2011年のプロテストに青木瀬令奈、堀奈津佳、香妻琴乃らと共に合格した工藤遥加選手は、そのポテンシャルは誰もが知るところでした。しかしこれまでシード権の獲得はならずに今季もQTランク51位の資格で迎えていました。今大会は主催者推薦での出場からの優勝となり、24年の臼井麗香選手、23年の山内日菜子選手に続いて3年連続で推薦出場からの初優勝を飾りました。

「アクサレディス」でツアー初優勝を飾った工藤遥加
昨年の「住友生命Vitalityレディス東海クラシック」の2日目終了後に行われた、JLPGA公認の「朝日インテックドラコン大会」で277.7ヤードを飛ばして女王となった工藤選手を現地で見ていました。
普段のラウンドではコントロールしたドライバーショットのイメージが強かったのですが、しっかりと振り切ったスウィングは飛距離を武器に戦える数少ない選手の一人だと感じていました。

24年JLPGA公認「朝日インテックドラコン大会」で277.7ヤードを飛ばし優勝した(写真/大澤進二)
同期生の青木瀬令奈選手によると「慎重派」だという性格もあってか、これまでの攻め切れていなかったプレーから一転して今大会ではドライバーを多用しピンを攻めるゴルフを見せ、最終日には5バーディノーボギーで後続を振り切ったプレーは大きな自信になったはずです。
それではスウィングを見てみましょう。始動では体が先行してヘッドがわずかに遅れてスタートしていきます。体のターンでクラブを上げることによって左右の動きは少なく、体幹部がしっかりとねじられエネルギーを貯めて行きます。

体幹部がしっかりとねじられたバックスウィング
しっかりと背中がターゲットに向いたコンパクトなトップに入る少し前から左への重心移動が入り、切り返しでは下半身を使って回転力を高めます。
インパクト直後のヘッドの位置を見るとほぼレベルに振り抜かれていることがわかります。フェードボールを持ち球とする工藤選手の入射角はアッパー軌道は弱く、レベルに近い軌道の表れです。

女子プロには珍しいレベルブロー気味のスウィング
インパクトで背骨の傾きも少ないのでドライバーからショートアイアンまで不得手なく振れるスウィングだと言えます。
しっかりと胸を張ったフィニッシュは誰もが真似したいポイント。そうすることでスウィングアークの大きく長いインパクトゾーンを実現できます。

胸をしっかり張ったフィニッシュは大きなスウィングアークができる証拠
優勝会見で「50歳まで現役でプレーしたい」と言い、それに見合うトレーニングや体のケアを欠かさないと話しました。遅咲きの初優勝となりましたが、ここからが工藤選手の第二幕の始まりになることでしょう。
写真/岡沢裕行