日本で生中継開始から節目の50年
【1986年】ジャック・ニクラス
ニクラス6度目、史上最年長優勝

46歳2カ月23日という最年長優勝を記録
前年の全英オープンと全米オープンで予選落ちを喫し、年齢的な衰えが顕著になっていたニクラス。「もう限界」と多くのファンが考えるなかで、最終日のバック9で「30」を記録。最終ホールで首位タイに並んでいたグレッグ・ノーマンがボギーとしたことで46歳2カ月23日という最年長優勝を記録した
【1995年】ベン・クレンショ―
恩師に捧げる涙の優勝劇

「私にはハービー・ぺニックという15本目の心強いクラブがあった」と語った
試合の前週に名コーチとして数々のトップ選手を育ててきたハービー・ぺニックが急逝。クレンショーの師でもあり、恩師を失った悲しみを胸に4日間を戦いぬき見事優勝。「私にはハービー・ぺニックという15本目の心強いクラブがあった」と語り、亡き師とともに勝ち取った栄誉だった。
【1996年】ニックファルド
6打差を守り切れずノーマンが逆転負け

試合後ノーマンは「またマスターズに負けたと言ったって、この世の終わりじゃない」と語った
3日目を終えてグレッグ・ノーマンが6打差をつけて単独首位に立ったが、最終日に78と大崩れして、ニック・ファルドに大逆転負け。3度目の優勝となったファルドは喜びを爆発させるのではなく、優勝を逃したノーマンを静かに慰めた。試合後ノーマンは「またマスターズに負けたと言ったって、この世の終わりじゃない」と語った。
【1997年】タイガー・ウッズ
タイガー時代の幕開け21歳でマスターズ初制覇

この圧勝劇は歴史あるマスターズ自体を動かすことになった
プロ転向後、初出場となった大会で2日目に首位に立つとそのまま独走して2位に12打差をつける圧勝劇で最年少優勝を達成。優勝スコア18アンダー、2位との差も大会レコードを更新するなど、新時代の到来を実感させた。この圧勝劇は歴史あるマスターズ自体を動かすことになり、セカンドカットの芝を伸ばしたり、コース延長に着手するようになった。
【2003年】マイク・ウィアー
レフティ初のマスターズ制覇

フィル・ミケルソンやバッバ・ワトソンなどレフティたちがウィアーに続く形で優勝
左ドッグレッグの多いオーガスタナショナルだけあって右打ち有利と言われていたが、その定説を覆す優勝。その後、フィル・ミケルソンやバッバ・ワトソンなどレフティたちがウィアーに続く形で優勝。道具の変化などにより、フェードを武器にする選手が多くなったことで、レフティ有利とまで言われるようになった。
【2019年】タイガー・ウッズ
11年ぶりのメジャー優勝タイガーがほえた!

「息子が喜んでくれ、父親としての役割を果たせた」と語った
度重なる怪我を乗り越えて、08年全米オープン以来となる11年ぶりのメジャー15勝目を挙げたタイガー。最終日に2打差の2位から出ると、一時2打差に10人以上が並ぶ大混戦になったが、15番のバーディで単独首位に立つとそのまま逃げ切り。「息子が喜んでくれ、父親としての役割を果たせた」とタイガー。
【2021年】松山英樹
日本人が挑戦して85年ついに頂点に立った!

TBSの解説を務めた中嶋常幸と宮里優作らが感涙にむせび、約55秒間沈黙した
1936年の第3回大会に陳清水と戸田藤一郎が日本人として初出場を果たして以来、85年。1973年にジャンボ尾崎、1986年に中嶋常幸が8位タイ、2001年に伊澤利光が4位タイ、2009年に片山晋呉が4位に入るなど活躍。その後、松山が2015・16年と連続でトップ10入りを果たしていたが、ついにグリーンジャケットを獲得した。4打差の単独首位で最終日を迎えると、何とか逃げ切って優勝。TBSの解説を務めた中嶋常幸と宮里優作、そしてアナウンサーが感涙にむせび、約55秒間沈黙してしまった。
語り継がれるあの一打。名物ホールで起きた悲劇と軌跡。
【1987年】ラリー・マイズ:最終日プレーオフ/11番
起死回生のチップインバーディ

42ヤードのアプローチをカップインしてバーディ
最終ホールを終えて、ラリー・マイズ、セベ・バレステロス、グレッグ・ノーマンが首位タイに並びプレーオフに突入。10番の1ホール目でセベが脱落。続く11番パー4でノーマンが2オンしたのに対し、マイズは右から42ヤードのアプローチを残してしまう。グリーン奥に池があり、グリーンがその方向に傾斜していることから寄せるのは難しいと思われたが、SWで打たれた球は直接カップインしてバーディ。続くノーマンがバーディパットを外して、マイズの優勝が決まった。
【2005年】タイガー・ウッズ:最終日/16番
カップの縁に一度は止まるもひと転がりしてバーディ

一度は縁で止まってしまったものの数秒後に再び動きだしてカップイン
タイガーの3打差リードで迎えた最終ラウンドはクリス・ディマルコとの一騎打ちに。11番を終えて1打差まで詰め寄られ迎えた16番パー3。タイガーは1打目をグリーン左に外し、約9メートルのアプローチを残してしまう。そのアプローチは傾斜に沿ってカップに転がっていったが、一度は縁で止まってしまったものの数秒後に再び動きだしてカップイン。試合は17・18番でタイガーが連続ボギーとしてプレーオフになったが、1ホール目でタイガーがバーディを決めて決着した。
【2011年】ローリー・マキロイ:最終日/10番
優勝を手放した悪夢のトリプルボギー

メジャー初優勝は夢と消え、今ではキャリアグランドスラム達成への最後の関門となってしまった
3日目を終えて21歳のローリー・マキロイが2位に4打差をつけて単独首位に立つ。フロント9を終えて追い上げられながらも首位に立っていたが、10番のティーショットを左の林に打ち込み隣接するキャビン(家)まで達する大ピンチに。結果、痛恨のトリプルボギーを叩くと、続く11番をボギー、12番はダブルボギーと完全に調子を狂わせてしまい「80」の大乱調。メジャー初優勝は夢と消え、今ではキャリアグランドスラム達成への最後の関門となってしまった。
【2012年】バッバ・ワトソン:最終日プレーオフ/10番
勝負を決めた起死回生のインテンショナルフック

1打目を右に大きく曲げたワトソンだったが、林の中からインテンショナルフックでグリーンをとらえる起死回生のショット
首位のピーター・ハンセンを1打差からフィル・ミケルソン、2打差からルイ・ウエストハイゼン、3打差からバッバ・ワトソンが追う最終日。ハンセンがスコアを落とし、ミケルソンもスコアを伸ばせずにいると、ウエストハイゼンとワトソンが逆転して首位に並びプレーオフに突入。2ホール目の1打目を右に大きく曲げたワトソンだったが、林の中からインテンショナルフックでグリーンをとらえる起死回生のショット。バーディこそ逃したが、パーパットを確実に沈めて優勝した。
【2016年】ジョーダン・スピース:最終日/12番
連覇へ5打差のリードも悪夢の2連続池ポチャ

このホールで6オン1パットを要したスピース
前年覇者のジョーダン・スピースは初日から首位に立つと、2位と1打差で最終日を迎える。フロント9では6番から4連続バーディを奪うと2位に5打差をつけて独走。誰もが連覇を疑わなかった。しかし10番、11番で連続ボギーとすると、12番パー3では1打目がショートしてグリーン手前のクリークにつかまり、ピン80ヤード手前にドロップした3打目も打ち損ねて再びクリークへ。このホールで6オン1パットを要したスピースは首位をダニー・ウィレットに譲り渡し連覇を逃した。
PHOTO/Taku Miyamoto、Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa
Blue Sky Photos、小誌写真室、Getty Images
週刊ゴルフダイジェスト4月22号「今週開幕、マスターズ」より
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みんなのゴルフダイジェストでは、今週開幕される「マスターズ・トーナメント」の歴史や名場面をお届けした。週刊ゴルフダイジェスト4月22号では、PGA組、そしてLIV組それぞれの注目選手やキャディが着用する伝統的な白いウェアの番号に隠されたプチ情報をお届け。続きは週刊ゴルフダイジェスト4月22号、Myゴルフダイジェストにて掲載中!