今年1月ロサンゼルスで1万8000棟を超える家屋が被災した山火事で2014年全英女子オープンチャンピオンの実家が全焼。心を痛めた善意の人々が行動を起こした。
画像: モー・マーティンのインスタグラムより

モー・マーティンのインスタグラムより

R&Aからモー・マーティンにメールが届く

画像: モー・マーティン(2016年撮影)

モー・マーティン(2016年撮影)

モー・マーティンは2014年の全英女子で最終ホールにイーグルを奪い栄冠に輝いた。燦然と輝くトロフィは実家のリビングに誇らしげに飾られていたが、その周辺は深刻な被害を受けてモーの実家は焼失。幼少期からの家族写真やUCLA(大学)で獲得したメダル、全英女子のトロフィなど思い出の品すべてを失った。

ところが火災から1週間も経たないうちに全英女子を主催するR&Aからメールが届いた。代わりのトロフィを贈呈したという連絡だった。

「まさに希望の光でした。私にとってかけがえのないものを取り戻せるという再建と希望。メールを見て私も母も泣きました」

彼女のゴルフキャリアの勲章を取り戻すため多くの人が協力していた。R&Aにはマーティンが被災した、トロフィも焼けてしまった、なんとかならないか、という電話が日に何本もかかってきたという。

善意の人々の輪が失意の底にいたマーティンの心に希望の灯をともしたのだ。子供の頃から将来を嘱望されたゴルフ少女がプロになり最高の栄誉であるメジャー大会で優勝。それは本人だけでなく家族、そして彼女を取り巻くコミュニティの誇りであり、トロフィはその象徴だった。

「私の夢を叶えるためにすべてを犠牲にしてくれた両親に改めて感謝します。地元の人が無料で練習用のボールをくれたりクラブを提供してくれたりして私は育ちました」

だからトロフィの再建はコミュニティの再建にもつながる。亡き父が彼女のためにしつらえた打撃ケージの一部が奇跡的に焼失を免れたのも救い。家を失った母と兄弟はマーティンの住むタウンハウスに移りトロフィが届くのを待っている。おそらくもう届いているだろう。宝物のトロフィを毎日磨いていた母。

「彼女もきっとうれし涙を流すでしょう」

※週刊ゴルフダイジェスト2025年4月22日号「バック9」より

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