にしなりを感じられインパクトを迎えます。ボールをしっかりととらえてくれるので右へのミスは出にくいのに、左につかまり過ぎることもありません。
シャフト挙動は安定感があるので多少振りにいっても、先端部分は暴れず、インパクトも厚く、ボールの吹け上がりを感じずに、パワーのあるボールを打つことができると思います。芯でとらえる再現性の高さは飛距離アップにつながるミート率アップを体感しやすいでしょう。
「MAXIMA Ⅲ」とのマッチングを考えて設計されたSフレックスはスウィングタイプを選ばずに振り心地の良さを感じるフレックスです。

「TOUR AD MX-3」の6Sと5S
SRはスウィングで振り抜くゴルファーに合わせた設計のフレックスです。Sフレックスよりも手元剛性が落としてあるのでパワーがなくてもダウンスウィング時に自然なタメが作れるでしょう。中調子表記ですが、シャフトのしなるポイントは中間部よりもやや先に感じられ、フィニッシュまでスムーズに振り抜ける印象ですね。
シャフト先端部分の動きは穏やかにしなり、楽にボールをつかまえることをアシストしてくれます。
高弾道ボールを楽に打つことが可能になりますが、バックスピン量は抑えられているのでボールが吹け上がることはありません。MX-3のSRフレックスはもう一つのオリジナルシャフト『BEYOND POWER Ⅲ』の持つオールマイティなイメージも備えています。
Rフレックスでもボールの推進力は衰えない
さて続いて「R」を打ってみます。オリジナルシャフトとのマッチングに拘るRYOMAらしく重心深度が深めのヘッドながらヘッド重量を軽めにしてシャフトの先に重さを感じることなくスムーズに振り抜くことができます。スウィング中もシャフトのどこかに硬さを感じることなく、徐々に先端部分にかけて動きがあるのでヘッドが軽くなっていてもきちんとヘッドのポジションを感じることができます。
ボールを右へ逃がさずしっかりととらえてくれ、大きなキャリーと推進力を備えたパワーはRフレックスでも十分感じられます。「MAXIMA Ⅲ」とのマッチングだとヘッドスピードのターゲットは38m/sくらいまでをイメージした非常にバランスの取れたマッチングです。シャフトのしなりを活かしてボールをとらえてくれるのでスライスボールを防ぎたいゴルファーに良いでしょう。
「A」はRと同じ194.5グラムのヘッドを採用していますが、クラブレングスは44.75インチに設定してクラブバランスはRがD0に対してC7になりシャフト振動数は198CPMになります。
Rフレックスの一つ軟らかいフレックスのポジションとなり、シャフトのカラーもブラックからホワイトベースになることにより視覚的に軽さ感じやすくなりますし、ターゲットが異なるのでしょう。グリップ重量も35グラムを採用してクラブ総重量は274グラムとなる軽量クラブです。軽量ながらミート率の高さで飛ばせるシニアゴルファーをイメージしているフレックスのように思います。Rフレックスよりも明らかに大きくしなるシャフト挙動はパワーがなくても振り抜きやすく、大きなキャリーボールをもたらしてくれます。

「TOUR AD MX-3」のAとL
最近シニアゴルファーで200ヤード飛ばないという方のご相談を多くいただきます。
コースではキャリーとランのバランスでトータル飛距離が決まります。飛距離アップしたいゴルファーがトータル飛距離をアップさせるのに高めの弾道のキャリーボールは必要ですし、ボールの落ち際での鋭い落下角度が必要です。そのどちらにも関係するのがバックスピン量です。バックスピン量が少なすぎるとキャリー不足、多すぎると鋭い落下角度が得られずにがランが出ないことになります。
『MX-3』のAフレックスは『MAXIMA Ⅲ』とのマッチングでヘッドスピードが速くないゴルファーでもシャフトのしなりで大きなキャリーボールを実現しながら鋭い落下角度をもたらす適正なバックスピン量を実現する設計なっています。クラブの総重量も軽めですのでヘッドスピードは37m/s以下くらいまで方がその性能を体感しやすいと思います。200ヤード飛ばないという方に是非試して欲しいマッチングです。
レディスゴルファーがターゲット⁉
最後に「L」はオリジナルクラブでのシャフト振動数は185CPM。オリジナルクラブレングスを44.25インチに設定していることからもわかりますが、明らかにレディスゴルファーをターゲットにしているシャフトです。最近のレディスモデルのオリジナルクラブレングスとしてはやや短めのレングス設定ですが、ヘッドとのマッチングでレディスゴルファーにもミート率で飛ばせる自信があるのでしょう。
スウィング中もしなり方が穏やかで扱いやすく、振りやすさを求める方に使いやすいシャフトフレックスです。ヘッドスピードを落として打ってみましたが、しっかりとキャリーの出るシャフトながら弾道は強くバックスピンも多すぎる感じはありません。39グラムながら十分にパワーがあるシャフトです。
レディスゴルファーの飛距離アップのポイントはシニアゴルファー同様キャリーとランのバランスです。『MX-3』のLフレックスは多くのレディスゴルファーに大きなキャリーボールとランの出やすいバックスピン量による理想的な落下角度をもたらしてくれると思います。
Lフレックスのクラブをお使いのレディスゴルファーの方でランが出ないことで飛距離が出ないとお悩みの方は是非試して欲しいと思います。
2本立てでRYOMA GOLFのオリジナルシャフトを検証しましたが、BEYOND POWER Ⅲシリーズ、MX-3シリーズどちらのモデルもメーカー純正シャフトとしてヘッドのパフォーマンスを最大限発揮できるマッチングを考えて作り込まれている印象でした。
是非RYOMA GOLF試打会でお試し下さい。