AI設計の〝進化系〞フェースをミニドラにも導入
フルサイズモデルの最新技術を〝全部のせ〞
「長くてヘッドの大きなドライバーが苦手」、「危険なホールで曲げたくない」、そんなニーズに応えるミニドライバーは〝守り〞のイメージが強い。一方でドライバーである以上、飛距離も追求しているのがキャロウェイだ。最新作「エリート ミニ ドライバー」も飛び性能に一切の妥協がない。その中心のテクノロジーは、やはりAIが設計した〝フェース〞。キャロウェイが言うところのコントロールポイント(フェース上の最適な弾道に補正する場所)が前作比で約12倍に増加。弾道が補正される、つまり曲がりや過剰なスピンなどが抑えられることで、飛距離アップにつながる仕組みだ。フルサイズのエリートに比べて2インチ短いので一発の飛びは譲るが、逆に短いぶん、ミート率が上がることで、最大限に最新のテクノロジーの恩恵を受けられる可能性は高くなる。エースドライバーとして、またはドライバーとFWの間の距離を埋めるギャップドライバーとしても活躍してくれそうだ。
前作比で約12倍に増えた
「コントロールポイント」
今回採用された「Ai 10x FACE」は、460㏄のエリート ドライバー同様、プレーヤーのリアルなスウィングデータをAIにインプットして開発。打点ずれによって起こる弾道の変化を抑え、飛距離を伸ばす。

コントロールポイント ※イメージ
フルサイズのエリート同様
「ウェイトポート」を設置
約13gのウェイトがヘッドの後方3カ所で可変。狙った場所に確実に運びたいミニドライバーにとっては、より精緻なコントロールを可能にする重要な機構。加えて“低重心化”にも寄与し、飛距離につながる。

ウェイトポート
前作のMINIからさらにどこが変わった?
より空気抵抗の少ないシェイプに進化

【写真左】ELYTE MINI【写真右】PARADYM Ai SMOKE Ti 340 MINI
新たに導入されたチタンも扱える3Dプリンターにより、従来の90分の1のリードタイムでプロトタイプの製作が可能に。多くの試作モデルを研究したことで、より空気抵抗を低減した高効率のシャローなヘッドが完成した。
航空宇宙分野でも使用されるカーボンに

【写真左】ELYTE MINI【写真右】PARADYM Ai SMOKE Ti 340 MINI
クラウンには航空宇宙分野でも使用されるサーモフォージドカーボンを採用。軽く強度が高く、高精度に設計どおりに製造できる。最適な重量配分と、心地よい打球音にも貢献。
小さなヘッドの不安材料が消えた!ミニドラとは思えない芯の広さに正直驚く

試打・解説
内海大祐プロ
ベーシックかつ効果的なメソッドで上達へと導くコーチ。試打経験も豊富でギアの特徴の違いを感じ取る感性に優れる。オールデイゴルフ所属
推しポイント 01
高打ち出し、適正スピンで
しっかり飛距離が出る

前作より地面に近い部分にウェイトを設置。さらにカーボンクラウンもヘッドの外周部に回り込むように設計され、低重心化。
「高打ち出し、低スピンで飛びます」(内海プロ・以下同)
推しポイント 02
ボール初速が速いのに軟らかい打感

ボール初速は前作以上だが、新素材のカーボンクラウンにより弾くような高い打音が抑えられ、玄人好みの食い付くような打感、打音に。
「初速は出るのにソフトな打感には驚きました」
推しポイント 03
ちょうどいい長さで最後まで振り切れる

全長はフルサイズのモデルより2インチ短い43.5インチ。
「ヘッドの大きさと相まって、振り抜きがいい。短いぶん、センター付近でとらえる確率も上がるので、平均飛距離が伸びる人も多いはず」
推しポイント 04
特にトウ側に外した時に飛距離の
落ち込みが少ない

小ぶりなだけにミスヒットへの寛容性は重要。トウとヒールに外して打ったが、特にトウの強さが顕著。ミニドライバーの不安要素を拭い去る。
「初速、飛距離の落ち込みは少なく、最新のAIフェースの効果を実感」
小さいヘッドなのに打点ずれにとても寛容
「最近の慣性モーメント(MOI)の大きいドライバーを打ちこなせていないゴルファーは少なくないです」という内海プロ。自身も大MOIだとヘッドスピードが出し切れないと感じる時があるという。「ミニドライバーは、とにかく振り抜きのよさが際立ちます。最後まで勝手に振り切れちゃう感じなので、フルサイズの大MOIだともったりした重さを感じてしまう人とも相性がいいはず」と語る。
ではエリートのミニドライバーの感触はどうだろう。
「いや、初速がすごい。前作に比べてスピン量も抑えられていますし、たった1年間ですが飛距離の面で確実に進化しています。そして打感ですよね。ここは好みが分かれるところですが、明らかにボールへの食い付き感が増しています。打音的には弾いている感じは少ないのに、非常に高初速。このギャップには驚きです」
ミニドライバーというと、ヘッドが小さいぶん、〝芯に当てるのが難しいのではないか〞という懸念があるが、その面ではAIフェースの恩恵をしっかり感じられるという。「特にトウ寄りに外した時には、弾道データの落ち込みは最小限ですし、打感もほとんど変化がない。これが最新のAI設計のフェースの効果なのかと実感できます」
小さくてもミスに強く大きく飛ぶ。エリート ミニ ドライバーの誕生で、新たなミニドラユーザーが増えそうだ。
TEST 1 前モデルと打ち比べ
高打ち出し&低スピンに磨きがかかった

上記は前作との比較データ。11.5度、13.5度ともにエリート ミニ ドライバーのほうが、ボール初速、打ち出し角が増し、スピン量が少ないという結果に。「ロフトが11.5度もあるのにスピン量が2000回転台に収まるのが驚き。飛距離性能が高いです」
TEST 2 ウェイトを付け替える
“ヒールウェイト”は技巧派に超ハマる

フェース面の調整で球筋が作れる

後方のウェイトを移動するとその効果は顕著。「個人的にはドロー(ヒール側)にしたときに、フェースコントロールが自在にできる点が好印象。フェースターンさせる、させないが自在で、弾道が作れる。大MOIヘッドでは味わえない感覚」

スピン量はノーマルポジション時(ロフト11.5度)
POINT ティーアップはボール半分出る程度に

シャローなヘッドなのでティーアップの高さには要注意。「ヘッドの上部からボール半個分出るという基本は同じ。これ以上高くしてしまうと、460㏄のもの以上にテンプラしやすくなります」
PHOTO/Hiroaki Arihara
THANKS/オールデイゴルフ馬橋