マスターズウィークの火曜の夜、グリーンジャケットに身を包んだ紳士たちが瀟洒なクラブハウスの2階に集う。決して広くないスペースにスタッフが丹精こめてセッティングしたテーブルで前年の覇者がホスト役となり歴代チャンピオンたちが夕食を楽しむのだ。それはただのディナーではない。レジェンドたちがとっておきの逸話を披露し合う社交場だ。
画像: 練習日のスコッティ・シェフラー(撮影/Yoshihiro Iwamoto)

練習日のスコッティ・シェフラー(撮影/Yoshihiro Iwamoto)

タイガー・ウッズ以来のマスターズ連覇を目指すスコッティ・シェフラーが今回考案したメニューは23年のチャンピオンズディナーで供したものとほとんど変わらなかった。

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スコッティ・シェフラーが考えた25年メニューリスト

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前菜にチーズバーガースライダーとシュリンプ、メインがステーキまたはレッドフィッシュ(メバル)のソテーというのは同じだが、前回のトルティアスープが今回はシェフラーパパのミートボールスープ、ラビオリ入りとなっている。

ラビオリ? と聞いてピンときた人はシェフラー通。たしか昨年のクリスマスに彼が手にケガを負った原因が“ラビオリ”だった(調理中に皿を割り、手に破片が入った)はず。普段面白いコメントをすることがないシェフラーの一流ジョークなのか?

会見でミートボールスープについて聞かれたシェフラーはそれが父親のスコットさんの得意料理だったと説明した。

「父が作るたび、家族がみんな大喜びしていました。それを思い出して今年のメニューに取り入れたら面白いな、と思って。ラビオリもいいアクセントになっていましたよ(笑)」

そういえば前回のトルティアスープが「辛すぎた」と皮肉屋のニック・ファルドがいっていた。それもあってか今回は辛すぎないスープを採用したのかもしれない。

昨年ジョン・ラームがホストを務めたときにはその日(4月9日)が故セベ・バレステロスの誕生日だったこともあり「素晴らしいスパニッシュディナーだった」とゴルフ界きっての“語り部”ゲーリー・プレーヤーは振り返る。

ガルシアはいう。「火曜の夜は一年でもっとも特別な夕べ。大勢のチャンピオンが一堂に会して驚くようなストーリーを話してくれるのです。僕は特に60年代、70年代のストーリーを聞くのが好き。その空間にいると自分が小ぢんまりした特別なクラブの一員になれたような気がします」。

「ライダーカップでセベがどれほど勇敢に戦ったか。舞台裏で何があったのか。ヨーロッパチームの同志だったオラサバルやランガーが語ってくれた秘話は自分が知らないことばかりで感動しました。デザートタイムになるとレジェンドたちが立ち上がって鳥肌が立つような逸話を順番に話してくれるんです。その瞬間が何より素晴らしいんです」とジョン・ラーム。

マスターズチャンピオンクラスになると誰もが特別なエピソードを持っている。それをどれだけ脚色して列席者を笑顔にさせられるかが勝負。今年は温かいチョコレートチップスキレットクッキーがサーブされたころ、歴史の証人たちが心に残るストーリーを披露し合ったに違い
ない。

25年チャンピオンズディナーに参加した歴代優勝者たち

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なおアキレス腱を断裂したマスターズ5勝のタイガー・ウッズはチャンピオンズディナーを欠席した。

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