
解説/小浦和也プロ
こうらかずや。1993年生まれ。宮崎県出身。地元日章学園を経て専修大学へ。2014年にプロ転向。今季はACNツアーが主戦場となるが、悲願の初優勝とともにシード復帰を狙う
インパクトでゆるませない
GD フルショットはできない中途半端な距離のバンカーで悩むのが、クリーンに打つのか、ダフらせるのかですが、プロはどう打ちますか?
小浦 基本的には、PWでエクスプロージョン、いわゆる砂を打ってダフらせる選択をします。
GD その理由は?
小浦 中途半端な距離のバンカーでミスしないためのポイントは、インパクトでゆるまないことです。クリーンに打つ選択肢もありますが、頭のどこかでホームランして飛び過ぎの恐怖がよぎります。するとインパクトがゆるんでミスになりやすいんです。
GD なるほど。ただ、エクスプロージョンでダフらせる場合も振り幅は大きくなるので恐怖は伴いませんか?
小浦 そこで重要になるのがアドレスの段階で勝手にダフれる構えを作っておくことです。極端に言えばフルショットしても飛ばない、勝手にダフることがわかっていれば思い切って振っていけます。インパクトで合わせる動きだとザックリしてバンカーから脱出すらできない大ミスになりかねません。

20センチほど手前からヘッドを入れ、砂ごとボールを運び出す
GD インパクトでゆるまずに、ある程度大きく振るから脱出はできるわけですね?
小浦 そのほうが楽に振っていけますよね。
〇 飛ばそうとしたり強く打ち込もうとしたりすると体がターゲット方向に突っ込みやすくなるが軸はブラさずにその場で回ることでダフれる。
× ボールを上げたくなる気持ちが強くなると右肩が下がってクラブが下から入りやすくなる。ダフり過ぎるとボールは全く飛ばせないので注意。

体重移動は必要なし! アドレス時の軸を左右にブラさずに打つ
砂を一緒に打つにはどうすればいい?
GD まずアドレスのポイントから教えてください。
小浦 はっきり言うとアドレスで全てが決まります。要は構えの段階で勝手にダフれる状態を作っておくことが、インパクトでゆるまない最大のポイントです。そのためにフェースは必ず開きます。ソールから砂に落としてバウンスを使うためです。
GD 通常のエクスプロージョンと同じということですね。
小浦 はい。ただ、ある程度前に飛ばしたいのでPWを使い、スウィング軌道は極端なカットに振り抜かない。左足のつま先は体の回転をしやすくするために開きますが、スタンスラインはオープンではなくストレート、もしくはクローズでもいいくらいです。
GD クローズでもいいんですか?
小浦 クローズ気味に構えたほうがヘッドは上から入れやすくなります。打ち込み過ぎはダメですが、エクスプロージョンで砂を爆発させるにはヘッドは上から入れる必要があります。
GD クローズスタンスは意外でした。
小浦 ただし体の回転は止めないでください。ターゲットよりも左に振り抜くことでしっかり砂を飛ばすことができるので。
アドレスですべて決まる
①フェースを開いてバウンスが使える構えを作る
ダフって砂を爆発させるために、フェースを開いてバウンスが使えるように構える。フェースを閉じて構えるとリーディングエッジから砂に刺さりやすくなる。

インパクトでハンドファーストが強くなるとヘッドが刺さりやすくなるのでアドレスでシャフトが垂直になるように構え、また、重心が高くなるとボールに届かずトップになりやすくダフりにくくなるため、広めのスタンスで重心をしっかり落とす
②ボールは左寄りに置き、左つま先だけ開く
体の回転がしやすくなるようにツマ先は少し開いておく。ただし、オープンスタンスで構えるとヘッドが下から入りやすくなるのでNG。スタンスはストレート、もしくはクローズに構えるのが正解。ヘッドが下から入る動きを防いで、上から入れることで上手くダフれる。また、上手くダフるにはヘッドをインパクトで戻す動きが必要になる。そのために短く握っておくことで振り遅れずに戻しやすくなる。

ボールを左に置くのも忘れずに
PHOTO/Hiroyuki Okazawa
THANKS/フェニックスカントリークラブ
※週刊ゴルフダイジェスト4月22日号「距離のあるバンカー攻略法」より一部抜粋