ゴルフダイジェスト・アーカイブス。1985年夏――「KKコンビ」が注目されたPL学園野球部が圧倒的強さで夏の甲子園を制した同じ日、ゴルフ部も全国制覇を目指して、千葉県・かずさCCで激しい戦いを繰り広げていた。野球とゴルフで同時高校ナンバーワンの目論みは、団体戦2位とついえたが、個人戦では断トツのトップを奪った。野球の影に隠れたPL学園ゴルフ部にスポットをあててみよう。※記事は1985年8月に発売した「週刊ゴルフダイジェスト」の再録です。
 
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テスト期間と冬休み夏休み。練習休みは年に10日間だけ

さて、PL学園ゴルフ部の練習であるが、たとえばこの夏休み期間中は午前9時半から2時間に渡り筋力トレーニング、ランニング、素振りをくり返し、午後は2時半から6時まで約300球の打球練習となっている。月曜日の場合は、このメニューに午後からのハーフラウンドが加わることになっている。

もちろん、雨の日でも休みはなく、校舎内の階段を使用しての足腰強化のトレーニングが行われる。その他、部員各自は全寮制のため早朝の5時半には自主的に起き、約1時間の素振りをやっている。練習休みは試験中と冬休みと夏休みの合わせて、約10日間だけである。

こういった練習を毎日くりかえされるわけだが、現監督の藤原勝氏によれば、「剣道部や野球部と比較したらクラブ活動に毛が生えている程度ですよ。PLは宗教団体の学校ですから、神によるゴルフ……つまり、より正しく、より強く、誠をこめてやらなければなりません」と力説する。神によるゴルフとはなかなか理解しにくいが、甲子園でのPL球児たちがしきりに胸に手を当て、アミュレットと呼ばれるお守りを握りしめているが、ゴルフ部員もまたあのアミュレットを首から下げているか、ゴルフバッグに入れて持参している。そこにPL学園の強さが秘められているのかもしれない。

今や高校ゴルフ界は大きく変身しつつあるようだ。ひと昔前の高校ゴルフ界はたしかに地味な存在だった。しかし、今や一部では野球部よりも人気があるといわれる。昭和30年にPL学園が創立され、同時に創部された野球部はここ数年に渡って高校野球の頂点に立っている。その点、ゴルフ部の場合は本格的に力を入れはじめてから間もないが、すでに高校ゴルフ界に君臨、急激な躍進をみせている。高校ゴルフ界においても野球同様、「PL球団」と他校から皮肉っぽくいわれているのも事実である。監督の藤原氏は最後にいった。

「PL出身のプロ野球選手はいっぱい活躍していますが、ゴルフ部出身のプロゴルファーはいません。まだ歴史が浅いからですが、近い将来はプロゴルフ界でもPL出身が活躍してくれるのではないでしょうか」

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ゴルダイジュニア編集部追記――1985年全国高等学校ゴルフ選手権メンバーの中に2002年、07年の賞金王、日本ツアーで20勝を挙げた谷口徹プロがいます。PL学園を卒業後、同志社大学商学部に進み1992年プロ入り。文中に登場した北島泰介君は日大ゴルフ部に進み1991年にプロ入り。現在は出身地佐賀県唐津で主宰する「TKゴルフスタジオ」を拠点にシニアツアーに参戦しています。全国大会団体戦優勝3回を成し遂げたPL学園ゴルフ部は2001年に廃部となっています。

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