
クラブと対話することで、1本1本との信頼関係が深まっていく(写真はイメージ)
たまにはクラブと”対話”しよう
今回は「クラブと対話しよう」がテーマです。普段、練習やラウンドで「お世話になっている」愛用のゴルフクラブたち。プレーや練習が終わったら、すぐバッグにしまって、次に使うまで触れることもない、という方も多いのではないでしょうか?
私の場合、毎回ではないですが、プレーを終えて帰宅したら、キャディバッグをクルマから下ろして自室に持ち込み、クラブを全て並べてお手入れをします。その日お世話になったクラブたちに「お疲れさん」と感謝の気持ちを込めて、手入れをするようにしています。
ただ、お手入れ以外にも目的があります。それは、クラブヘッドや、シャフト、グリップなど、クラブの隅々までじっくり眺めて「クラブと対話」することです。
クラブが物を言うわけではありませんが、じっくり観察すると、使い手である自分にクラブのほうから語りかけてくれていることがあるのです。
たとえば、
「ああ、フェースのこんな先っぽにボールの跡をつけてしまって、申し訳ない。いくらミスに強いと言っても、あなた(クラブ)に責任はないね」
「ウエッジの溝がだいぶ減ってきたな。これではスピンが利かないのも無理はないよね」
「9番アイアンだけ、打痕がトウ寄りに偏っているな。ライ角が合っていないのかな」
「7番だけ変な音がすると思ったら、ソケットが緩んでいたね。これは要修理だ」などなど。
こうした事に気付かされるのは、大抵この「お手入れ」の時間です。そう、クラブの方が赤信号を発してくれていたのです。クラブが教えてくれるのは、こうした物理的なサインだけてはありません。
クラブをじっくり眺めていると、そのクラブを使って打ったショットや、そのショットを打った時の情景が目に浮かんできます。
「ああ、あの時、あなた(U5)を選んで正解だったね。あの高さを出せたから、グリーンに止まってくれたんだよね。」
「そう言えば、12番ホールのセカンドは5番で打ったんだっけ? あれは良いボールだった。やっと馴染んできたかな これからも宜しくね」
「あのホールのドライバーのOBは完全に自分の選択ミス。あなたのせいにしちゃダメだね」
「アイアンくんたちの距離はほぼイメージ通りだったよね。長い付き合いになりそうだね」
かなり”変な人”と思われるかも知れませんが(笑)、こんなふうに「クラブと対話」する時間を作ることで、自分と一本一本のクラブたち、お互いの信頼関係を高めていくのです。
もちろん、クラブとの相性が悪い、という場合もあります。どうしても構えにくい、イメージと合わない、といった時には、そのクラブとの「お別れ」や、少しの間「お休み」することを考えても良いでしょう。こういうことも、対話していくことで、的確な判断がしやすくなります。こうした対話は、その日のプレーを反芻するための時間にもなっています。
もちろん、プレー直後もクラブの掃除はしますが、少し時間を置いて、落ち着いた精神状態の時にじっくりクラブを眺めながらその日のプレーを振り返る方がベター。もちろん、帰りの車中でも、頭の中では「反省会」をやっていますが、実際にクラブを手にしている時の方が、不思議と記憶が鮮明に蘇ります。
また、その日のプレーだけでなく、過去にそのクラブで良いショットをした時のイメージや、その時気を付けていたポイントを思い出したりして、「ああ、これを忘れていたな」と気付かせてくれることもあります。「よし、次のプレーで試してみよう」「いや、今すぐ試したい!」となって、矢も楯もたまらず、練習場に直行した。なんてこともありました。
良かったショット、悪かったショット。その時の状況、自分の精神状態を冷静に振り返り、その原因を考え、次のプレーに活かす。
こうしたことをより綿密に行うことに、「クラブとの対話」がとても役に立っています。皆さんの愛用している14本のクラブたち。機会があったら「対話」してみて頂けたらと思います。
※2025年3月15日16時20分、文字を修正しました