2025年ステップ・アップ・ツアー国内開幕戦にあたる「YANMAR HANASAKA Ladies Golf Tournament」。4月3~5日の日程で滋賀県にある琵琶湖カントリー倶楽部 琵琶湖・三上コース(18H・6395Y・P72)で開催され、プロ2年目の與語優奈が3日間首位を譲らず、完全優勝でプロ初勝利を挙げた。なお、昨年プロテスト合格者は17名が出場し、ECC学園で與語の1年後輩にあたる中村心が5オーバーの8位タイが最上位だった。
画像: 完全優勝でステップ・アップ・ツアー初勝利を挙げた與語優奈

完全優勝でステップ・アップ・ツアー初勝利を挙げた與語優奈

2位タイに入ったベテラン一ノ瀬優希も「ピンポジションが難しすぎる」と話すほどの難セッティングの琵琶湖CCを制したのはプロ2年目の與語優奈(よご・ゆいな)だった。

初日を4バーディ2ボギーの「70」でまわり、大西葵、澁澤莉絵留と並んで首位でスタート。2日目は3.7m/sの強い風と、厳しく切られたピンポジションで全体の平均スコアが「77.86666667」と軒並みほかの選手がスコアを崩すなか、1バーディ1ボギーのイーブンで回り、2位に2打差の首位をキープ。

そして迎えた最終日。1番でいきなり3パットのボギーと暗雲が立ち込めたが、続く2番でバーディを奪い、バウンスバック。そのプレーを「2番のバーディは結構大きかったです。気持ち的にも1番ボギーで始まって、すぐに取り返せたので良かったかなと思います」と話し、優勝のカギに挙げている。「バーディをいっぱい取れるほうが楽しいけど、耐えるほうが好き」というように、5番でボギー、14番でもボギーと初日、2日目に比べるとピリッとしない1日だったが、ほかのホールではしっかりパーセーブし、ひとつ前の組の浜崎未来に1打差で最終ホールへ。

「緊張して」ティーショットを右のバンカーに入れたが、「左の池にギリギリ入りそうなので、右のバンカーでも良いかなというのはありました」と冷静さは失わなかった。そして、1打差の浜崎がボギーでホールアウトし、2打差となったのを見届けたセカンドは、「バンカーのライは良かったので、センター狙いで」放った一打は「ちょっと右に行ったけど、上の段に行ってくれた」とし、4mに付ける。バーディパットは外れるも1mのウイニングパットを沈め、優勝した。

画像: 最終日18番バンカーからのセカンドショット。4mに付けて2パットのパーで優勝を決めた

最終日18番バンカーからのセカンドショット。4mに付けて2パットのパーで優勝を決めた

ガッツポーズは「一瞬、思いましたけど、恥ずかしかった」と話す大和撫子。なお、自身の初優勝でもあるが、レギュラーツアー、ステップ・アップ・ツアーを併せて、同期のなかでも一番早い優勝となった。

イ・ボミに憧れてプロを目指したが、自身がプロテストに合格した23年にイ・ボミは引退。会ったことはなく、「だからマスターズGCに優勝したいです。ボミさんと一緒に写真を撮りたいので」と笑う。

今シーズンの目標は「まずはステップで優勝するのと、あとは何個かレギュラーツアーの推薦を頂いてるので、そこで結果を残して、リランキングで中盤戦と後半戦の試合に出たい」と話し、来週は富士フイルム・スタジオアリスのマンデーに出場する。

なお、今シーズンからステップ・アップ・ツアーの優勝者にはソニー日本女子プロ選手権の出場権が与えられる。與語のレギュラーツアーや国内メジャーでの優勝争いを期待したい。

優勝スコアがイーブンパーだった理由とは?

開催コースである琵琶湖CCは2グリーンでグリーン自体が小さく、またグリーン周りの傾斜は芝が刈り込まれているため、グリーンに着弾しても、狙いよりも少しでもオーバー、もしくはショートするとグリーン外にこぼれてしまう。

また、グリーンの速さを示すスティンプメーターが、初日「12フィート」、2日目「12フィート」、最終日「12と1/3フィート」。また、グリーンの硬さを示す「ファームネスメーター」は初日「245ミリ」、2日目「251ミリ」、最終日「233ミリ」。この数値だと、ピンだけを狙うゴルフではグリーンに弾かれるか、ランがいつも以上に出てしまう。

なお、JLPGAではグリーンの硬さを示す測定法を今季からいままでの「コンパクションメーター(山中式土壌高度計)」から「ファームネスメーター」に変更にしている。これはコンパクションメーターが土壌硬度を表すのに対し、ファームネスメーターはグリーン表層の硬度を表すため、より選手の感覚に近くなるという。そのファームネスメーターは、高さ180cm地点から約360gの鉄球を落としたときに「何ミリへこんだか」の計測値で、このときの地面にかかる衝撃力は7番アイアンのショットが着弾したときと同等といわれる。

さて、「何ミリへこんだか」を数値だけ示してもわかりにくいので、今シーズンのレギュラーツアーで「グリーンが硬い」と評判だったVポイント×SMBCレディスと比較したのが下記の表になる。

YANMAR HANASAKA LadiesVポイント×SMBCレディス
初日245ミリ247ミリ
2日目251ミリ239ミリ
最終日233ミリ237ミリ
グリーンの硬さを示す「ファームネスメーターの値比較」

今週の琵琶湖CCのグリーンがいかに硬いかがわかる。次にグリーンの速さを示すスティンプメーターの値を比較する。

YANMAR HANASAKA LadiesVポイント×SMBCレディス
初日12フィート12フィート
2日目12フィート11と3/4フィート
最終日12と1/3フィート11と3/4フィート
グリーンの速さを示す「スティンプメーターの値比較」

こちらもかなりの高速グリーンだということがわかるだろう。もちろんコースにより、というよりホールによりグリーンは異なるので、一概に難易度は比較できないが、今大会がレギュラーツアー並みのグリーンコンディションだったということは間違いない。そして、今大会の予選カットラインがステップ・アップ・ツアーでは国内史上最多オーバーパーのトータル10オーバーという結果に表れた。

画像: 今年初戦、産休明けのなかで2位タイに入った一ノ瀬優希

今年初戦、産休明けのなかで2位タイに入った一ノ瀬優希

この難しいコンディションが、一ノ瀬優希(2位・2オーバー)、宅島美香(4オーバー・6位タイ)、東浩子(8オーバー・13位タイ)、大江香織(8オーバー・13位タイ)といった引き出しの多いベテラン勢が上位フィニッシュした要因かもしれない。その証拠に一ノ瀬もホールアウト後のコメントで「今回はコースが難しかったから今の私には良かったかなと。逆にバーディ合戦だともうちょっとショット力を上げないと戦えない気がするので、今回は我慢合戦だったから、私は戦えたかなと思います」と話す。

バーディ合戦も楽しいゴルフだが、耐えるゴルフを観るのも、面白い。この難コース、難コンディションのなか、上位争いをした選手たちの今後に注目だ!

撮影/岡沢裕行

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