「週刊ゴルフダイジェスト」や「みんなのゴルフダイジェスト」で、障害者ゴルフの取材記事を執筆したベテラン編集者が、日本だけでなく世界にアンテナを巡らせて、障害者ゴルフのさまざまな情報を紹介する本連載。連載6回目は「日本ゴルフ学会」についてです。
画像: 障害者ゴルフについて話す松田代表。翌日は「フィールドワーク」として希望者でラウンドも

障害者ゴルフについて話す松田代表。翌日は「フィールドワーク」として希望者でラウンドも

「日本ゴルフ学会」をご存知ですか?

日本ゴルフ学会のホームページを見ると、1987年に設立され、その設立の趣旨として、『21世紀へかけてこのような国際的・国内的情勢を考えるとき,ゴルフという独自な特性をもったスポーツ文化が,時代の要求に応える豊かな可能性を含んでいることに気づかれることと思います.すなわち,国際的な種目であり,少年から高齢者まで,そして男女ともに参加でき,精神と身体の統合を必要とする種目であること,健康の維持発展に可能性を含んでいることなどでもあります.これらの豊かな可能性を確実な実りとするためには,単なる経験では様々な弊害を生じるでありましょうし,従来の恒例に従っているだけではなく,学問による裏付けが必要であります.そこで諸科学協力しての,ゴルフに関する科学情報の創造発展と交流が必要と考えられます』(原文を抜粋)とあります。

ゴルフを学問としてとらえ、研究者がその存在に関しての科学的な裏付けを研究、発表し、議論や意見交換など相互に交流し、ゴルフの発展のために組織される団体なのです。

先月末、第34回大会が沖縄・宮古島で開催され、そのなかで初めて障害者ゴルフが取り上げられました。

今回の学会テーマは「インクルーシブゴルフの可能性を探る」。インクルーシブとは、「包括的な」「包括性」といった意味合いがあります。最近よく「インクルーシブ社会」という言葉も耳にするのではないでしょうか。「共生社会」と言われることもあります。

シンポジウムで、日本障害者ゴルフ協会の松田治子代表と、“義足のプロゴルファー”吉田隼人氏が登壇し、「障害者ゴルフ」の活動や課題を発表しました。他にも「スペシャルオリンピックスの視点から」、スペシャルオリンピックス⽇本・沖縄の根路銘敦事務局長、小山幹太理事、同所属選手の前里将志氏が、また「視覚障碍者ゴルフの視点から」、日本視覚障害者ゴルファーズ協会の並木正氏、青木裕子氏が、それぞれのシンポジウムで発表を行いました。

松田治子代表は語ります。

「昨年、日本リハビリテーション学会にも初めて参加し有意義でしたが、今回は体育科目の先生方が多く、しかもゴルフがお好きな方ばかり。会長の福永哲夫先生は、『貯筋』の研究をされていますが、現在83歳にして80台で回り、年間100ラウンドくらいされるとのこと。ゴルフ好きな先生方の前で、発表だけではなく、実技として、選手たちのプレー姿を実際に見てもらい大変興味を持ってもらえましたし、学問の発想のなかに別の視点も見つけていただけたのではないかと思っています。このなかからまた、我々の活動を手伝ってくれるような方も出てくるのではないかと考えています」

画像: 日本障害者ゴルフ協会、スペシャルオリンピックス沖縄、日本視覚障害者ゴルファーズ協会から3人のプレーヤーがデモを行った

日本障害者ゴルフ協会、スペシャルオリンピックス沖縄、日本視覚障害者ゴルファーズ協会から3人のプレーヤーがデモを行った

“ゴルファー”という共通点があれば、いろいろな壁を越えて親しくなるという経験をされた方々も多いと思います。障害者と健常者の壁だけではなく、ゴルフには、年齢、性別、職業……いろいろな壁を超える力があるのです。

結局、ゴルフ好きの我々の日々の行動、活動こそが「インクルーシブ」なんだと思います。皆さんも「インクルーシブゴルフ」とは何か、ぜひ考える機会を作ってみてください。

今回の学会をきっかけに、障害者ゴルフに関しての研究がさらに増えていくことを願います。

 

写真/日本障害者ゴルフ協会

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